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沖縄連帯

まだまだ厳しい #沖縄県知事選挙 のゆくえ―基地反対の民意は揺るぎないが…

■ 台風による災害と正確な民意の反映(投票率)が心配

 大型の台風が沖縄から北海道を縦断するコースで進んでおり、各地で災害が心配されます。また、沖縄ではちょうど知事選投票日前後に台風通過予測が重なっており、すでに竹富町など一部では投票の繰り上げが決定されるなど、投票率や勝敗の行方にも影響を与えるかもしれません。

大型で非常に強い台風第24号は、26日15時には沖縄の南の海上にあって、ゆっくりした速さで北へ進んでいます。…今後も台風はゆっくりと北上し、29日頃には非常に強い勢力で沖縄・奄美にかなり接近する見込みです。…今回の台風の特徴は・沖縄付近では動きが遅く影響が長引く恐れがあること…(気象庁災害情報より)

 すでに選管までが、できるだけ期日前投票をするように呼びかけているくらいで、投票日当日は出歩くことさえ危険な状況になるかもしれません。災害への憂慮と共に、自公・創価学会陣営が重要な争点での論戦をさけた「期日前投票戦略」を重要な柱としている中で、特にどの勢力にも属していない普通の県民のみなさんの投票が阻害されれば(投票率が下がれば)、正確な民意が反映されなくなるのではという点も心配です。

■ 新基地基地反対の民意は揺るぎないが

 琉球新報社など3社合同の世論調査(9月17日)では「玉城氏と佐喜真氏が互角の接戦」を繰り広げています。

 同時に辺野古基地建設についての考えについて訪ねた結果では、約70%が反対の意見。賛成派は17%でした。まさに沖縄県民の基地反対の民意は揺るぎないわけですが、一応は「個別政策」である基地問題では圧倒的多数派でも、その多数派をまとめきれるかどうか、または「基地反対」以外にも大きな成果を残した翁長県政の実績と、それを引き継ぐデニーさんの政策がちゃんと浸透した上で、それを相手候補の主張とくらべてお互いに公平な審判を受けることができるのだろうかと心配です。

 私がそう思うのも、とりわけ今年に入ってからの沖縄の地方選挙で自公候補は、(1)徹底的な争点隠し・候補者隠し、(2)徹底的な期日前投票戦術、(3)私たちの税金を使っての露骨な利益誘導、(4)エゲつないデマ宣伝・怪文書、(5)これまで中立だった公明党―創価学会ブロックの全面テコ入れ、(6)圧倒的な物量と人員の投入という、彼らにとっての「必勝の黄金パターン」を確立することで、基地反対の圧倒的民意を覆して連勝してきたからです。

 しかしこれは「公平な審判」という民主選挙の理念からはかけ離れた戦術であることはもちろんです。とにかく「勝てばいいのだ」「あとはどうとでもなる」という態度ですが、対するオール沖縄側も、この官邸主導のなりふりかまわない沖縄潰しに対して、効果的にちゃんと反論・対応してきたとは言えない…というか、こんなもんにすぐまともに対応できるほうがおかしいのですが。

■ 無神経な「応援」の問題

 これに加えて本土系列の「応援組」の無神経さに地元のオール沖縄が振り回されるという現象が、同じく本土系列で安倍官邸主導候補による「争点隠し」と並んで、公正な審判を阻害する要因として指摘されることがあります。

 これはもう「またか!」というくらい、実はよくある話でして、主張の左右とか保革とかに関係なく、「当事者と支援」の問題として、運動が広がってくるとある段階で必ず出てくる。特にネトウヨとサヨクが苦手な分野。ネトウヨは地元密着的な現場にはいないから目立たないけど、サヨクはすごく熱心で良心的な人でも(そういう人ほど)この罠によくはまる。

 一番の問題はこういう無神経な「応援組」の人は、自分では「いいこと」をしている「地元の皆さんのためにすごく頑張っているオレ」と思い込んでいること。このことを書き出すとすごく長くなるので、ここではこれくらいにして別エントリで書きますが、結論として、地元はこういう無神経な人に変な気を使わずに、基本的にはいったん帰っていただく(追い出す)しかないと思います。

■ ちゃんと見ている沖縄の人々

 そんな中でも私が特に驚いたのは、上であげた世論調査で、「投票先を決める際に重視する政策について聞くと『基地問題』が41・6%と最も高」かったという点です。いや、本当は驚くほうがおかしいのですが、本土の場合、戦争法や集団的自衛権問題、憲法改正など、原発問題もそうですが、よくて3番目、へたすれば5番目か7番目くらいにしか出てこない。沖縄のおかれた深刻な状況ということがもちろんあるにせよ、自分たちの未来や国のあり方を決める問題が投票行動に結びつかない、「票にならない」という本土の常識のほうがむしろおかしい。

 ついであげられた「経済、景気、雇用(26・7%)」にしても、基地の問題と切り離しては考えられません。産業の発展や雇用の確保、観光の振興、さらには教育や子育て環境の整備など、どれをとっても「沖縄の自立と発展」という視点でみる限り、基地問題の解決なくしてありえないことは小学生でもわかります。それは「国あり方と未来の進路」という観点でみる限り、本当は本土でも同じことなのです。そこが票にならないなんてのは、安保体制の嫌なところは全部沖縄に押し付けて、その上でのうのうと安保は必要だよねとか平気で言える。そんな私たちが見習うべきことです。

 それゆえにこそ、対立候補で日本会議の佐喜真氏は、この根本問題で今のように逃げたり争点隠しをしたりせずに、堂々と選択肢を県民に示してほしいものだと思います。だいたいが翁長知事の埋め立て承認取り消しについての賛否が「注視する」では、いったいどうしたいのかわけがわかりません。基地反対の民意が圧倒的だとは言え、一番の争点だと県民が思っている点を曖昧に流して逃げ切る戦略はいただけません。それで万一にでも勝ったら民意を無視して「県民は基地に反対してない」とか言い出すのではないですか?はっきり言って卑怯です。

 別に「沖縄の自立なんかより基地とバーターで補助金ぶんどったほうが手っ取り早い」とかいうのなら、それはそれで一つの選択肢でしょう。はっきりそう言えばいい。支持する人だっているでしょう。そういう選択肢も示さずに、日本会議の佐喜真さんは、やたら「愛国」「日本人」を強調されますが、それも今のままでは「沖縄は自立よりむしろ本土日本の犠牲になるべき」としか私には聞こえません。

■ 戦後最も沖縄に対して過酷な安倍内閣

 日本会議の佐喜真さんとは違い、ネットを巡回していると、保守や右翼、安保容認派の人でも、安倍首相の沖縄に対する頑迷で過酷な態度には疑問を呈する人はそこそこいるように見える。そこで必ずと言っていいほどあげられるのが、旧日本軍太田実司令官の「沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」という電文です。

 私としては、そこまで沖縄県民の悲劇に想いをいたすのであれば、なぜ早期に降伏の決断をくださなかったのかと思いますし、目の前でそれを見ながらなお「国体」が大事だったのかとも思います。さらに昭和天皇はマッカーサーに対してむしろ積極的に沖縄占領の継続を容認し、その後の「見捨てないでください!」という沖縄からの請願にも応えなかった。

 そして本土政府は結局沖縄返還後も基地を押し付け続けるのではありますが、それでも昭和天皇を含めて(現在の天皇も)戦争を経験した世代の保守政治家たちは、沖縄に対してなんらの「御高配」を与えずに本土の犠牲にした経緯について、ある種の後ろめたさのようなものは感じていたのではないか。

 まあだからなんだという話であって、結局は基地を押し付け続けて安保の犠牲を沖縄にしわ寄せすることで、本土の大部分の人たちにそれを感じさせないように立ち回ってきたことに変わりはないので、いささかも情状酌量の余地はないわけですが、それでもなんとなく引け目というか、気を使っているような雰囲気はあったように思います。そのあまりに急激な転換に、太田司令官の電文を持ち出したくなる保守派の気持ちもわからないではないです。

 世代が違うということもあるのでしょうが、歴代の内閣と比べて安倍首相と菅官房長官は異様に沖縄に対して冷酷です。それは太田県政時代と翁長県政時代をくらべて見れば一目瞭然です。第一次の安倍内閣で、山口県の岩国に対する仕打ちもエゲつないものでしたが、それとほぼ同じくらい。歴代政権は補助金や振興策についても、沖縄に犠牲を押し付け続ける中での慰撫としての性格が強かった。いくらなんでもそれを官邸の意向を押し付けるための脅しとして使うのは無茶苦茶です。だって振興や補助金は基地問題とは何の関係もない別物なのですから。首相の意向に従った「ご褒美」ではありません。だいたいが沖縄の知事候補に日本会議をもってくるという無神経さ!

■ 沖縄を「助ける」や「支援」でいいのか?

 こうして考えると、今の本土と沖縄の関係は、安倍内閣によって、かつてないほど異常なものにされています。基地問題を含めたそれらの解決は「難しい」ように言われていますがそんなことはないと思います。沖縄・本土政府・韓国などの東アジアで、散発的にリベラルな傾向をもつ政権が誕生しましたが、時期的にバラバラで適切なパートナーを得ることができずに窒息していきました。オバマ政権は本当に私たちにとっては期待はずれでしたが、もし日本の民主党政権時代(初期)に韓国で現在の文政権、アメリカでサンダース大統領が誕生し、沖縄の翁長知事との組み合わせであれば、安倍が解決できない問題も極めて短期間に解決できていた可能性は高い。

 現下の極東情勢におけるトランプ大統領の役割は、そのビジネスマン的というかディーラー的な感覚で、極めて一筋縄ではいかないものがあります。また、別の機会に論じたいですが、北朝鮮における人権問題も忘れてはいません。しかしそれらを含めても、沖縄問題や朝鮮半島情勢など、すべての問題の解決に、あまりに頑迷な安倍政権が桎梏物として立ちはだかります。

 沖縄の人々を「助ける」、辺野古の自然を「守る」、もちろん結構です。異議はありません。ですが考えてみましょう。私たちは沖縄に米軍基地の70%を押し付けています。と同時に、沖縄に反戦運動の70%を押し付けているのではないでしょうか。押し付けておいて「支援」するだけなら、本土政府と変わりません。この関係を変えていきたい。
 知事選の結果が、ここで述べたような沖縄と本土の関係をふくめて、解決の方向に進める一助とならんことを。

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ネットに虚偽情報横行 沖縄県知事選 候補者へ誹謗中傷多く「ウソつき」「工作員」

真偽不明情報が大量拡散 沖縄県知事選巡りネットに 国会議員、首長経験者も発信
 (琉球新報:2018年9月26日)

 2018年9月30日の投開票日が迫る沖縄県知事選で、候補者に対する誹謗・中傷やデマの拡散が深刻な問題となっている。9月22日付の琉球新報によると、9月9日から12日までの間にツイッター上で、「オール沖縄」が支援する玉城デニー氏に対して攻撃的・否定的な内容の投稿が、約9割に達したと伝えられている。 一方、自民、公明、維新、希望が推薦する佐喜真淳(さきま あつし)氏に関するツイートは、肯定的な内容も否定的な内容も少ないという。玉城氏を応援する人々が玉城氏を中傷するとは考えられない。要するに佐喜真陣営は、自分が応...
沖縄県知事選で公明党の遠山議員が玉城デニー氏を攻撃するデマを拡散! 遠山議員こ... - IWJ Independent Web Journal

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