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連載2】得票で見る現実の社会的力関係ーグラフに表れた民意の実態

 今回この層は、勢いのある(勝てる)立民に戻ったということでしょう。だいたいこの層にとっては、自民を脅かして引っ掻き回してくれないのなら、こいつらに投票する理由はあまりない(世論は「勝てない」ところにはあまり集まらない)。また、安倍が九条改憲を明確に掲げだしたことで、ひさびさに有権者の「護憲バネ」がはたらいたということが言えるかなと思います。

内閣支持率は低いか?‐「議論に応じない」戦術が奏功

 「内閣の支持率が低いにもかかわらず」ということがよく言われます。本当のところはどうでしょうか。以下はNHKの世論調査による支持率の推移です。

 たしかに衆院選時は不支持が支持を上回っていました。その差は数パーセントですが、まだこの程度ですんでいるのは、そして選挙後に支持率が若干回復しているのは、モリカケ疑惑から徹底的に逃げ回ってヘタに釈明もせず、議論の場を封じてひたすら嵐が去るのを待つという戦術が功を奏しているからだといえます。

 とにかく安倍内閣は議論をしないで印象操作だけで逃げ切るというのが特徴的な政権です。戦争法も共謀罪もそうでしたし、改憲もその作戦でいくでしょう。だいたい今回の解散自体が疑惑の議論から逃げることが主目的です。もし解散しないでこのまま国会論戦が進めば、かなりの危険水域に達していたことは間違いなく、選挙前は、「もはや安倍内閣での改憲は難しくなった」と予想する論者も多かったです。実際、この期をのがして来年の半ばまで解散できなかったら、そのまま安倍退陣の流れになっていったろうと思います。

 議論が深まれば深まるほど、反対や不支持が増えることを安倍はよく知っている。議論に応じず、その一方で「経済が第一です!アベノミクスです!道半ばです!」と言ってれば、景気と生活を判断基準の第一にあげる国民はだませる。そこそこの支持と選挙での勝利があればあとはなんとでもなる。それこそあいつが第一次安倍政権の失態で学んだことでしょう。
 いわば手品師が、右手で派手な動きをして観客の目を集めつつ(アベノミクス)、左手をポケットに入れて本命のタネを仕込む(改憲・戦争)のと同じですね。

 とはいえ、高かった支持率も、ようやっと5割前後でもみ合うくらいなったかという印象です。今は疑惑から逃げ回る作戦のおかげで有権者の批判意識が燃料不足に陥り、おかげで支持率も持ち直していますが、このまま野党がヘマせずに逃げ切り戦術を許さず、疑惑についての議論が深まれば、また燃料は投下されて支持率は下降するでしょう。逃げの一手もやりすぎると致命傷になりかねないですしね。安倍としては逆に支持率があがるような燃料(観客の目をひきつける手品のネタ)を必死に考えて焦っているところでしょうね。

 それでも「まだ5割もいるのか!」と思います。これだけの状況を考えれば決して低くはない。ただ、細かく見ていくと、支持の理由が各社の調査でも「他に適当な人がいないから」などの消極的な支持が増えており、「政策に期待がもてる」「総理の人柄(←もはやネタ 笑)」などの積極的な支持が減っていることは留意しておく必要があります(自民党の内外にでも「適当な人」がいればいつでもひっくり返る)。

もう一つの民意ー大量の棄権

 そりゃあね、私だって棄権した人がせめて3割台だったらこんなことは言いませんよ。2割だったら「棄権した人のことなんか知らないよ」と言いますよ。無政府主義者みたいに政治的な信条(意思表示)として投票拒否をしてる人は別としてね。でもこれはちょっと酷いでしょう。


 この結果を見て、おまえら5割を切ったらどうすんだ!棄権する奴が悪いだけですむのか!と本気で思いました。かつて参院選の投票率が下がり続けて、テレビで評論家が「5割切ったら参院そのものへの不信任ですよ。政治家は反省しろ」みたいに言ってましたが、衆議院でもそういうことが現実味をおびてきた。

 小選挙区になったとたんに、政権交代選挙をのぞいて投票率が下がり続けていますが、これはたとえば知事選とか市長選で「各党相乗り現職 VS 共産党単独候補」の時に、投票率が3割くらいまでに下がってしまうのと同じ現象ですね。こういう知事選ほどではないにしろ、当選者が一人しかいないんじゃ、投票前から結果がわかってしまうことが多い。元々の基礎票や組織をもった「足腰の強い」大政党、とりわけ第一党しか勝てないわけで、しらけるんですよね。

 安倍政権登場時の、自民党が政権復帰した選挙で、自民の得票は大敗した政権交代選挙時よりも実は減っていたというのは有名な話です。ところが片や大敗で片や大勝という結果。それを可能にしたのが投票率の大幅な減少でした。投票率が下がるほど自民に有利。だから野党候補は口をそろえて「どこに投票してもいいから、まず選挙に行こう!」と言うわけですね。でも有権者は笛吹けど踊らずというわけです。

 つまり組織票や基礎票で結果が見えているような状況で、それでもどうしても入れたいような候補や党がいないわけです。そこで悪天候のせいばかりにしたり、あるいは棄権した有権者を責めるような時期はもうすぎたのではないでしょうか。もはやこれも一つの民意と受け止めるべきであって、政治家ではない市民運動(大衆運動)はこういう有権者の閉塞感の突破口をさがすべきです。

 かつては民主党がその受け皿となり、今回は希望の党がそれを狙って失敗した、そしてはからずも立憲民主党が不十分ながら一部その役割というか風を受けたということでしょう。もっと古くは新左翼運動の成功もその分類にいれていいだろうと思います。

 まあ、今回の小池百合子さんが、安倍自民は強そうにみえていつでもひっくり返る程度の基盤しかないと見抜いた点、そして「寛容な保守」というキャッチコピーで対峙したところまではそのセンスに感心しましたが、実はもともとこの人は「寛容」でもなんでもない、仲間の考えの違いや多様性を包摂できずに「管理」する発想しか出来ない人だということが知れ渡ってしまいました(笑)。反原発とかでもそうだったけど、運動が高揚した時にはこういう人が必ず出てくるよね。運動が停滞してくると一番に叩かれたり落ちぶれたりしていくんだけどね。

 「閉塞感ってお前、そのために比例区があるんだろうが」という人もいるでしょうが、比例は自民にとっては「中小政党に配慮してやっただけの余計なもの」あつかいで、比例の結果(世論の正確な反映)が政局に影響を与えない程度におさまるよう常に注意がはらわれて、定数減の対象にされており、本来の「小選挙区制度の欠陥を補う」という制度的意味がなくなっているのです。

 このまま比例の定数が減り続けると、いかに比例といっても定数がある限度を超えて少なくなると、小選挙区と同じく死票が増えて大政党だけしか当選しない民意を歪めたものになります。考えればわかることですが、当選者が同じ割合のまま定数だけが減るのではない。比例と小選挙区の定数が半々でせめて250くらいないと、せっかく比例を導入した制度的意味が半減以下です。

 さて、次回は来年に向けて激しくなる沖縄の人々との連帯運動、そして改憲阻止運動にむけて、注目の沖縄選挙区における有権者の行動の分析、および全国的な9条改憲についての世論との関連についてみていきたいと思います。
 それではまた。 (* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪
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    私生活も忙しくグダりかけてきたので、エタる前に準備したグラフをすべて出して一気にいきます。とっても参考になる保存版だよ~ っ
    て、自画…