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人権と尊厳

どこが「普通の国」やねん!-クルド人難民送還に行動を

 本当に嫌なニュースです。迫害を逃れて「自由主義国家」である日本に助けを求め、国連難民高等弁務官(UNHCR)によって「難民である」と認定されたクルド人、カザンキランさん親子を、日本政府が迫害の恐れのあるトルコに強制送還しました。UNHCRはこのようなことは前例がないと憂慮しています。

 カザンキランさんは空港でトルコ警察に拘束されたようです。取調べを受けた後でいったん警察署から解放された模様ですが軍隊に入れられるとの情報もあり、詳細は不明とのことです。

 法務大臣に送付した口上書の中で、このような措置は国際難民法上で禁止されている「ルフールマン(迫害を受ける危険性のある領域に人を送り返すこと)」の行為にあたると指摘しています。
 「井の中の蛙大海を知らず」。捕まえて送り返すことしか能の無い入管当局の小役人達のこの行為が、どれほど日本の対外イメージを傷つけたかは計り知れません。「アジアの人権小国」として世界の人々の脳裏に驚きと共に刻まれてしまいました。入管の小役人達は、そんなごく普通の政治感覚も持ち合わせていないようです。

 はっきり言いましょう。日本政府は、脱北者をせっせと北に送り返している中国政府を批難する資格はない!と。日本と中国は同じ穴のムジナである。

 かつて「普通の国」という言葉が小沢さんなんかを中心に言われていたわけです。そこから導かれるのは、自前の軍事力であるとか、集団的自衛権みたいな軍隊がらみのものばかりでした。「そんなのは世界の常識で、9条のほうが非常識である」と。

 しかしそれは自分の言いたいことにあわせた「いいとこ取り」です。「世界の常識」とやらをモノサシにして、「日本の非常識」を正すというのなら、たとえば起訴前に国選弁護人がつかないとか、刑事の取り調べに弁護士が立ち会えないとか、別件逮捕なんてのはどうなるんです?

 日本は驚くなかれ「拷問禁止」の国際条約にも加盟を拒否しています。だから刑務所を査察する第三者機関もない。名古屋で受刑者が刑務官の拷問で死亡したのも記憶に新しいというのに。軍事は「世界の常識」に従い、人権は「日本固有の事情」ですか?
 さらに日本は人身売買の最大の受け入れ国の一つとして問題視されています。多くは売春目的でブローカーに売られてきた女性達ですが、欧米各国では「保護」の対象である彼女らを、日本は不法入国の「犯罪者」として逮捕し、機械的に送還するだけです。

 「外国人の受け入れ」だとか「在日外国人の処遇」だとか、そういうことではなくて、そもそも国連が認定した政治難民を、逃げてきた本国に強制送還して家族を引き裂き、一生会えないかもしれない状況に置くことが、「普通の国」の、いや、血の通った人間のやることなんですか!
 小泉総理はイラク問題では「国連中心」を提唱したこともありましたよね。やっぱりあれは「対米追従」の批判をかわすためのその場限りの適当な二枚舌だったんすね。

 日本はビルマの軍事政権から逃れて亡命を求める人々も逮捕して強制送還しようとしています。その問題についてはまた後日書きます。

 とにかく日本政府批判は後です。あらゆる政治的な立場の違いを超え、それぞれが一人の人間として、カザンキランさん父子の送還に抗議し、彼らの身柄の安全と、入管当局による更なる暴挙を阻止するために、個々人ができる限りのことをやりませんか!

以下、「クルド人難民二家族を支援する会」と「東チモール協会」からの行動要請アピールを転載します。(太字化は草加による)

*****************************

「クルド人二家族を支援する会」行動要請

クルド人二家族を支援する会の國場です。
強制送還されたクルド人難民の家族についての情報です。
重複お許し下さい。広く転送をお願いします

これを読んでいる皆様、彼らを助けるために力を貸してください。どうかお願い致します。

【1】トルコの二人の状況と国内の家族の状況について
【2】今後の行動予定

【1】トルコの二人の状況と国内の家族の状況について

現地からの情報によると、カザンキランさんはトルコの空港に到着後、一時警察に拘束され、取調べを受けたが、その後、警察署から解放された模様。ラマザンさんは警察には捕まらなかったが、軍隊に入れられるとの情報があり、しかしながら詳細は不明です。その後の動きはまだわかっていません。

しかし、安全が確保されたわけではなく、しばらくしてメディアや人の関心が薄まった頃に危険が及ぶ可能性があります。(過去の報道で、釈放された人を追跡調査すると行方不明という事実がある。更に、解放後も警察の介入があることで、身の危険は依然として続いている状態。)

今後何が起こるかわかりません。

ある議員からの情報で、、入管はカザンキラン家の残りの家族も収容するとの情報が入りました。強制送還の手続きを進めているようで間違いなく強制送還をするつもりです
国内の家族も非常に切迫した状況です。

1月21日(金)9時にはエルダル・ドーガンさんの入管への出頭が、
1月24日(月)9時にはカザンキラン家の残り5人の入管への出頭が予定されています。

エルダルさんは裁判が終わっていないため、すぐに収容されないとの見方もあるのですが、マンデート難民を送還した入管ですので、今後どうなるかわかりません。

法務省・入管への抗議、トルコ大使館への送還された二人の安全の要請、EUへの支援の要請の電話、FAX、メール等の働きかけのご協力をお願いします。

【法務省】
FAX:03-3592-7393 
EMAIL:webmaster at moj.go.jp
 
【東京入国管理局】
品川
→電話 03-5796-7111
退去強制執行部門
→電話03-5796-7122(直)
→FAX: 03-5796-7125

【トルコ大使館】
e-mail : embassy at turkey.jp
Tel : 03-3470-5131
Fax : 03-3470-5136 
            
【EU 駐日欧州委員会代表部】 -日本語可-
住所:千代田区三番町9-15 ヨーロッパハウス
Tel: 03-3239-0441 Fax.:03-3261-5194

【2】今後の行動予定

(1)出頭日の品川入管への結集
(2)緊急院内集会・法務省抗議文提出

1)更なる強制送還を許さないために入管前に結集を!

残された家族はほぼ収容されることが確実です。以下の日時に結集をお願いします。

場所:品川・東京入管前
アクセス:JR品川駅東口(海岸側)からバス([品99])で[東京入国管理局前]下車
      下車してすぐ分かります。品川駅から15分くらい
   
★1・21(金)09:00 エルダル・ドーガンさんの出頭日
★1・24(月)09:00 カザンキラン家、後の5人

2)緊急院内集会・法務省抗議文提出

カザンキラン家は国連からのマンデート難民認定を受けており、その上、六万以上の難民認定を求める署名を法務省に提出したのにもかかわらず、強制送還をされてしまいました。マンデート難民認定者を送還したのはこれが初めてで、今回の送還は非人道的で国際法にも反しています。
この今だかつてない暴挙、そしてまた残りの家族の送還の手続きを進めている法務省・入国管理局に強く抗議の声を上げるとともに、二家族の身の安全を強く要請したいと思います。ぜひとも一人でも多くの方にお集まりいただきたいと思います。

日程1月21日(金) 

9時~ エルダルさん品川入管出頭
14時~15時30分 院内集会 場所:参議院第一会議室
            
法務省が調整中のため法務省前に集まり、抗議文の提出。時間未定

時間がわかり次第ホームページに掲載します    

クルド人難民二家族を支援する会HP(http://homepage3.nifty.com/kds/)

********

「東京東チモール協会」行動要請

益岡@東京東チモール協会です。
#転送歓迎

トルコに強制送還されたカザンキランさんについて。既に紹介があったかも知れませんが、UNHCRのウェブサイトから、要請を送ることができます。

1)http://www.unhcr.ch/cgi-bin/texis/vtx/contactにアクセス。

2)ページ真ん中の下にあるTo contact UNHCR Headquarters click hereというところで、click hereをクリック。

3)自分の情報を入力します:First Name(名前)、Last Name(名字)、E-mail Address(メールアドレス)、Country (日本をメニューから選びます)、Your concern (Individual casesを選びます)、Question(自分のメッセージ[下の手紙例を参照して下さい]をここに入力します)

4)住所は入れなくてもよいですが、入れる場合は(例):Address(1-2-3 Minami-machi,Nakano-ku)、City(Tokyo)、Postal Code (1xx-1xxx)、State/Province (Tokyo)

4)Submit my informationをクリック。

5)Please help us to ensure that your email is correctly forwarded by making a selection in the “Origin of applicant” and “Asylum country”boxes belowという画面が出てきます。
・Origin of applicantにTurkeyを選びます。
・Asylum countryにJapanを選びます。

6)Submit my informationをもう一度クリック。
そうすると、
Ken, we have received your comments and they have been forwarded to the appropriate department for action. Thank you for taking the time to communicate with UNHCR.
といったメッセージが出ます。

メッセージのサンプル

(主なポイントは、アフメット・カザンキランさんとラマザン・カザンキランさんを虐待しないようトルコ当局に圧力をかけるよう求めることと、日本当局が、まだ東京にいる他の 家族のメンバーを逮捕し強制送還を防止するために、全員が第三国へ行けるまでUNHCRのビルを避難所として入れさせることです):

適宜変更したりご自分で思うところを書いて送って下さい。
—-
I am writing this to urge you to take immediate action to protect Kurdish asylum
seekers Ahmet and Ramazan Kazankiran. They were forcibly deported back to Turkey
by the Japanese government on 18th January. They were deported despite that fact
that both of them along with other family members have been formally recognised
as mandate refugees by the UNHCR. As a UNHCR spokesperson said, the deportation
was “contrary to Japan’s obligations under international law.”

Ahmet and Ramazan are in danger of being abused, or worse, by the Turkish
authorities. I urge you to take immediate and effective steps to ensure that
they are not harmed. I also ask you to safeguard the remaining family members
in Tokyo, who are in danger of being forced back to Turkey. The UNHCR must
take effective measures to ensure their physical safety and I ask you to offer
them sancturay on UNHCR premises until they can move safely to a third country.

Yours sincerely,
あなたの名前

旗旗サイト内リンク

緊急]24日午前8:30品川入管前に集合して下さい
「国民」の反対語は?

参考リンク

クルド人問題研究会
難民とは?(アムネスティ・インターナショナル日本)
 └ 難民の定義、各国の現状、参考文献ほか
Kurdish in Japan
 └ 自己紹介、日本に来たわけ、トルコでの生活 など

Kurdish 2 Families Struggle in Japan & in Turkey
クルド人難民二家族を支援する会
クルド人難民申請者の強制送還(益岡賢のページ)

前例のない難民の強制送還に懸念(国連難民高等弁務官事務所)
クルド人父子の送還に抗議する(アムネスティ・インターナショナル日本)

よろしければクリックして下さい→

コメントを見る

  • ”井の中の蛙大海を知らず”には続きがあります。”されど天の高さを知る”、、、

    小役人には”大海の回遊魚、大海におぼれ、天を知らず”がふさわしいかと思います。

    初回、2回ののかなり長文の記事読ませてもらってます。これまでブントは、経済原理に重きを置いた、反社会帝国主義を主張していたと思いこんでいましたが、人間の精神性に踏み込んだ”スタ克論”というのをヒュウガさんが掲げていたのは、”以外”でした。とともに非常に興味深く思いました。

    天皇制マルクス主義を掲げたマル青同?とか赤ヘルの人は思考がユニークですね。
    PS
    敬意を込めてトラックバックさせていただきました。僕の笑える経歴を酒の肴にしてください。

  • クルド人難民送還について本当に、本当に!驚きました!普通出来ることじゃないです!
    難民とかということより人間として、どういう状態にあるのかとか、そういうことを考えてほしかった。いったい何を考えているのか日本政府は・・・北朝鮮を批判する資格ないね。
    冷たい、冷たすぎる日本政府は。これから海外に行ったときに困ったときには助けてくれないよ!海外の国々はちゃんと日本を見てますよ!