[つぶやき]奇妙な喪失の儀式 父の日によせて

by 中野由紀子

父の日によせてもうすぐ父の日ですね。6月19日の日曜日です。

このごろ、ちょっと疲れているもんで、死んだ父のことをよく思い出します。お墓の写真を持ってるので、そこにいつも吸っていたロングピースを手向けてあげようと思います。

私の父は、この日記ではみなさんご存知のようにひどい酒乱でした。

49歳で脳出血でぶっ倒れて、半身不随になって11年後の60歳の誕生日に亡くなりました。

まあ、介護に疲れ果て、心中を考えたこともありましたが、ボケたおやじにはなにもわからないらしく、こやつの「お腹がすいた」というひと言で我に返り、心中を思いとどまったりしたわけです。

そんな父が亡くなって数ヶ月。私と母はまったく理解に苦しむような行動をとり続けたのでした。

介護の疲れと、そこから急に解放された日常。あの時こうしたらよかった、あんたあの時こう言った、あんたが悪い、お母さんも言ったじゃないか、と大ゲンカになりました。

父が好きだったロングピース
父が好きだったロングピース

十分にやったのに、後悔があとからあとからといった状態でした。悲しいもんだから泣き泣きの大ゲンカでした。お互いにわかっているのにそうしないとどうにもならない気分でした。人は悲しいねえ。

まだ生きてたら飲むはずだった薬を袋にひとまとめにしました。

なんであんなことしたのか今でもわからないけど、母と私はタオルでお人形さんみたいな人型を(即興で!)作って、そこに残っていた父の床ずれ処置用の塗り薬をぜーんぶ塗って、包帯をグルグルと巻きました。

そして、ひとまとめにした飲み薬と包帯人形を持って裏庭に行きました。

だまってふたりで穴を掘って、そこにその人形と薬を入れて、ごめんね、ごめんねと泣きながら埋めました。

母と私のふたりだけの奇妙な『喪失の儀式』でした。

父は姿のいいひとで、背が高かったので長いコートがよく似合うオシャレな人でした。いつも床屋のにおい(シャンプーの)がするきれいな人でした。

酒さえ飲まなかったらあの人の人生も変わっていただろうに。

会いたいなー。娘(私)が酒飲みの世話、病人の介護をするのでなく、普通の「お父さんと娘」としてもう一度会いたい。

お父さんに心配してほしい。私をかばってほしい。一番大事に思ってほしい。抱っこしてほしい。欲しい物を一緒に買いにいってほしい。(今さらだが)成人式の着物を選んでほしい。いろんな話を聞いてほしい。動物園にも遊園地にも行きたかった。旅行もしたかった。私をひとりにしないでほしかった。してほしいことがいっぱいいっぱいいっぱいあった。

お父さんがご健在のみなさんは、父の日に電話の一本もかけてみては?

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もう有名ですが、東京ガスのCMがとてもいいので。きたろうっていいよー

◆お父さんのチャーハン

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こちらは最近のお気に入り。あんまり最近の曲って知らないんだけど、これはいいなって思います。ちょっと元気が出るよ。

◆「何かひとつ」 JAMOSA / 何かひとつ feat. JAY’ED & 若旦那

ここまで読んでいただいてありがとうございます!

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