4・29天皇式典を粉砕せよ!
-帝国主義天皇制攻撃と闘うために
戦旗社
1986年2月10日発行
中曽根政権時代の「天皇在位60年式典」と東京サミットを一体化した、戦後政治の一大路線転換との闘いの中で生まれたパンフレット。中曽根の「戦後政治の総決算」路線こそが、その後の小泉、麻生、安倍政権などで完成を目論まれた路線であり、その原点であった。
彼らが目指したものはいったいなんであったのかがよくわかるという意味で、その後の民主党政権時代をも含めて現在的にも意味を有しているパンフであると思う。
この時代、それまでの「経済重視・軽武装」と評されたいわゆる保守本流政治が全面的に転換されていった。米軍と自衛隊との一体化による軍事的プレゼンスの増大、天皇制・靖国イデオロギーの強制による国民統合、そのための「教育改革」、福祉などの国民保護政策を切り捨てる「行政改革」、そしてそれらと表裏をなすものとして治安機構の公安化による反体制運動の弾圧や、さらには国鉄分割・民営化と、総評解体=右翼的労戦統一による労働運動の無力化など、まさにその後の日本社会を決定づけていったファシズム的な政策が一挙かつ短期間に推し進められた時期である。
何より問題なのは、これらの極めてイデオロギッシュで戦前回帰の復古主義な日本民衆への攻撃に対して、それまで経済的な物取り要求に安住してきた社共・総評などの左翼部分が、対抗的な世界観をなんら提起できず、中曽根のファシズム回帰政策に、なすすべもなく敗退していったことであると思う。
実は歴史はアメリカの後退と日本の経済成長の終焉=危機の到来、ソ連などのスターリン主義の行き詰まりという、いわば新左翼が主張していた通りに歴史は進んでいたし現在も進んでいるのであり、本来なら新左翼のみならず、左翼総体がチャンスとすべき時代がはじまったにもかかわらず、社共はもはや「パイの取り分」を要求していればいいような時代ではないという歴史の変化に全く無自覚だったとしか言いようがなく、また、当時、セクト主義や内ゲバにのめり込んでいた新左翼運動も、それに取って代わるような希望を示すことはできなかった。
パンフレットでは、これらの個々の攻撃や問題点について論及すると同時に、とりわけ天皇制・靖国について、その成立の段階から現在までを簡単にではあるが鳥瞰することで、左翼と日本民衆がとるべき原則的な方向を提起し、その大道に戻るべきことを訴えている。
(以下目次)