本日、環境省へ鮫川村に建設中の放射性廃棄物実験焼却炉の工事中止と住民への説明会開催を求める申し入れ行動に参加しました。
今回の行動は鮫川村、いわき市、北茨城市などの関係自治体住民やいわき市議の方、都内から駆けつけた方など総勢20名弱の参加がありました。
まず最初に僕の率直な感想だけ一言。
「完全に見下されている」
もうこの一言に尽きます。住民の皆さんが「説明会を開催するまで工事を中止して欲しい」、「どうして鮫川村にこういう施設をつくるのか」、「過去の公害はどうなのか」と質問をしても、環境省の担当者はやけに小さい声でぼそぼそと答えるだけでした。
なによりも、僕たちを「品定め」するかのような担当者たちの視線と、苛立った時に腕組みをして睨むような態度に「大人しく言うことを聞いていろ」という本音が見え隠れしました。
何よりも、20人以上の住民が時間と交通費をかけて申し入れにしに来て意見を述べているのに、工事を止めようと言う意思をまったく感じることができませんでした。むしろ申し入れの場を環境省の役人たちは「工事を納得させる場」と転換して捉えているようにも思いました。「説明会はどういう場と思っているのか」との住民からの問いに「事業を理解していただく場」と答えた態度からも明らかです。彼らの言う「理解」とは、「住民が従順に従うこと」でしかないなというのも表情から読み取れました。
ただ、当初30分だけしか対面の時間が用意されなかったところを、皆さんの粘りで1時間の延長を勝ち取り、さらに当初の情報では今月末に行われる予定だった「試運転」が「2月から」に変わったことの言質もとらせ、提出した要望書や住民の質問に対する回答を「28日までに文書でまとめる」約束を取り交わせた、福島県内に鮫川村に作ろうとしている施設と同様のものを建設する動きを「内々に進めている」ことを認める発言を引き出せた、という成果は得ました。今後は約束を反故にされたり、満足な回答が出なかった場合の行動を考えていくことになるでしょう。そして、鮫川村の問題を毎週金曜の「いわき駅前アクション」でも伝えていくことになるでしょう。
申し入れ行動終了後は経産省テントひろばにて座り込みを続ける皆さんと交流してきました。テントの皆さんもこの問題に注目して下さってます。テントには震災以前からお世話になっている方ともお会いでき、その方といわきで行動を共にするみなさんとの交流もできました。こういう繋がりの力で焼却炉を止め、これ以上の被曝を防ぎ、原発をなくしていきたいものです。
今回の経験を決して無駄にせぬよう、これからも行動していきます!
最後に要望書の全文をここに転載致します。「いわきの未来をつくる市民の会」ブログに掲載されていますので、そちらも参照して下さい(http://makeiwaki.exblog.jp/17610246/)。なお、ここでは読みやすくするため、僕の方で段組みを変えておきました。
〔以下転載〕
(要旨)
1、 鮫川村に建設中の焼却実証実験施設の工事を中止すること。
2、 鮫川村に建設中の焼却実証実験施設について、事業主体である環境省の担当者を鮫川村隣接8市町村(福島県浅川町・棚倉町・古殿町・石川町・塙町・矢祭町・いわき市、茨城県北茨城市)及び鮫川水系を水道水源として利用している各地方自治体へ派遣し、その住民に対し説明会を開催する等して焼却施設の必要性・安全性について説明責任を果たすこと。
(理由)
現在、福島県鮫川村青生野地区で環境省を事業主体とする放射性廃棄物を焼却する実証実験施設が建設されている。この施設により、8000Bq/kg以上という指定放射性廃棄物28tを含む農林業系副産物の放射性廃棄物、総量600tを平成25年2月から平成26年9月まで焼却される計画である。試運転は平成25年1月から開始される予定である。
鮫川村は福島県南部に位置し、福島県浅川町・棚倉町・古殿町・石川町・塙町・矢祭町・いわき市、茨城県北茨城市に隣接している。また、焼却施設建設地は四時川・鮫川の源流が集中する水源地である。このような場所で8000Bq/kg以上もの高濃度の指定放射性廃棄物を含む放射性廃棄物が焼却されれば、放射性物質の飛散、水源汚染を招くおそれがあり、鮫川村のみならず周辺住民にも重大な影響が及ぶ危険がある。もとより、焼却施設自体が公害施設との指摘もあり、放射性物質の飛散は自治体の境を越えて広がることに鑑みれば、焼却施設工事が始まる前に建設地の鮫川村及び隣接市町村に事業主体である環境省が周辺住民に対し説明を尽くすべきである。
それにもかかわらず、環境省は2012年11月15日に工事に着工してから1ヶ月以上経った12月25日になってやっと建設地の鮫川村にて住民説明を行っている。しかも村民の安全性への不安や手続きの不当性を訴える声に対し真摯に対応することなく、安全であることを繰り返し述べるのみであった。工事元請け業者の日立造船も焼却炉自体の構造、バグフィルタ、へパフィルタ等の安全性に関する説明を自ら行っておらず、質疑にも応えず、十分な対応をしているとは到底いえない。住民の生命・健康に関わる重要な事柄であって、企業の社会的責任を明確化したISO26000を批准し、JIS Z 26000を採用している日本において、このような杜撰な説明は許されないことである。
鮫川村での住民説明が極めて不十分である上、近隣市町村では一切の説明がなされていない。鮫川村での住民説明会実施すらいわき市は把握しておらず、いわき市に送付されている焼却施設に関する資料も施設の概要を示しただけのもので、施設やフィルタの構造に関する資料が極めて不十分である。
さらに、公害防止協定に類する環境省と鮫川村の取り交わし書についても、環境省からいわき市に説明はなく、いわき市が独自に鮫川村から取り寄せるという状況である。市町村ですら本件焼却施設について十分な情報を有していないのであり、住民に至っては、独自に調べなければ情報は無きに等しい。このような状況で、万一焼却施設に不測の事態が発生した場合、情報が近隣住民まで行き届き、適切に対処し得るものかは甚だ疑問である。
一昨年3月11日の原発過酷事故を経験した私たちは、放射性物質の飛散はひとつの自治体に留まることなく、近隣市町村へ甚大な影響を与えることを学んでいる。もし、鮫川村焼却施設から放射性物質が漏れ出せば、鮫川村隣接市町村はもとより、さらに広範に水道水源が汚染され、住民の健康が害される危険性が高い。川や海の汚染により農業や漁業従事者にも大きな影響が及ぶことが考えられる。
このように鮫川村焼却施設について重大な利害関係を有する私たち近隣市町村の住民には、事業主体である環境省による住民説明が必要不可欠である。また、住民説明を尽くさぬうちに焼却を始めるようなことがあれば、住民の生命・健康を軽視し、民主的手続きを踏みにじるものであって許されることではない。
よって、私たちは、鮫川村に建設中の焼却実証実験施設の工事を中止すること及び、鮫川村に建設中の焼却実証実験施設について、事業主体である環境省の担当者を鮫川村隣接8市町村(福島県浅川町・棚倉町・古殿町・石川町・塙町・矢祭町・いわき市、茨城県北茨城市)及び鮫川水系を水道水源として利用している各地方自治体へ派遣し、その住民に対し説明会を開催する等して焼却施設の必要性・安全性について説明責任を果たすことを求めるものである。
注 動画:IWJ 福島1ch 「鮫川村焼却処分場に関する住民説明会」
http://www.ustream.tv/channel/iwj-fukushima1#/recorded/28051203
以上
<要望団体>
いわきを変えるゾ市民の会(いわき市)
いわきアクション!ママの会(いわき市)
いわき母笑みネットワーク(いわき市)
いわきの未来をつくる市民の会(いわき市)
〔転載終わり〕