アクロ(ACRO)による日本の放射能モニタリング結果(転載)
http://www.acro.eu.org/OCJ_jp
すでに福島県からいくつかのサンプルがアクロに届き、測定の結果、基準を超える高い数値の放射性物質が検出されました。高度な濃度の放射能の汚染はチェルノブイリ原発事故と同レべルに値します。
アクロが測定したサンプルの中では、飯舘村前田の農地の土壌から最も高い放射性物質が検出されました。放射性ヨウ素の値が一番高く、住民を避難させるべきであります。長期的にみれば、半減期が約30年のセシウム137が最も心配されます。
土壌の測定の結果(単位はベクレル/ キロあたり)、その多くが、日本政府が定めた水田の土壌中の放射性セシウムの濃度基準(5 000ベクレル以下/ 土1キログラムあたり)を上回るものでありました。この結果をみれば、コメの作付けは見送られるべきです。
福島から遠く離れた神戸では汚染は発見されなかった。佐賀(九州)と福井ではセシウム137の みが発見されたが、セシウム134が同じレベルで発見されないのでこのセシウム137は 過去の汚染であることを示している。
福島に近いところでは全てのサンプルは損壊した原発からの降下物による多数の放射性元素により汚染されている。藁が高い放射能濃度であるのは藁が軽いことによる。一平方メートル当たりで同じ量の降下物による汚染でも、藁は土と比べるとキログラム当たりの汚染では非常に高いものとなる。
前回の福島県からの土のサンプル分析ではヨウ素131が強く出ていた。しかしヨウ素131の 半減期は非常に短い(8日間)ので比較的早く消滅する。今回測定されたヨウ素はセシウ ムと比べ低い。テルル129mは崩壊して半減期の非常に長いヨウ素129に なる。半減期は16百万年である。この核種は原発周辺で注意深く監視する必要がある。
中間的なセシウム137は最もやっかいな核種とな るだろう。今回測定された濃度は全て日本政府により決定された米の作付基準であるキログラム当たり5,000ベクレルを下回っている。1平方メートル当たりのセシウム137のベクレルを計算すれば、福島県の全てのデータはベラルーシでは移住の許可が与えられた185,000ベクレルを上回っている。宮城県の汚染も極めて高いものである。それは以前に我々が宮城県の野菜で測定した高い汚染と符合する。
今回調査した宮城県南部の野菜は輸出が許可されるレベルの汚染度である。これらの野菜と同時に収集した土は全て日本政府の米の作付基準以下の汚染度であった。すなわち、全てセシウム汚染は上限の5000Bq/kg以下である。
しかしながら、放射能に安全なしきい値は無いということに注意を払うことが重要である。Fの畑の表面汚染はベラルーシでは定期的な監視が必要となる37,000Bq/m2 の基準を超えている。水のサンプルからは汚染は検出されなかった。
東京湾にある汚泥焼却プラントの周辺は高度に汚染されている。この汚染はおそらく大部分が放射能に汚染された汚泥を焼却する焼却プラントからの煙によるものだろう。
セシウム137による表土汚染は定期的監視が必要となるベラルーシの基準である37,000Bq/m2を超えている。植物の汚染も高い。キログラム当たりの値で表される事実から枯れ草と苔の鋭い違いがある。この地域の汚染についてはより詳細な調査が必要である。
東京近郊で採取された土のサンプルは全て福島原発事故による降下物で顕著に汚染されている。
柏市(千葉県)のセシウム-137による表土汚染はベラルーシでは定期的監視が必要とされる37,000Bq/m2の基準を超えている。
この地域ではより詳細な調査が行われるべきである。
福島原発から約60Kmに位置する福島市に住む子どもの尿を分析した。その結果は極めて明確である:全てのサンプルは セシウム134と137に汚染されている。その濃度範囲は0.4から1.3ベクレル/リットルである。このことは、これら6歳から16歳の子どもたち全員がセシウム134と137に汚染されていることを意味する。おそらくヨウ素1 31にも汚染されていた可能性があるが、ヨウ素131は素早く消失するため現在では検出されない。
これらのデータから全身の被ばく量を評価することは難しい。このことは放射能雲にさらされた人々と汚染された地域に住む人々の内 部被ばくを組織的に測定することを日本政府に強く求めている。これは簡単にできる。内部被ばくの測定結果は公衆の被ばく量の評価において、その一部として考慮されるべきである。
今回の測定結果は、日本政府により決定された避難基準は高すぎるという我々の意見を補強するものである。ACROのみならず多くのNGOが、事故後1年間で20ミリシー ベルトと定められた基準を批判して来た。それはフランス政府により設定された事故後の基準である10ミリシーベルトの2倍であり 平常時の公衆の許容レベルの20倍である。
この内部被ばくは放射能雲によるものか、または汚染された食物によるもの、あるいはその両方による被ばくである。内部被ばくにつ いても放射能汚染による別の形態の被ばくとして付け加えられなければならない。この内部被ばくについての許容基準は減少されるべきである。
福島県の15人の子どもたちは全て、約60キロメートル離れた場所での核事故による放射性降下物で尿が汚染され続けている。このことは子どもたち自身がずっと汚染され続けていることを示している。一方で、東京とその周辺の3人の子どもたちの尿からは汚染は検出されなかった。
日本政府により実施された検査では福島の子どもたちの約半数が汚染されているとしているが、我々の結果では100%である。このことは日本政府の測定精度が不十分であり全ての汚染を検出していないことによる。
子どもたちの親は汚染を減らそうと精一杯の努力をしているにもかかわらず、環境中への大量の放射性物質の放出から4カ月以上もたった後、採尿の時期に未だ福島にいる子どもたちは全て汚染されていた。避難は汚染を減らすための一つの方法である。子どもたちの間での内部被ばくのバラつきは食物によるものであろう。
福島の子どもたちの内部被ばくを正確に、系統的にかつ定期的に監視することが重要である。家族はこの汚染を減らすことができるように放射能の測定結果について知ることができなければならない。
福島原発から75kmの宮城県南部に位置する白河市越河ではセシウムによる汚染の合計は343,000Bq/m2に達した。これはベラルーシでは住民は移住の権利が与えられるレベルである。
原発から66kmの宮城県角田市ではセシウムの汚染は合計で163,000Bq/m2である。ベラルーシでは継続的な放射能監視が必要なレベルに相当する。
原発から約300kmの横浜でもかなりの汚染がある。北海道富良野市は原発から670Kmである。
宮城県と福島県の掃除機から集められたハウスダストを分析した。全てのハウスダストが高いレベルで汚染されていることを確認した。ちなみに日本政府は廃棄物の放射能レベルを8,000Bq/kgと定めているので、サンプルのうち2つはゴミ箱に捨てることはできないことになる。家の汚染の継続的なモニタリングも必要であろう。
今回の結果は福島原発から遠く離れた県からのものである。3月11日からほぼ1年経過し福島原発から約220km離れた奥州市(岩手県)でも尿がまだ汚染されていることを示している。より近くの宮城県でも、特に丸森町で見られるように尿が汚染されている。
サンプルNo.11は前回の一関市の女児のものである。尿の汚染は顕著に改善された。両親は祖父母の菜園の野菜が汚染されているとは知らずに食べていた。ACROによる尿検査は、彼らが食生活を改善して予防ができるようにした。
千葉県松戸市を除き、東京とその近郊の子どもたちの検査結果では汚染は検出されなかった。福島原発からそれほど遠くない地域では環境中への大規模な(放射能)放出から1年以上たっても、子どもたちの尿は汚染されている。これは特に福島地方で顕著だが近隣の宮城、栃木県でも同様である。これらの汚染は低いが長期に渡る。
全ての事例で汚染の減少が見られた。このことは、こうした検査が人々に注意を促す上で有効であることを示している。
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アクロ(ACRO)による日 本の放射能モニタリング結果
http://www.acro.eu.org/OCJ_jp
子どもたちの尿検査から見えてきた放射能汚染の実態
尿検査・ACROの活動の報告集会
●日時:8月18日 13:15開場 13:30~16:30
●場所:東京しごとセンター講堂(地下2階)
●主催:福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
http://bit.ly/TtCSpk