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国家・国籍

ウトロ平和祈念館が一周年で記念式典 ヘイトのりこえる共生の希望として

出典:ムービー IWJ

(投稿者:司宮二

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ウトロ平和祈念館とは

 第二次世界大戦中、京都のウトロ地区では、日本軍の基地建設のために朝鮮人労働者が動員された。戦後、彼らは無補償でそのまま放置された。ほとんどの人は帰国を望んだが、一部の人は様々な困難な事情を抱え、ウトロを第二の故郷と定める。しかしその歩みは差別の中で貧困にあえぎながらの苦労に満ちた歩みだった。

 ところが基地関連の敷地を国から引き継いだ日産車体は、バブル景気の最中に住民に無断でウトロ地区を不動産会社に売り飛ばした。やがて不動産屋がいきなり重機で民家に押しかけるなどの地上げ行為が始まり、寝耳に水の住民は苦境に立たされることになった。

 しかし、長年協力してきた地元住民と日本人支援者の努力により、問題は解決し、彼らはウトロに住み続けることができた。これを記念して、戦前からの歴史を保存するための博物館が計画された。日本人と在日韓国人の共同平和事業である。

 しかし、この事業はネオナチやレイシストの攻撃の的となる。ついには、レイシストが完成直前の祈念館に放火を試み、周囲の家屋7軒が炎上した。こうした苦難を乗り越え、昨年オープンしたのが「ウトロ平和祈念館」だ。来館者数は当初予想の5倍以上にのぼった。1周年を迎えた4月30日には、喜びの中で記念式典が行われた。

ウトロ平和祈念館を支えてくださるみなさまへ
先日、4月30日にウトロ平和祈念館開館一周年記念式典ならびに関連イベントが行われました。

この日は延べ250名の方々が参加され、大変盛況に行われました。このように一周年記念イベントを盛大に行うことができたのも、日頃より当館を支えてくださるみなさまの温かい支援のおかげです。

これからも皆さんのご期待に応えるべく、より良い祈念館づくりのために尽力させていただきます。今後ともウトロ平和祈念館をどうぞよろしくお願いします。

ウトロ記念館公式サイト「開館一周年記念式典のご報告」より
この地区は1940年から日本政府が推進した「京都飛行場建設」に集められた在日朝鮮人労働者たちの飯場跡に形成された集落です。当時在日朝鮮人たちは徴用や貧困から逃れるために飛行場建設の過酷な労働に従事し、やがて日本の敗戦により工事が中断されると…
ウトロ地区の歴史 - 

ウトロ平和祈念館1年祝う 内外から来館1万3千人交流

ウトロ平和祈念館。右の木造は朝鮮人労働者の宿舎復元(出典:asahi.com

 京都府宇治市伊勢田町の在日コリアン集住地区にある交流施設「ウトロ平和祈念館」が4月30日、開館1年を祝った。来館者は延べ1万3千人に上る。地区内外の市民交流が進んだ1年を振り返り、新たな取り組みも披露した。

 ウトロは戦時中、国策の京都飛行場建設で集められた朝鮮人労働者の宿舎ができ、子孫ら在日コリアンの集落になった。地権者に土地の明け渡しを求められ、立ち退き危機に一時直面した。敗訴したが、日韓の支援で土地の一部を買い取り、危機は避けられた。祈念館はこの歴史を伝える。

 この日は住民や内外の市民ら約150人が集まった。田川明子館長(78)は「ここは朝鮮半島の南も北もなく、朝鮮人、日本人(の区別)もない。ウトロと共にありたいと考えた人たちの集大成がここにある。ここで出会って感じたものをお土産に持ち帰ってほしい」とあいさつした。
…(後略)…
(朝日新聞 2023年5月1日 全文を読む

ウトロ平和祈念館はこれから市民の力で運営をします。そのためにたくさんの市民の皆様に「できることから」のご協力をお願いいたします。…
サポーター・賛助会員募集 - 

宇治・ウトロ祈念館 来館者1万人超え 1周年記念式典

開館1周年記念式典で踊るウトロ農楽隊のメンバー(出典:mainichi.jp

 在日コリアンが集住する宇治市伊勢田町ウトロ地区の「ウトロ平和祈念館」が30日、開館から1周年を迎え、記念式典が開かれた。館を運営する「ウトロ民間基金財団」や地元住民、開館に尽力した日本人、コリアンら約250人が出席。第二次世界大戦を契機に成立した同地区の歴史を伝え、交流するという活動の1年間の成果を確認し、さらに発展させることを誓い合った。

 同財団によると、1年間の来館者は約1万3000人で、当初計画の2000人の6倍以上。来館者の国籍も多岐にわたり、個人以外に中学・高校・大学生の学習活動、企業の人権研修などさまざまな目的の団体来訪者もいるという。
…(後略)…
(毎日新聞2023/5/1 全文を読む

「ウトロ平和祈念館」開館から1年で記念イベント 再結成の「ウトロ農楽隊」が演奏披露

「ウトロ農楽隊」が演奏披露(出典:読売テレビニュース

 在日コリアンが多く暮らす京都のウトロ地区で、地域の歴史を伝える施設の開館から1年を記念したイベントが開かれました。…(中略)…

 イベントでは、かつて地区の文化を守るために活動し、1年前に再び結成された「ウトロ農楽隊」が演奏を披露しました。

 ウトロ平和祈念館の金秀煥(キム・スファン)副館長「歴史・伝統を守りたいという思いに寄り添いながら、いつでも元気で楽しい音が鳴りやまないように努めたい」

 集まった人たちは、朝鮮半島に伝わる伝統的な民族楽器の演奏を楽しんでいました

(読売テレビニュース 2023.04.30 全文はこちら

ウトロ平和祈念館 開館時間:金~月曜の午前10時~午後4時。有料団体研修ガイドは要予約。入館料:500円、高校生以下100円、小学生以下無料。
ホームページ:https://www.utoro.jp/

■ その他の記事

宇治市の「ウトロ平和祈念館」 開館1年で記念の式典(NHK 関西)
京都・宇治の「ウトロ平和祈念館」が開館1年で式典 屋上に太陽光発電を設置(京都新聞)
英紙も注目 “ウトロ平和祈念館は在日コリアンと日本人の共生の道を切り拓けるか”(COURRiER Japon-英紙ガーディアン記事の翻訳)

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ウトロ放火事件の犯人と被害者が拘置所で面会

(出典:カンテレ「報道ランナー」2022/08/30 全文はこちら

 在日コリアンが暮らす「ウトロ地区」で、空き家など7棟に放火した…(略)××被告が被害者の男性(注:ウトロ平和祈念館の副館長・金秀煥(キム スファン)さん)と拘置所で面会した場面に、記者が立ち会いました。ネット情報をうのみにし、一方的に在日コリアンへの恨みを募らせたという被告が初めて出会う在日コリアン。…(略)被害者の前で何を語ったのか…(引用・出典:カンテレ

ウトロ地区放火の動機は在日コリアンへの一方的な敵対感情

…(中略)…

××被告がウトロ地区を知ったのは犯行のわずか5日前。
インターネットで調べただけでした。

【××被告の(カンテレ記者への)手紙】
「祈念館の開館を阻止することで過去の歴史問題を知っていただきたい背景がございます。この件について『後悔があるか?』と問われると正直ありません」

金さんは、住民たちと共に12年を掛けてこの祈念館を作りあげてきました。
直接、××被告の主張を聞きたいと裁判を傍聴しましたが、被告の言葉は耳を塞ぎたくなるものばかりでした。

拘置所で被害者と初対面した××被告が語ったこととは

…(中略)…

【金秀煥さん】
「結局のところ何が目的だったんですか?」

【××被告】
「今回目的としていたのは祈念館に対しての疑問、非難と言ったらあれですが、抗議の意味です」

××被告は、金さんから目をそらすことなく答え始めました。

…(中略)…

【金秀煥さん】
「ずっと暮らしてきた街で住み続けたい、土地問題をどうにか解決できないのか…という思いを表現したものです」

【××被告】
「ウトロは“在日のふるさと”と書かれていましたが、私の中では“反日のふるさと”だと思っていました」

【金秀煥さん】
「ウトロには差別や強制退去の命令があったけれども、それを乗り越えてきた歴史があります。そして、それを支えてくれたのは日本の人たちなんです。だから反日ではなくむしろ日本人と一緒に作った街なんです」

「日本人と共に歩んできた」金さんのこの言葉を聞いたとき、××被告は「そうなんですね」と小さな声で答えました。

拘置所での面会を終えて金さんは、××被告の在日に対する認識を、少しは変えていけるのではないか…という希望を感じつつ、ヘイトクラム問題の根本解決には至らないもどかしさを感じているようでした。

…(中略)…

【金秀煥さん】
「ただどうしても、(××被告は)かわいそうな人だな、とも見えてしまうんですよね。彼にとっても、この社会が生きづらかったのかもしれないし。彼一人が変わったからと言ってこの問題が解決するわけでもないですし、変に改心したし良かったね…とハッピーエンドになってしまったら、問題の本質がすりかわってしまうので、ちょっとまだ自分の中でも整理ができていないような感じですね」

差別のない社会を目指して。
金さんは一つ一つ向き合っていくと決めています。

被告が信じていたデマとは

××被告は、ウトロ地区の住民は土地を不法占拠していると裁判でも答えていました。
しかし、…(略)土地の所有者と住民の間で合意書が交わされています。…(略)この合意のため、ウトロ地区の居住には法的な問題はないのですが、××被告は不法占拠していると解釈していました。

また××被告は、在日コリアンはお金を払わなくても医療が受けられると話していました。しかし、そのような事実はありません。生活保護を受けている人には、診療費や薬代が支給されますが、それは在日コリアンでも日本人でも同じです。在日コリアンだけが優遇される制度はありません。

(カンテレ「報道ランナー」2022/08/30 全文はこちら

ウトロ地区 ヘイトクライムの標的に…「共生」願う住民 平和祈念館オープンに込めた思い(関西テレビ)

   

(投稿者:司宮二

司宮二

基本的にROMっているおじさんですが、ネット巡回中に気になった記事や情報などを紹介したいと思います。苦情などは連絡フォームから、司宮二宛と明記の上で送ってください。草加さんにすべてをぶんなげですがよろしく(笑)。

コメントを見る

  • ネットって基本的に匿名の世界なので、相手の顔もわからないし、どこの誰が、どういった政治的、思想的立場で、どういった事実にもとづいて書いているかもわからないし、書いたことに責任をとらなくてもいい空間です。なんでそんなネット空間に流れる言説を裏づけもとらずに、そのまま、まともに信じてしまう人が多いのか本当に理解に苦しみます。

    • 花田娯作さま>

      そうですね。ずっと以前から何度も言われているのにね。
      たとえば私だって、一年くらいの時間をかけて、根拠や情報ソースも明確に示した上で、地底人や宇宙人の来訪やら、彼らに世界が裏から支配されている!というサイトを作って拡散させたりとかもできますしね。

      最近は少しはみんなも賢くなって、宇宙人くらいでは(少ししか)騙されませんが、それでも「ユダヤの陰謀」は未だにスタンダードですし、最近は「闇の政府」とかも勃興してますしねwww
      オウム真理教はこういうオカルトさえ、つまみ食い的に使っていたようですが、いっそ「論理的」でさえあるので、むしろ高学歴者のほうがよけいに心酔してしまったとかあるそうです。

      あとデマにも流行り廃りがあります。
      現在的に注意しておくことは、昔みたいに完全な嘘だけでなく、本当にちっちゃなちっちゃな「種」をみつけて、そこから手品みたいにデマを「発明」するという手法です。問い詰められたらその種から都合のいいところだけを切り出して、「信じたくないだろうがこれが真実だ!」とか爆笑なことをやらかすわけです。爆笑ですが、それで動揺したり信じる人がいるから悪質です。

      この発明手法で最近大成功したデマは、LGBT法案が通ったら、おっさんがLGBTを主張して女湯や女子更衣室に入ってくるというものです。これはLGBT支援の中でも一番の急進派による「隔離も差別」という主張を、針小棒大の上で捻じ曲げて発明されたネット発信のデマであり、ごく普通に考えて一笑にふされるべきものですが、LGBT当事者やフェミニスト穏健派の一部まで騙されて不安を訴える事態になりました。

      以前に『月刊HANADA』が「土井たか子は北朝鮮人の帰化であり北朝鮮を擁護しているのだ」とかネットのデマを堂々と掲載し、最終的に訴訟で負けて(戸籍出せばいいだけだから一回で敗訴決定)謝罪広告に追い込まれた失敗は、デマ製造のネトウヨ陣営にはトラウマです。近年は紙媒体だけでなく、Twitterなどネットでのつぶやきも「匿名だから無責任で済む」とは限りません。

      今後は個人を名指しにしたデマ(針小棒大の意図的曲解も含む)はデマ業界の主流ではなくなるかもしれませんね。LGBTとか朝鮮民族一般とか、さらにその言い方も「すべての朝鮮人がそうだと言わないから差別しているのではない」など巧妙化してくるでしょう。そんな言い方をしても差別には違いないというのは、もう国際標準なのですがね。若干はイタチごっこなところはありますが、思わず「え?そうなの?」とか思わないよう、私たちも注意が必要ですね。

  • 司宮二さま>

    もう一年でしたか。ご紹介をありがとうございます。
    ウトロは私の実家(伏見区)から比較的に近いこともあり、日産車体がバブル景気の中、そこに住んでいる住民を無視して無責任・無保障でウトロを売り飛ばし、そこから不動産会社の血も涙もない地上げ攻勢には心を痛めていました。

    今まで通り機械的に地上げしようとする不動産会社に対し、地元住民がそこに住んでいる経緯を知った裁判官も驚き、「単純な土地明け渡しでは済まされない」と、行政の一部もまきこんで、なんとか穏便に住民を助けたいと心を砕いたのであろう心境は裁判の経緯から察されます。ただ不動産会社がうんと言わないかぎり現行法ではいかんともしがたかったのはわかります。わかりますが…。

    てっきりこのまま、また日本社会の汚点を残すだろうかと思われましたが、私と同じように感じ、私のようなへたれと違って行動した地元の人々を含む多くの日本人の尽力もあって、こうして最悪の結果ではなく、むしろ未来への希望を示す結末になって、私は本当に嬉しく思います。その未来への和解と共生への希望こそが、むしろ最悪の結末にして対立と分断を煽りたかったレイシストには一番気に食わなかったのでしょうが。

    最良の結末になった原因をあげればいろいろあるのでしょうし、タイミングもよかったのでしょうが、根本的には人間の善意があると思います。それが人間の欲望や悪意や暴力をのりこえて、残念ながら「稀有」な例となったのだと。その教訓を祈念館として後世や他の地域の人々に残して伝える試みはとてもいいですね。

    それにしても、日産車体しかり、最近ではサンケン電気や徴用工問題も思い浮かびますし、DHC問題もありますが、企業側があまりに無責任であり、対応が最大限好意的に言っても機械的であることに疑念が絶ちえません。今や企業の業務以外の倫理観や社会観も世界的な売り上げにさえ直結するくらい見られているのが当然なのに、日本社会や企業は認識が甘くて遅れています。「SDGs」の無難なところだけつまみ食いしてお茶を濁していますが、その程度で「国際競争力の復活」を云々できるのかと思います。

    • 草加さまへ
      そうですね。私も予想していなかったので嬉しく思います。

      皆様へ
      草加さのご提案により、勉強不足で心配ですが、冒頭にウトロについての説明を追記しました。