2014衆院選の結果分析(もどき)その2

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■自民党の得票と実際の社会的勢力比

2014衆院選の単純得票率 このことについての分析や感想は後にして、今少し統計を見ていきましょう。続いて棄権を除いた有効投票総数における各党の得票率を示したのが図2の単純得票率です。

 これで見ますと、自民党は単純得票率でも3割ちょっとの支持しか得ていないことがわかります。多くの人は棄権が多かったことまでは知っていても、自民党が微減ながらも圧勝(現状維持)して与党が3分の2を維持したなどというマスコミ報道の嵐を見慣れていますので「え?自民の得票ってそんなもんなの?」と驚かれるかもしれません。ですがこれは別に今にはじまったことではなく、中選挙区制の時代から自民党(与党)の支持率や得票率はだいたいが3割台の範囲を増減していたのであって、それで過半数の議席をとってきましたし、与党が3割台の支持というのは、諸外国でもそんなに珍しいことではありません。

 簡単に言いますと、自民の得票は昔(過半数ちょっとの時代)と同じくらいの水準で、今回そんなにびっくりするような支持が新たに集まったというわけではありません。「圧勝」はそれを小選挙区制度というフィルターを通した結果です。これからの国政の行方を決定づけるという意味で、マスコミが最終的な獲得議席を元に論評するのもわからなくはないですが、それは私たちが今後の運動を進める上で参考にするべき実際の社会的な勢力比というわけではないのです。

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2014衆院選の単純得票率グループ別 ちなみに上の図2の単純得票率を政党同士の連携関係などは無視して、与野党別や予想される有権者の指向性という観点から、私の独断でいくつかのグループにくっつけてみたのが図3です。この図を見て私は「そうそう、これが現実の社会的勢力比の実感に近い」と思いました。これを念頭に今後の運動を進めていこうと。

 ですが……実際の社会的勢力比は図1の絶対得票率なんですよね。ここで正直に告白しますが、実は図1を見ても私はどうもピンとこないのです。前のエントリで政治家は危機感がないのどーのと偉そうなことを書きましたが、実は私自身も目に見える「有効投票」だけを基準にしかものが考えられないのかもしれない。別の言い方をすれば社会動向より票数でしかものを考えられない政治家頭というか。

 「どこも支持できるところなんてない!」という怒りや閉塞感は、私のような革新浮動層を含めた従来の無党派層ともニュアンスが違う。それを含めた全体像というのがまだしっかりイメージできてないのかもしれません。その閉塞感をどう受け止め突破していくのか手探りの状況です。ここは本来左派が受け皿になるべき層なのにそうなっていない。へたするとかつてのナチスのように(あるいは現在の欧州でも部分的にそうなっているように)ファシズムがその受け皿になりかねない危険もあります。

 このこと(実際の社会的な力関係)についてもう少し考えてみましょう。

次回に続きます→

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