本日(2024.09.26)袴田巌さんに対する再審で、静岡地裁は歴史的な無罪判決を言い渡しました。1966年に静岡県で起きた一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田さんですが、証拠の捏造が認められたため、無罪となりました。
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この判決は、日本の警察ー司法制度において重要な意味を持ちます。とりわけ逮捕後の取り調べの過程で、警察が袴田さんに対し、非人道的な扱いで自白を強要したこと、さらに事件当時の「5点の衣類」が、捜査機関によって捏造された証拠である可能性が高いと裁判所が認定したことは注目されます。
奪われた袴田さんの人生が取り戻せない以上、素直に喜べないし、あらためてやり場のない激しい怒りがわきます。せめてこの判決が、58年間にもおよぶ非人道的な権力犯罪を解明する第一歩となり、今後の警察ー刑事司法における個人の人権がどのように扱われるべきかについて、政府内部や国会の場で議論が深められなくてはなりません。
国家が体制維持を重視する一方で、司法は常に個々の人権を守る責任があります。この事件を通じて、司法制度の透明性と警察改革の必要性が再認識されました。今後、冤罪を防ぐための制度改善が期待されます。それは私たち市民一人ひとりの人権は国家に先立つものであり、私たち自身が常に守っていかなくては、強大な国家権力の前では容易に破壊されうるものであることを改めて思い出せてくれるものです。
袴田巌さんはすでに2014年に釈放されていますが、あらためて今回の無罪判決により、彼の冤罪が正式に認められた形です。この判決は、長年にわたる法廷闘争に終止符を打つものであり、袴田さんとその家族にとって大きな意味を持つものです。この機会に警察庁長官・法務大臣・首相は年老いた袴田さんに膝を折って正式に謝罪するべきです(どうせしないだろうが)。
ところが検察の一部では、捜査機関(警察か検察)による証拠捏造が判決文中で認定されたことへの危機感から、死刑判決の再審無罪事件では前例のない検察による控訴の可能性も取りざたされているようです。そのような検察のメンツを守りたいがためだけの無法はとうてい許されるものではなく、控訴が実施されれば世論の激しい非難をあびるでしょう。
袴田巌さんの無罪判決は、他の冤罪事件にも大きな影響を与える可能性があります。特に、狭山事件で再審を求めている石川一雄さん、労働裁判で無罪判決が相次いだ大阪府警による関生労組への弾圧事件にとっても希望の光となるでしょう。
石川一雄さんは、1963年に埼玉県狭山市で発生した女子高生殺害事件で逮捕され、死刑判決を受けましたが、長年にわたり無罪を主張し続けています。関生労組への弾圧事件は、組合つぶしを目的として、労組による合法的な争議やストライキを「業務妨害」として次々と労組委員長や一般の労組員を逮捕したものです。
袴田さんの無罪判決は、再審請求の重要性と可能性を示すものであり、一方で警察の違法・無法な捜査にも司法の場で審査のメスを入れるべき重要性を示すものです。よって石川さんや関生労組の冤罪事件にも良い影響を与える可能性があるかもしれません。
このような判決が続くことで、冤罪の解消に向けた動きがさらに加速することを期待したいところですね。