金融危機に直面するギリシャ。IMFが主導する国民犠牲の「緊縮政策」に反対するギリシャ国民は、財政赤字の原因や実態を追及する市民の手による「監査委員会」を発足させ、国民の立場からの財政再建をめざしている。
このドキュメンタリー映画は、市民から寄付を募り約85万円という低予算で自主制作されたものである。政府や支配的なメディアによって隠されている債務危機の原因を探り、根本的な解決策を提案する。
過去のカッコ付「左派政権」は労働者への福祉政策をすすめながら、財源として必要となる特権企業や富裕層への公平な負担(増税)をおこなわなかった(=ばらまき政策)。さらに欧米の巨大銀行や軍需産業がギリシャ政府・支配層と癒着し、財政危機の中でも赤字を拡大し続けた実態が明らかに。
この映画で欧州諸国の財政危機の原因は、大銀行や大企業のため、各国の膨大な財政支出(借金)をベースにした、ルール無き投機的金融活動にこそ根源があることが指摘される。
同じようなことをしてIMFを介入させ経済破綻してしまったのがアルゼンチン。その点エクアドルでは国民参加の債務検証委員会を発足させ、銀行や大企業の借金を国民に付け替えようとするIMFの介入を許さず、国の借金のうち国民の恩恵につながらず、役人や貸し手の利権に資しただけの不当債務の返済停止を宣言。国民を犠牲にすることなく健全財政の再建に成功した。
ギリシャの「監査委員会」は、こうした欧米巨大銀行とギリシャ支配層の癒着によって拡大された財政赤字は国民の利益を損なう「不当債務」だと指摘。そして、こうした「不当債務」の返済を理由に「緊縮財政」として国民に押しつけられる年金や福祉の削減、公務員労働者をはじめ働くもののリストラ・賃金削減、庶民増税などは、欧米銀行の債権だけを保護するもので、本来の財政再建に逆行する間違ったやり方だとギリシャ国民は反対している。
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