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町村外相の「例の発言」

 昨日のエントリーで書いた米長氏の発言で思い出したのが、町村外相の米軍ヘリ墜落事故に対する「例の発言」である。

 私の親は、私が子供の頃、私が人の陰口のようなことを言うと叱った。まったく当然である。そう簡単に人の悪口を言ってはいかんと思う。人のことを「アホ言うもんがアホ」なのである。

 ましてや一国の大臣であり、言葉に命を賭ける政治家であり、国会議員である人物が、当事者である沖縄県民に発した言葉なのである。それ相当の考えがあってのことに違いないのである。それを簡単にアホだのバカだの言ってはいかんのである。

 たとえば、あれほど基地反対派や反戦派、市民運動などから蛇蝎のごとく嫌われていた石破前防衛庁長官でさえ、事故についてのコメントを求めた地元新聞の取材に対し、こう答えている。

「事故の知らせを聞き身の毛がよだつ思いがした。この事故を間違っても、不幸中の幸いといってはいけない。一歩間違えば大惨事になることであって(犠牲者がでなかったことは)奇跡に近いことだと思っている」
「仮に自衛隊機が事故を起こしたとすれば、原因が明らかになるまで絶対飛ばさない。地元の人たちの理解や安全が優先する。それでなければ基地は維持できない

 なかなかに賢いお方だ。沖縄のことをそれなりに知っている。特に「間違っても『不幸中の幸い』といってはならない」と、自分と周辺に釘をさしているのは、正直「やるな」と思わされた。「あってはならないこと」というコメントを繰り返しておくのが「得策」なんである。これが「政治家」という人種だろう。

 さて、そこで我らが町村外相の登場である。内閣改造で外相という重責を射止めたばかりの町村先生は、おそらく気分も高揚して、やる気まんまんだったのである。だから外遊から帰って間もなく、沖縄に飛んだのである。よって、前もって沖縄の状況を調べたり勉強したり、ましてや考えをまとめる余裕もなく、しかしながら、それでも町村先生は自信たっぷりに思いつくまま発言を繰り返されたわけである。実に気さくで偉大なお方ではないか。さて、以下先生の言動を新聞記事で確認してみれば、こんな感じである。

沖国大での視察中に町村外相は「操縦士がうまかったこともあって、重大な被害が出なかった」と発言。さらに渡久地朝明学長と話した際に「(事故をさして)これを機に学生が勉強をサボったりしないように」などと冗談のように述べた。
町村外相は、沖国大の職員に対して「事故当時は夏休みで、学生はほとんどいなかったんでしょう」「ヘリは爆発したんですか」と、質問するなど、ヘリ事故の基礎的事実について詳しく把握していない様子だった。

 この町村先生のお気楽な発言によって、せっかく石破先生があれほど気を使ったことがすべて水泡と帰してしまった。沖縄現地は総スカン、と言うより怒りの渦である。

伊波洋一宜野湾市長は「事故を目撃した市民が、機体が回転し、きりもみ状態で沖国大本館に激突したと証言している。後部ローターも落下しており操縦不能は明らか。大臣は外務省の説明をうのみにし、操縦が上手などとうかつに発言したのではないか」と指摘した。

町村外相に被害状況を説明した、同大の黒島安武事務局長は「大臣から『夏休み中で学生はほとんどいなかったんでしょう』『ヘリは爆発したんですか』という質問を受けて、事故に関し認識不足と感じた。終了後、報道陣に『操縦が上手』と話した内容は、大臣としてあまりに軽率と思う。上手なら基地内に落とせばいいのではないか」と語気を強めた。

沖国大2年生の神里妃奈子さんも「言葉の配慮が足りず、沖縄の人権を無視した発言だ。事故が起きたら学生が授業をサボるという考えがどうして出てくるのか、発言の意味さえ分からない。沖縄は日本の一部だと真剣に考えて。SACO見直しを本当にお願いしたい」と訴えた。
(琉球新報 2004/10/17記事より)

 実は墜落事故の直後、トーマス・ワスコー在日米軍司令官が東京都内の講演で、「乗員は人のいないところにヘリをもっていったという素晴らしい功績があった」と、乗員を称賛し、さらに在沖第三海兵遠征軍の担当官も同様の説明をしたことで、県内から強い抗議と怒りが湧き起こっていた中でのこの発言である。われらの外相、町村先生は、沖縄訪問にあたってなんとこのことを「知らなかった」と述べておられる。

地元新聞の投稿欄には次のような投書が掲載された。沖縄県民の素朴な怒りを代表するような内容である。

町村信孝外相の沖縄訪問は、公費の無駄遣いに等しい。本人にとってはちょっとした息抜き旅行のような気軽さだっただろう。だからこそ、軽い言葉がポンポン跳ねる。県民感情への配慮は全く感じられず、本音だけが飛び出してくる。
普天間代替施設としての辺野古視察では、反対派の座り込みを横目に「国が決めたこと」と軽くあしらい、沖国大での大型ヘリ墜落事故現場視察は、何をかいわんやである。
県民に対する明らかな挑戦状である。おそらく、基地縮小や本土、海外移転など毛頭考えていないだろうと思う。墜落現場を見て、操縦技術の高さを称賛するなど、小泉政権にふさわしい米国型政治家の登場である。
米軍基地の75%を沖縄へ押し付け、日本の繁栄と平和を豪語するのは、常識を知らない人の言葉、沖縄県民への差別の表れである。
毎年発生している米兵による凶悪犯罪を、政府はどう見ているのか。基地特有の事件、事故として片付けてよいものだろうか。
(琉球新報 2004/10/21「読者の声」より)

 確かに人の悪口を言ってはいかんのである。人のことを「アホ言うもんがアホ」なのである。
 ましてや相手は自分の国の外相なんである。

 しかし、しかしである。。。

 私が町村外相の発言を、極めて客観的に友人の某君に説明した時、彼はこう言ったのである。

「へっへー。そいつはきっとアホだぜ!」

参考リンク(地元マスコミ報道)

墜落現場視察した町村外相「操縦上手だった」(琉球新報)
外相「操縦うまかった」/ヘリ墜落(沖縄タイムス)
町村外相 「パイロットは上手だった」(琉球朝日放送-動画配信

町村外相が「操縦上手」発言を撤回(琉球新報)
「操縦上手だった」/発言撤回せず(沖縄タイムス)

町村発言波紋広がる 宜野湾市議会が抗議(琉球朝日放送-動画配信
県内野党が強く批判 外相発言(琉球新報)
外相“失言”釈明しきり「不適切だったかも」(琉球新報)
「軽率」「認識不足だ」 県内から反発の声(琉球新報)

「操縦上手」発言・県民意識と離れ過ぎる(琉球新報)
ヘリ事故/町村外相国会でも「操縦上手」(沖縄タイムス)

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参考リンク(資料・声明など)

町村外相は、沖縄県民・宜野湾住民を愚弄した「操縦技術が上手」発言を撤回し謝罪せよ!

ブログ関連・TB先など

【ヘリ墜落】町村外務大臣よ、発言を気をつけろ!【沖縄】
沖縄ヘリ墜落「操縦上手」と外相…官房長官が注意促す
町村信孝・失言
「操縦技術、上手かも」 米軍ヘリ墜落現場で外相が感想
こんな外相で大丈夫なんやろか。
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【平成16年10月16日(土)】
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がいむだいぢん

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