去る6月16日、東京の新宿区新大久保で行われた「在特会」のヘイト「デモ」において、歩道上で彼らの差別行為に抗議していたプラカ隊やしばき隊などをはじめとするカウンター行動の市民に、路上から突撃して体当たりして昏倒させたり引っかくなどして怪我を負わせたヘイト側のメンバー4人が逮捕された。
私は見てないのでうかつなことは書けないけれども、一時はその場にいる目撃者から「14人が逮捕された」というツィートが複数流れたので、おそらく歩道に突撃していたヘイトメンバーのうち、それくらいの人数が目に余って一時隔離されたのだろう。でも報道によれば、実際に逮捕されたのは4人だけだったようだ。当日の様子をちょっとだけ拾ってみるとこんな感じだったらしい。
新大久保デモ 湘南純愛組のYという奴が反対車線側の歩道にいたデモ抗議者に走ってタックルをかまし、倒されて頭を打った被害者は救急車で運ばれCT検査まで受けたらしい。何度も歩道に突っ込んでるYを排除しなかった警備の失態だろう。 しかも暴行の現行犯の湘南純愛組のYの身柄をその場で確保しないし、周りの人間が促すまで救急車も要請しないし、救急車も40分くらい来ないし、なんなんだこの警備は?と思ったね。
(Tetsuya TASHIRO さんのツィッターより)
私は別に闇雲に何でも逮捕しろと要求しているわけではないし、逮捕はそれ以外に方法がない場合の最後の手段だと思っている。それは相手がレイシストのヘイトグループでも同じことだ。
けど、まあ、「湘南純愛組のY」とか、全く興味がないので知らないが(暴走族なの?)、警官の目前でわざわざ反対車線にまで突撃し、無防備な人間にまさかの不意打ちタックルをかましてコンクリの歩道に叩きつけ、そのまま昏倒させてしまったんだから、そりゃまあ警察も仕方がなかったろうよ。その前には別の女性の腕を引っかいて傷を負わしたみたいだし、むしろ、それまでのらりくらりと見て見ぬふりですまそうとしたことのほうが驚きである。
そしてこの日は「在特会」の桜井会長も逮捕されている。まだヘイト「デモ」に出る前に早々に逮捕されてしまったようで、新聞報道(警察発表)によるならば、カウンター行動に来た人間の胸ぐらを掴んでツバを吐きかけたそうである。うーん、まあ、大筋でこの通りだとすれば、これも逮捕は仕方があるまいなあ。むしろ本人にとっては、そこで警察に回収してもらったから、この程度ですんだんだ。そのまま怪我させるところまでいってたら大事だったぞ。
さて、ここからが問題であって、被害にあったカウンター側からも逮捕者が出ている。しかもご丁寧にもレイシスト側とぴったり同じ4人だ。どうもレイシストが歩道に突撃して揉み合いになった時に隔離されたり、事情説明を求められて任意で警察署に出向いた人間を逮捕しているようで、当初はその中から2名が逮捕されたらしいとツィッターで流れている状況だったが、レイシスト側の逮捕者が4名で確定した時点で数をあわせたのか、最終的に4名もの人間が拘束されている。
そのうち1名はその日のうちにさっさと釈放されたという情報もあるが、マスコミには「対立する双方から4名の計8名」という具合に、「どっちもどっち」で「私らはちゃんと仕事している」的な発表をしている。
個々の状況はまだはっきりわからないのだが、桜井会長と一緒に拘束されたSさんなどは、警察の発表でさえ、桜井会長に胸ぐら掴まれてツバを吐きかけられたというその時に、相手のメガネをはらったという理由で逮捕されている。「何それ?」と思った。だって、この形相ですよ(笑)。
こんな人に胸ぐら掴まれていきなり顔にツバ吐かれたら、私だってびっくりして怖くて反射的にメガネくらい払っちゃうか、少なくとも肩を押して引き剥がそうともがくくらいはすると思う。これを読んでいるあなただってそうでしょ?それが普通の反応だ。いったいそれの何がいけないの?ツバ吐きかけられて激高し、顔面パンチ食らわしたとかなら別ですが(それでも暴行というよりは過剰防衛でしょう。道義的には無罪だなあ)。
つか、早く助けろということだよな。こうなる前に桜井を取り押さえるなり引き離すなりすれば、誰も逮捕する必要はなかったはずだ。実際、以前に路上でしばき隊の野間さんと遭遇した際も、桜井会長は自分よりずっと小柄な野間さんの胸ぐら掴んで引きずりまわしているが、この時はしばき隊の別のメンバーが「やめろ、落ち着け」と間に割って入ったので、怪我だの逮捕だのいう話になっていない。
傍にいて目撃してたんなら、今回は警官がその役割を果たすべきだった。うがった見方かもしれないが、「桜井逮捕」となれば新聞などでも報道されることは明白で、ついでに抵抗した被害者側も逮捕して、ニュースを聞いた人の受ける印象の「バランス」をとったとしか思えない。報道にも桜井会長の戸籍名と共に、被害者側であるSさんの名前まで報道させていることで、ますますその印象は強まる。
今回はヘイト「デモ」の出発前に頭目を逮捕されてしまったことで、レイシスト側が興奮して反対側の歩道にいた人たちへの突撃を繰り返したため、警察もやむなく彼らの多数(14名?)を隔離し、目の前で明らかな暴行を働いた3名の合計4名を逮捕した。そしてそれと「バランス」をとるためにカウンター側からも同じ人数を連行したとしか思えない。
当初、カウンター側が「逮捕された」と認識できたのは2名。そのままでは人数差から、「まあレイシスト側が襲撃して揉めたんだな」という印象になるが、同じ人数だと「どっちもどっち感」が強まる。あとから任意出頭して拘束された人は、まさに人数あわせとしか言いようがない。
以上、まあ、私もだな、できることならカウンター側からの目撃者と警察発表だけでなく、レイシスト側の言い分も聞いて、三者の言い分を総合的に判断したい、しようと思っていたわけだが、早々に逮捕された桜井会長に対しては「警察署に被害届を出しにいって署内で現行犯逮捕されたのだ」とか、タックルされて昏倒した人は「日射病で倒れたのだ」とか、もうむちゃくちゃなこと言っているので、どうにもこうにも参考にできない。
それは私のせいじゃないから、君らの説明(言い訳)がむちゃぶりすぎるだけだから。なんだか以前に逮捕されて有罪判決(執行猶予付)を受けた時、それを「無罪判決を勝ち取った!」とか言ってたのを思い出したよ(爆笑)。あの時は本当にえげつなく一般常識が欠如しているだけなのか、「ウソも100回言えば本当になる」というヒトラーの迷言を実践しているのか判断に迷ったよなあ(まあ、普通なら後者なんだろうけど、彼らの場合は……ねえ(笑))。
だいたいなんだよその「被害届出しに行って現行犯」って、わしゃてっきり被害届が受理されないんで、桜井さんが署内で暴れたのかと大真面目にそう思った(爆)。まさかいくら「あの桜井」でもそこまで壊れてないでしょ?そりゃ単に逮捕されて署に連行されたんであって、だから「現行犯」なんですよ。んで、ちょうどタックルかまされてコンクリに頭打ったところでタイミングよく日射病になるって、なんだよそれ。それで、なんで日射病で医者がCTスキャンとらせんの?そりゃ頭部に外傷があって、意識混濁がみられたからに決まってるでしょうがね。
さて、ここで私は声を大にして訴えたい。不当に逮捕された4名を救援しよう!新宿署の不当逮捕を糾弾しよう!と。あまりに「桜井逮捕」が目立っていて、ネット上ではそちらばかりに目がいちがちだけれど、これは「桜井逮捕事件」というより、これは「4名不当逮捕事件」だからね。
「桜井が逮捕されてザマーミロ」とは私は思えない。確かに「デモ」中の逮捕はレイシスト側が興奮してハネたことによる、突発的な側面があると思うが、「デモ」前の桜井回収は、ある程度は公安の計画的な判断だったかもしれない。今のところは推測の域をでないけれども、今後、反原発デモなど各地で、次々と逮捕者が増える可能性は充分にある。その第一弾として「在特会」を使い捨てするのは、警察の「公平さ」を印象付ける上でも最適のチョイスである。
新大久保「デモ」は逆に彼らに対する一般の嫌悪感をかきたて、国会でまで問題視されるようになった。反差別のカウンター行動が今以上に盛り上がる前に、ここらが潮時というわけだ。一般警察と違って公安警察は全国一律の判断と方針、指揮命令系統で動いている。どこにいようとしばらくは注意が必要だ。
そこで私たちが先制的に「逮捕おかしいぞ!」「早く仲間を返せ!」と言う声をあげていくことは大切だと思う。ただ、救援というのは被弾圧者の意向が第一であり、救援担当者の方針を聞いてからでないと、うかつに自分勝手には動けない。かえって大迷惑ということもあるからだ。
一応セオリーとしては、救援会の立ち上げ、サイトの公開、事実関係の説明を兼ねた抗議声明の発表、カンパと賛同の受付などと進むのが通常だ。今回はどういう形で進むのか、本人と救援担当の方の意向がまだわからいけれども、できることなら、私たち外部の人間にも、何かしらの手助けはさせてほしい。それに救援会の結成は、中の人間にとってはなんだかんだ言ってうれしいものだから。
それと、逮捕者の内訳みたいなのもまだよくわからない。しばき隊、プラカ隊、どちらでもない一般の抗議者などがあると思う。その中で、しばき隊とプラカ隊について、いろいろとネット上で批判しておられた方がおられるのは知っている。だが、今回の私が呼びかけているのは、その論争の中で「どちらにつく」とかそういう話ではない。
たとえ普段は口角泡を飛ばして激しく論争し、つかみ合いの喧嘩をしている同士であろうと、権力弾圧に対してだけは一致団結して助け合うのが、左翼の良き伝統であったじゃないか。内ゲバ中の相手に対してでさえ、権力が手を出してきたら、最低限でもその間は相手への攻撃を停止する、権力の手伝いはしない、それが常識だった(それを破ったカクマルはだから権力の手先あつかいされたはず)。
もしかしたら、しばき隊やプラカ隊の皆さんからは、「お前らの助けなんているか!」とさえ言われるかもしれない。だが、そんなことも関係ないのだ。それでもできることがあったら何でもするべきだ。自分のちっぽけな自尊心だの、自派のメンツとかのためでなく、それこそ日本人民全体のため、卑劣なレイシストとの対決のため、在日市民との連帯のために。まずは「不当逮捕おかしいぞ!」の声を、どこかで、たとえ一言でも、みんなであげようじゃないか。
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少しは自分を振り返ってはどうですか?
あなた達が「在特会」に対してやっている事がヘイトスピーチだと思いますが。
それとも自分がやっていることは綺麗な差別だと言うんでしょうか?
それでは、結局ポルポトがやってきた事と変わらないんじゃないですか?
自分がやる殺戮は、新しい世の中を作ることだから正しい事だって。
はて、意味がよくわりかりませんねえ。
まず、「あなた達」および「やっていること」の内容がわかりません。ひとつで代表できるようなことではないと思うし、それこそ右翼から左翼からノンポリまで、いろんな人がいろんな言葉と趣旨で「在特会」の差別とイジメに抗議していますが、その中には私からみても、さすがにこれはどうかと思うものもあります。だから具体的に言っていただかないと、うかつに返答できません。
次に、イジメや差別に反対し、注意してやめさせるという至極単純なことに、なんでポルポトまで出してこないといけんかわかりません。世の中にはやっていいことと悪いことがあるというだけです。彼らのやっていることは単なる人権侵害です。言論とか政治主張とか表現の自由などとは何の関係もありません。ただ、絶対に反撃されないだろう弱い者のところにいって、「殺せ!殺せ!」と騒いで溜飲を下げているだけです。
在日外国人問題、アジア外交など、いろんな人がいろんな立場から意見を闘わせ、その対立は激しいものもあります。けど、「在特会」問題はそれらの議論とは何の関係もありませんよ。まあ、あなたが「俺には気に入らない奴を殴る権利がある。なんなら殺す権利もあるのだ。それを邪魔する奴はポルポトと同じだ」という考えの持ち主なら別ですが。
(追記)厳密に言えばこういう、ならず者を生み出して容認してきた社会構造という意味で、「何の関係もない」とは言い切れません。私(たち)はその点を重視しています。「在特会」が民主主義社会では看過しがたい現象であることは、左右ともに意見が一致しますが、こういうレイシズムが愛国主義イデオロギーの当然の帰結なのか、それとも「方向を間違えた病理現象」にすぎないのかについては、右派と左派で論争になる部分です。
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