by 原 隆
2月1日、クーデターで権力を握ったミャンマー国軍による「血の弾圧」が激しさを増している。犠牲者は日に日に増え続け惨状という他ない。胸が痛い。だがミャンマーの民衆は、軍政への抵抗を諦めない。職場を放棄して街頭デモに参加する「不服従運動」が、医療従事者、公務員、工場労働者に広がり、「命を落とした人たちのために最後まで闘う」「軍政を終わらせよう」「民主主義を返せ」と命がけで声を上げ続けている。在日のミャンマーの人々も東京で3千人以上が集まり抗議の声を上げた。
国軍が戒厳令を出し武力弾圧を強める背景には、弾圧してもかえって民衆の怒りと抵抗が想定を超える規模にまで拡大していることへの「焦り」と「誤算」がある。ミャンマーの国連大使は、演説でクーデターを非難し3本指を立てたサインで抵抗の意志と民衆への連帯を示した。国軍側の国際的孤立も深まっている。少数民族の武装勢力もクーデターに抗議。足元の国軍や警察内部からも不服従運動への参加を表明したり離反する動きが出ている。民衆の声を暴力による強硬策で抑え込もうとするのは、苛立ちと余裕のなさの裏返しとも言える。
東京新聞社説(3.6)は、「ミャンマーでは、半世紀の軍政の後、2011年に民政移管し、16年にスー・チー氏の国民民主連盟(NLD)による本格的な民主化政権が樹立された。圧政から解放され、やっと手に入れた民主的で自由な社会だ。国民には、それを逆戻りさせるわけにはいかないとの思いが強いに違いない」と述べ、毎日社説(2.28)も「この間、国軍による抗議デモ弾圧が激しさを増している。<中略>それでも国民の反発が収まる気配はない。職場を放棄する『不服従運動』が公務員を中心に広がった。クーデター反対のゼネストに数百万人が参加し、少数民族勢力の多くも不服従運動への支持を表明した。半世紀に及んだ軍政は、デモ隊に銃を向けて鎮圧する流血の歴史を繰り返してきた。しかし、10年前の民政移管で内外の状況は大きく変わった。<中略>SNS(ネット交流サービス)を駆使する若者たちは、香港やタイの民主活動家とつながり、相互に影響を与えている。<中略>いったん手にした自由と豊かさを国民から取り上げ、強権統治の閉鎖体制に逆戻りすることなど不可能である」と論じている。
1962年から約半世紀、軍事政権が続いたミャンマーでは、過去に幾度も圧政に耐えかねた民衆が自由を求めて蜂起し、そのたびに暴虐にさらされ多くの血が流されてきたという抵抗の歴史がある。そうした民主化闘争史の中で今回のデモの特徴は、職場放棄をすることで軍政に徒手空拳で抵抗の意志を示す「不服従運動」が草の根から数百万人規模に広がり、多くの工場労働者や若者が参加していることだ。特に若者たちは、自由を求める香港やタイの草の根の民主活動家と国境を越えてつながっている。
自由を求める民衆の抗議を暴力による威嚇と恐怖でしか抑え込む手立てがない者に未来はない。強権支配によって民衆はしばしば沈黙を強いられるかもしれない。しかし、自由と公正を求めて立ち上がった経験と記憶は消し去られはしない。失敗や挫折もまた歴史の教訓として確実に世代を超えて語り継がれるに違いないからだ。私たちは、そうした民衆の抵抗の歴史からこそ学びたい。
ミャンマーに自由を!連帯アクション 新宿デモ
■ 日時:2021年4月25日(日曜)15時集合、16時出発
■ 集合:新宿駅東口アルタ前広場
■ 呼びかけ:NO-VOX Japan(TEL090-1429-9485)
軍政への抵抗を諦めないミャンマー民衆に連帯を!
クーデターで権力を握ったミャンマー国軍による「血の弾圧」―虐殺が日に日に激しさを増し、犠牲者が増えています。いまミャンマーでは多くの若者が命の危険を冒してまでクーデターを拒否し、「民主主義を返せ」と悲痛な声を上げ続けているのです。
ミャンマーの人々は、あと何人犠牲になれば国際社会は動くのか―と訴えています。緊急の国際的な支援と連帯を必要としているのです。ミャンマーで起きていることは、民主主義をかけた不服従の闘いです。この現実を目の当たりにして私たちは、沈黙していられるでしょうか。奪われた自由を取り戻すため、命がけの抵抗を諦めないミャンマーの人々への連帯を、私たちはデモをする権利を行使することで表明していきたいと思います。
<スローガン>
●ミャンマーに自由を! Free!Free!Myanmar
国軍は 虐殺やめろ!
血の弾圧 許さない!
民衆に 銃口向けるな!
●ミャンマーに自由を! Free!Free!Myanmar
日本政府は ODAやめろ!
国軍利する ODAやめろ!
私たちの税金を 国軍に流すな!
●ミャンマーに自由を! Free!Free!Myanmar
民主化圧殺 許さない!
自由のために!
未来のために! 連帯しよう!