都知事選での主張を嘘にしないために-有権者選挙協力の実践

ひどい世の中カエル『誰が勝つのかではなく、何が勝つのかが大切なのだ』(ラヴロフ)

■都知事選で私たちが主張してきたこと

昨日のエントリーでご紹介させていただいた「参院選投票指針(有権者選挙協力)」を具体的にイメージするために、大阪・京都の両選挙区にあてはめて考えてみます。左派無党派・共産支持者・社民支持者・9条ネット支持者のみなさんはこれをご参考に、ご自分の選挙区でも考えてみてください。

結論から申しますと、両選挙区において、私たち<社民・9条ネット寄りの無党派>は、こぞって(たとえイヤでも)共産党候補に票を集中させます。これによって民主党に続いて共産党が2議席を確保すると共に、自民党の議席をゼロにすることも可能です。ただしその見返りとして、<共産党寄りの無党派>は、比例区ではこぞって(たとえイヤでも)社民か9条ネットに投票してください。

こうすることでお互いの支持する党派の議席がかえって増えるのです。護憲派議員で議席の3分の1を確保することも、このような方法によってのみ、はじめて可能になります。そうでなければ、「民主躍進」のあおりを受け、その副産物として、護憲派議員が壊滅しかねません。民主が増えてもそれが野党から奪う形になったのでは意味がないのです。

そうでなければ、私(たち)が都知事選で言ってきたことがすべて嘘になります。私(たち)は同じ理由で吉田万三さんに直前まで立候補断念を要請し続けたのではなかったか?つまり「大阪・京都選挙区では共産に票を集中せよ」という方針は、無党派としての変節ではなく、全く逆に、私個人として、自分の言ってきたことに一貫した責任をとるための態度表明だとご理解ください。この千載一遇のチャンスにこそ原点に返るべきだということです。

都知事選において、私は共産支持者の人に対し、石原氏の君が代処分などで、ただ自分の思想だけを理由として人生のどん底に叩き落とされ、特定の思想を権力で強要され、それでも、銭金や生活や待遇ではない、人間としての誇りと自己の尊厳を賭け、歯をくいしばって抵抗している人の眼前で、「石原都政が続いてもかまわない」というも同然の自己の方針を同じように吐けるのかということを問い続けてきました。同じことが今度は私たちに問われているのです。たとえば「イラク撤退」は全野党の主張です。「たとえ自民を助けることになろうとも、共産に入れるわけにはいかない」「それでイラク派兵が続いてもかまわない」という方針を、イラクやパレスチナの人々に説明できるのでしょうか。

■有権者選挙協力は勝手連の発展形態である

従来なら私たち左派市民は「社民・9条ネット・共産の票をあわせれば自民に勝っている(=実は多数派である!)のに」とため息をつき、政党・団体に対して「一刻も早い反ファシズム統一戦線の形成を!」と要求して終わりでした。しかしもう、政党・団体にまかせてなどおけません。いつまで待っても統一戦線など実現しないではありませんか。「政党間選挙共闘」が実現しないのであれば、私たち市民が、政党の思惑など超えた勝手連の精神で、「有権者選挙共闘」を実現するのです。

次の選挙では是非とも無党派市民たちで、自分が良いと思う候補や党の勝手連をどしどし結成し、その勝手連同士でそれこそ「勝手に」選挙協定を結んでしまいましょう。「地方は共産・比例は社民」とかね。そしてその力で政党にも共闘を迫っていくのです。「文句があるなら、野党同士でちゃんと勝利の希望が持てる方針を示せ!」と。次の選挙は国政レベルでも「勝手連選挙」「インターネット選挙」にしていきたいです。政党の動きに絶望しているばかりではいけません。選挙法の関係で研究課題も多いでしょうが、なんとか実現させたいですね。

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■大阪選挙区(定数3)の場合

さて、まずは具体的に大阪選挙区(定数3)の場合、現在、追い風を受けた民主と、磐石の地盤を持つ公明が堅調で当選圏内、3人目を自民の谷川さんと共産の宮本さんが争い、その後を社民の服部さんと自民系無所属の林さんが追っています。

社民の服部さんは9条ネットの推薦も受けた統一候補です。ご本人の人柄や主張から言っても、左派としては是非とも当選させたい人です。私もできれば服部さんを応援したい。しかしこのままでは共産の宮本さんと共倒れして、自民の谷川さんが当選しかねません。その場合は大阪地方区の左派票はすべて死票となり、大量に存在する大阪の左派の声は国政に全く反映されないことになります。

ここで先に紹介した投票基準を適用すれば、大阪の左派は選挙区では優勢な共産の宮本氏に票を集中させて極右の谷川氏を落選させ、「野党2議席・自民ゼロ」を狙うべきです。その代わり、比例区においては選挙区で犠牲になってもらった社民党・9条ネット(またはその候補者)にこぞって投票するべきです。

さらに谷川さんは同じ自民の中でも何としてでも落選させたい人物です。その主張で「自主憲法の制定」を掲げ、格差社会の問題でも、貧困で給食費の払えない親をつかまえて「子どもにタダ喰いさせよる」と無神経かつ傲慢に言いはなった庶民の敵です。酒場のオヤジトークならともかく、こんな感覚の人が要職についたら、国民は地獄です。

最近はもう何でいいから右翼の主張を掲げておけば、それだけで「改革派」みたいな顔をしていられますが、高齢の谷川氏は「小泉流改革」とも一線を画す復古主義者であり、はっきり言えばただの守旧派極右オヤジ、つまり単純に「古い考えの人」にすぎません。まあ、今、防衛大臣をしている女性議員も似たようなレベルですけど。ちなみに「小泉流」を代表するのは自民系無所属の林氏ですが、当選の可能性はありません。

本来なら、小泉さん以来の「改革」を支持する右派の人は、古臭い谷川さんではなく、林さんを支持するのが筋だと思います。ですが、右派票は当選可能性のある谷川さんに集中してくるのではないでしょうか?ここで左派無党派票が服部さんと宮本さんに綺麗に分散したら、両方が共倒れで死票となり全滅です。3議席のうち、野党は民主の1議席だけとなります。

死票はどんな理屈をつけても死票であり、その声は国政にいっさい反映されません。また、民主がどんなに大量得票しようとも、1議席は1議席にすぎないのですから、与野党逆転が第一課題の<民主党寄り無党派>の方にとっても、民主党に不必要に票が集中するのは得策ではないはずですよね。ここは1位は公明に譲ってでも、「野党2議席・自民ゼロ」を狙うべきです。

今回の大阪では、服部さんが共同候補として立ったために、左派はこぞってこれの支援に動き、ついつい「特定党派の支持者」と同じ発想をしてしまいがちです。服部さんを支持して闘ってこられた左派や無党派の仲間の皆さんには本当に申し訳ないし、私自身も辛い思いで一杯なのですが、ここは涙をのんで共産党宮本候補への投票を呼びかけます

そのかわり、大阪の共産党支持者の皆さんには、私たちと同じく、涙をのんででも、たとえイヤでも、バーターとして比例区で社民・9条ネットに投票されることを強く要請いたします。選挙共闘はギブアンドテイクです。そして全体として与党を減らし、護憲派議員の数が増えなくてはなりません。そのためには狭い自分の地域では犠牲になる場合もあるのです。自派に有利な場合にだけ共闘に賛成して、相手に何も与えないのでは対等な関係が原則の「共闘」にはなりません。

具体的には

地方区は・・・
たとえイヤでも社民・9条ネット・民主支持の左派は共産の宮本さんに投票する

その代わり

比例区は・・・
たとえイヤでも共産の支持者は社民・9条ネット・民主党内の明確な護憲派に投票する

 ※政党名の他、山内トクシンさん、天木直人さん、ZAKIさんなど
 ※民主党公認候補者の「《護憲派》《明白な改憲派》のリスト

どうでしょうか?まだどうしても、地方・比例とも自分が支持する党にだけ入れたいですか?わが身のことになってはじめて「統一戦線形成の難しさ」がわかりましたか?もてる勢力は全部自分の勢力伸張のためにだけ使いたいのは人情ですよね。

思い出してほしいのは、今まで独自候補擁立などにこだわる政党やその支部に対し、私たち無党派市民は、「自党や自分の地方の狭い利害ばかり考えて民衆全体の利害を見ない」とか言って批判してきました。大阪だけをみて「服部氏がベストで他の候補に投票するなんて…」と考える人は、そのことを思い出してください。国政選挙は今後数年間、「全体としてどのような国会を作るか」を選ぶ選挙なのです。

■京都選挙区(定数2)の場合

京都の場合は定数2に対して1位を民主党が走り、自民が2位で追っています。それに対抗するのは3位の共産党の成宮まり子さんと、極右の維新政党新風です。社民党・9条ネットは候補を立てていません。ここでは、1位の民主にばかり当選必要ラインを超えて集まりすぎている政権批判票を、3位の成宮さんに回して野党で議席を独占することが課題です。

従来の力関係ならば、1位は自民で安定。2位を民主と共産で争うも、近年はほぼ民主党の勝ちとなっています。民主党登場以前は「自共指定席」と言われていたことからもわかるように、京都は共産党が非常に強い土地柄です。で、私たち左派無党派にとって、共産党の人達というのは、自分たちが少数派な場所では非常に頼りになる「頼もしい仲間」なのですが、いったん自分が多数派をとった場所では、そのテリトリー防衛が第一課題となってしまい、反対派(特に同じ左派陣営からの異議申し立て)に対しては、自民党も真っ青なめちゃくちゃな弾圧を加えることがままあります。それはまあ、共産党に限らず、他の左翼党派にも共通して見られる傾向なのですが、京都ではなまじ共産党が強いばかりに、左派陣営内部でも、かなり共産党に対するアレルギーがあります。

近年は共産もかなり弱くなってきましたので、若い人達や一部の市民団体からは再び「仲間」として認識されることが多いのですが、未だに牙城の立命館大学などではかなり無茶やっておられます。それで今までは左派の中でも「どうせ自民を落とせないのだったら、共産党に入れるのはイヤ!」という発想の人も多かった。「消えるのも困るが、強くなってもまた困らされる」というわけです。党派が多数派を形成した機関(大学自治会など)は、将来その党派が権力を奪取した時の雛形の世界です。そういう意味では私は、共産党が現在に続く排他的な体質を一掃してくれない限りは、共産党に権力をとらせるなんて恐ろしくてできません。因みにですが、共産党の人は、私のこういう「排他的な体質を一掃してほしい」という要望と、「排他的だから共産党なんてダメだ」という攻撃を区別してくれません。その区別がどうしても理解できないことを人は排他的と呼ぶのですが…。

このサイトの「客筋」には、共産党系以外に、非共産党系の左派や無党派の方が多いので、「それはわかってますよ」という意味で、書かなくてもいいこともあえて書いたのですが、そういう心情は心情として保留しながら、今回は民主党を利用してきたように、あえて共産党を利用すべきだと思います。だって民主ではなく、共産に投票することで、自民を叩き落とすことが可能になるのですから。こんなこと10数年に一度しかありませんよ(笑

従って、有権者間選挙協力の投票指針は、大阪と同じです。

地方区は・・・
たとえイヤでも社民・9条ネット・民主支持の左派は共産の成宮さんに投票する

その代わり

比例区は・・・
たとえイヤでも共産の支持者は社民・9条ネット・民主党内の明確な護憲派に投票する

 ※政党名の他、山内トクシンさん、天木直人さん、ZAKIさんなど
 ※民主党公認候補者の「《護憲派》《明白な改憲派》のリスト

とりわけ民主党左派に期待している無党派の方に訴えたいのは、上記のリストにおいて、民主党京都の候補者である松井孝治さんは「明白な改憲派」に分類されていることです。バリバリの右派です。これが一人区ならば、与野党逆転を実現するため、「自民党の改憲派を民主党の改憲派と置換する」のもありです。みすみす共産の泡沫候補に入れて死票にし、自民当選を応援するよりも、はるかに有効な一票の使い方です。しかし二人区の京都で、すでに松井さんに票が集まりすぎており、2位を共産と自民で争っているのですから、ここは自民党を落として、明白な護憲派議席3分の1以上を実現するために一票を使うのが有効です。

■結語

繰り返します。国政選挙は「今後数年間、全体としてどのような国会を作るのか」を選ぶ選挙です。自分の地域だけではなく、全体を見て判断しなくてはなりません。私たち一般の市民にとっては、特定党派の消長をかけた闘いでは断じてないのです。議員も国会も政党も、ただそういう観点から私たちが利用するために存在しているのです。また、このような「有権者選挙協力運動」は、選挙制度をいじくりまわして、世論から乖離したニセモノの国会を作り出した与党への、民衆の側からするレジスタンスでもあります。「どうせ変わらない」ではなく(まあ大きくはその通りでもあるのですが)、抵抗し続けることも大切だと思います。

安倍政権打倒! 9条改憲阻止! 特定の思想を国家権力を使って強要するな! 君が代・日の丸・愛国心の押し付けをやめろ!
貧困に取り組まない・拡大する政府はいらない! 殺すな!殺させるな!死ぬな!生きろ!生きさせろ!生きて奴らにやり返せ!

「生き方」の押し付け反対! 一人がみんなのために!みんなが一人のために!

 左派の皆様には、賢明なご判断をお願いします。

ここまで読んでいただいてありがとうございます!

4件のコメント

明日は地域でお墓の清掃があるために、こないだ期日前投票を済ませたRRです。今回の選挙は結構おもしろいですね。自分の周囲では選挙区は自民候補にガチで投票すると公言しているあるいはすでに投票したのが多いですが、比例はというととっても流動的です。自民はイヤだ、でも議席の少ない政党では意味が無いと民主党にはしる者、自民はダメだが民主はもっとダメだと諸派にはしる者(私も該当)、このカオスっぷりが楽しいです。それにしてもあの選挙カーでがなりたてる選挙活動は意味があるんでしょうか。昔、勤務が夜勤だったとき、昼間寝ているのにあれをされると非常に閉口したものです。車を使うなとは言いませんが、スピーカーの使用は制限してほしいなあ。

RRさん>
それが『誰が勝つのかではなく、何が勝つのかが大切なのだ』ということだと思いますよ。特定党派の消長に一喜一憂するのでなく、どういう国会になってほしいかということを基準にその時々で選んでいけばいいと思います。
選挙カーについては、公職選挙法の問題が大きいと思います。今の公選法では、一般市民に訴える方法として、ポスターを貼った後は、名前を連呼して走り回るくらいしかやりようがない。これは日本独特の光景だと思います。具体的にはネット利用の促進と、戸別訪問の解禁が求められると思います。
選挙のネット利用は、実は公選法では禁止する規定がない。だから本当は違法ではないのです。違法だとされている根拠は、実は単に総務省の見解がそうなっているというにすぎません。役所の見解が法律より優先されるのはおかしなことです。今回の選挙では、政権政党の自民党が焦りのためか、その禁を自分で破ってくれ、他党も追随したので、そのへんがなし崩しになりましたけれども、これだけは「自民党よくやってくれた」と思います。

ええ!?ネット利用って単純に禁止されてるのかとばかり思ってました。まぁネット使ってない世代もいるし(若い人にケータイでネットが増えて、PCでネットしてない割合が増えてるのは驚き)、戸別訪問も必要ですかね。そうすれば候補者の顔ももう少し見えてくるんでしょうか。

たとえば億単位の金をかけた大量ビラ入れとか、選挙カーとは別に機関紙の宣伝カーを走らせるとか、そういう主に共産党がやってきたあの手この手を、後追い的に禁止していった歴史があるのですね。と、いうことは、「禁止される前はやっても良かった」ということになりませんか。

それが何でネット選挙だけが「禁止もされていないのに」違法扱いされるようになったかと言えば、ネット黎明期にですね、中途半端に先進的だった新党さきがけが、わざわざ総務省に問い合わせたのですね。総務省の役人もおそらくはインターネットって、よくわかっていなかったと思う。それに役人と言うのはどうしても自分の権限がおよぶ範囲を広めようとするものだから、「ホームページというのはビラと同じと解釈する」ってことになってしまったわけです。でも、これは明らかに変な解釈だと思います。

ネットより先に選挙法があるのは当然だから、要するに法律にはネットについて何もかかれていない。それは諸外国も全く同じ。ただ、日本と違うのは、禁止されていないから当然使っていいのだという解釈で、わざわざ役所に問い合わせたりせずに、みんながバンバン使い出してそのままになっているという点だけです。

法律上は、「ネットが禁止されている」と解釈した日本も、「使っていいのだ」と解釈した諸外国でも状況は全く同じ。特に許可する規定も禁止する規定もないのです。今回は、自民・民主ともになし崩しで選挙にネットを使いましたから、今後は日本でも普通にネットが使える方向に行くと思いますが、そうなるかどうかは、ブロガーさん達が「違法神話」を乗り越えて、勝手にどんどん自分の意見を発表していけるかどうか。それが普通になれば、総務省の見解(=独り言)のほうが間違っているということになって、誰も相手しなくなると思います。

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