■激動の2015年を前に、じっくりと選挙結果を振り返ってみる
さて、人生に何度もないそのような年を迎えるにあたり、今月14日に投開票された衆院選の結果を見ておくことはさけられません。以前にも何度か国政選挙や都議選で「選挙結果分析(もどき)」というのをやったことがあるのですが、意外と好評だったのでまたやってみたいと思います。事前には様々な解釈や予想が飛び交い、私もいろいろと予想(というよりは想像)していたのですが、どうも有権者の動向というか、街の人々の空気のようなものがさっぱり感じられずに戸惑いさえおぼえるような選挙でした。ですがいざ開票が終わってその結果を見てみますと、大変に納得できるというか「なるほどね」と思わせるもので、いわゆる「民意」と言われるものは、私の意識と大差なかったのだなあとしみじみ思います。
使用したデータは総務省が発表した最終確定票数を元に、私が手作業で計算しました。なのであまり細かい数字は信用せずに(おい!)ざっくりとした傾向を把握する感じで見てください。小選挙区はすべての党が候補を立てているわけではないので、ここでは有権者の意向が最もストレートに正しく反映される比例区の票をもとに計算しています。
■今や棄権の多さこそが民意の特徴である
さて、それではまず選挙当日に有権者がとった行動を見てみましょう。それがエントリ冒頭にある図1の絶対得票率で、各党が全有権者の中でどれくらいの得票を得たかというものです。これをみますと有権者の半数に迫る人々が棄権を選んでいることがわかります。「圧勝」したはずの自民党に投票した人は、全体のわずか17%にすぎません。特に今回は投票率が前回にも増して低く、戦後最低のワースト記録を更新しました。いくつかの県ではなんと5割を切っており、投票に行かないことのほうが「普通」になっています。
安倍は「民意の信任(白紙委任!?)を得た」と勝手な解釈をし、共産党の志位さんは「共産党が大躍進したということもまた民意である」と言いました。ですが私は民意がどうのというのであれば、半数近い人が投票に行かなかったというこの事実が、今回は非常に特徴的な「民意」であると(少なくとも政治家たちは)認識しないといけないと思う。
棄権した人への街頭インタビューでも、従来は「どうせ投票しても変わらないしぃ」みたいな、いかにもな人がいかにもな理由を笑顔で語っている絵面が多かったのですが、今回はどこのチャンネルでも「入れるべき人がいない」「入れたい人が皆無なので行くに行けない」などと、語気を強め怒りさえにじませて語る人が目立ちました。北海道の比例区では「支持政党なし」という名前の泡沫政党が「この選択肢がほしくありませんか」というキャッチフレーズで、社民や次世代を上回る10万票という予想外の大量得票をしています。
これは単に「棄権が多かった。嘆かわしい」みたいな話とは何かが違う。なのにこの状況に危機感をもっている政治家はほとんどいないのではないか。もし次回の国政選挙で投票率が過半数を切るようなことがあれば、それは国民の無関心というより与野党を含めた今の国政全体に対する不信任ともなりかねず、まさにファシズム台頭直前のドイツにも比すべき事態です。
さて、このことについての分析や感想は後にして、今少し統計を見ていきましょう。
(次回に続きます→)
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2014年衆院選 絶対得票率
棄権48%
自民17%
民主10%
有権者最大の団体は「棄権」で48%