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人権と尊厳

住民票削除:大阪市役所前で必死の座り込み続く

※今回のエントリーの写真は住民票削除に反対する趣旨であればご自由にお使いください。

 2月26日、大阪市による住民票の削除=半難民化の危機にさらされている日雇い・野宿労働者たちは、抗議の集会を開いた後、市役所前までデモ行進をしました。そしてそのまま大阪市への申し入れ書を提出し、その回答をこうしている今も市役所前で必死の思いで待ち続けています。

行政手続を憲法の上位に置く大阪市の解釈

 これに対し大阪市は、住民基本台帳法という、行政の便宜をはかるためのいわば手続き法でもって、憲法上の人権を奪うことにつき、返答に窮して理論的な回答のできないのが現状です。たとえば国内に住民票がないために、参政権を剥奪されてきた在外邦人の場合も、最高裁は違憲の判断をしています。在外に限らず、国内でも、定住所を持たない、逆に全国にいくつもの住所を有している人がいます。

 住民基本台帳法の規定を厳格に運用することによって、参政権を頂点とする数百もの権利を、この人達から奪うことができるのでしょうか。それでは憲法よりも住民基本台帳法のほうが上位になってしまいます。

 さらに大阪市によれば、市が把握している「居住実態なき登録」は16万世帯だそうです。大阪市の説明だと、この16万世帯の住民票をすべて削除しなければならないというのが論理的帰結ですが、この点についても大阪市の担当職員は回答できませんでした。

時代遅れの住民基本台帳法に不備

デモ前の抗議集会

 どのようなライフスタイルで生活していようとも、あるいは経済的に困窮したとしても、それで参政権などの人権が消滅してしまうのはおかしな話です。大阪市内部では、「そういう人達を想定していない住民基本台帳法に不備があるのだ」というボヤキが流れているという話もあります。

 ですが実際は「居住実態なき登録」も、必ず削除「しなくてはならない」のではなく、削除することが「できる」という解釈・運用で法の不備をカバーするということが全国の自治体で行われてきました。この点については大阪市は「しなくてはならない」という新解釈を打ち出してきたわけですが、それでも16万世帯一斉ではなく、特定地域の2700人だけということが説明できません。

 この大阪市の法解釈の誤りについては、日雇い労働者の陳情団が総務省で確認してきました。総務省では「別に削除しなくても良いし、それは大阪市が勝手にやっていることで、国としては何の指導もしていないし、今後もしない」ということでした。実際、日雇い・野宿労働者やネットカフェ難民などを含む不安定雇用の労働者が、全労働人口の3割を占めているような状況で、居住実態がなくなれば必ず削除「しなくてはならない」という解釈では、もうこの国の実態にあわないのです。

大阪市は対案を示せ

大阪市への抗議デモ

 住民基本台帳法を金科玉条に祭り上げるのもいいですが、その目的のために個人の人権を消滅させるのは、どう考えても違法・違憲です。日雇い労働者たちも、「違法な登録を認めろ」と言っているのではなく、かかる権利が消滅しないような代替措置(対案)を示して欲しいと言っているにすぎません。彼らを批判するすべての人(少なくとも行政や政治家)は、この対案を示すべき義務があると思います。

 実際には上記の住民基本台帳法の解釈・運用でしのいでいくのが、現状の法の不備のもとでは一番現実的です。「居住実態なき登録」も、違法行為に使われるような悪質なもの以外は残していくという運用です。いわば戸籍における「本籍」に近い扱いです。

 実際大阪市でも、この30年近く、それでやってきたのだし、窓口の職員が「ここにいけば住民登録をさせてもらえる」と斡旋までしてきたわけで、それを信じて住民登録し、税金も納めて年金も保険も払ってきた方がたくさんおられます。中には年金支給が開始される直前で住民票をとりあげられ、これまで払ってきた年金が無にきそうとしている人もいます。

 いわば大阪市はこういう運用で、失業対策や貧困対策をさぼってきた側面が強いわけで、こういう「異常な状態」を継続させてきた責任の半分以上は大阪市(さらには国会の立法不作為)にもあるわけです。それを日雇いや野宿の労働者「だけ」に責任を押し付けるのは納得がいきません。

 上記の最高裁判決によって、どこの市町村にも住民票がない人でも(国外に住んでさえいれば)地方区を含めて投票することが可能になりました。その手続きは今後の参考にしていいかもしれないと思います。しかし国外に移住すれば、逆に選挙権が復活するというのも本当に変な話です。わけがわかりません。

市役所前からの緊急要請文

緊急要請 3000人の住民票強制削除を止めるために

市役所前に到着したデモ隊

 釜ヶ崎労働者をはじめとした3000人の住民票が、3月2日、大阪市・西成区によって強制的に削除されます。私達はこの暴挙をなんとしても食い止めたい。

 「居住実態のない方々につきましては、住民票の削除を行う必要がある」、「住所とは、各人の生活の本拠をいうものであり、生活の本拠たる居住の実態を具備する必要がある」大阪市は住民票削除の根拠を居住実態に置きます。しかし、住民登録をすることの出来る安定した居住先を得るためには、同時に安定した就労を必要とします。

 住民票を奪われようとしている多くの仲間たちは、釜ヶ崎解放会館に住民登録する、日雇労働者、そして野宿生活を送る労働者です。日々雇われ、日々あぶれる(失業する)。ドヤ(簡易宿泊所)を転々とする。飯場を流れる。安定した居住などどう確保しろというのか。釜ヶ崎において手配師制度を温存し、不安定就労を推進した責任は大阪市にないというのか。アルミを集め懸命に生きる仲間たちの生活の本拠を奪ったのは誰なのか。大阪城公園、靱公園、長居公園の仲間たちからテントを奪ったのは住民票の強奪者大阪市長関ではないか。

大阪市に抗議するデモ隊

 今回住民票を削除されようとしている仲間たちは安定した居住を確保する条件さえ奪われてきた仲間たちです。そうした仲間たちに対し「居住実態がない」などとして住民票を奪おうとする関大阪市政を私達は許す事が出来ません。困難な状況にあるものが住民票を奪われること通してさらに最低限の権利さえ奪われていく。これを生存権の剥奪といったら言い過ぎでしょうか。

 不安定な居住状況にあるものは住民票さえ持つ事が出来ない。非正規雇用労働者が全労働人口の3割を超えるという実態の中で今回の住民票削除は3000人の問題にとどまるものではないと私達は考えます。多くの権利を奪われた不安定な就労状況にある労働者の象徴的事態として捉えうるのではないでしょうか。

 私達は2月26日から昼夜を問わず大坂市庁舎前に陣取り、納得のいく説明と削除を強行するのであれば、住所設定できる代替場所を大阪市に求めます。連日の行動への参加と住民票削除日にあたる3月2日市庁舎前を埋め尽くす結集を心ある、労働者、市民の皆さんに訴えたいと思います。

連帯・激励のアピールを届けて下さい

公安警察の介入

釜ヶ崎解放会館
【連絡先】TEL 06-6631-7460 FAX 06-6631-7490
大阪市西成区萩之茶屋2‐5‐23

失業と野宿を考える実行委員会
【連絡先】TEL・FAX 06‐6647‐8278 iryouren@air.ocn.jp
大阪市西成区太子2-1-2 釜ヶ崎医療連絡会議内

カンパ振込先 郵便振替口座00940-5-79726(加入者名 釜ヶ崎医療連絡会議 野営行動カンパなどと明記下さい)

行動スケジュール

警察の介入

3月2日までは回答を求めて連日市役所前での野営行動(泊り込み)を取り組みます。

野営中の主なスケジュールは
8時~淀屋橋情宣
10時~市役所前座り込み
14時難波、天王寺など各地への情宣行動
16時半~共同炊事 映画上映など

【連日の行動スケジュールについては釜ヶ崎解放会館、失業と野宿を考える実行委員会または釜ヶ崎パトロールの会(090-8380-0269)までお問い合わせ下さい】

 大阪市が住民票強制削除の期限としている3月2日は朝8時より市役所前にて終日の抗議行動を行う予定です。ぜひ現場に足を運んでください。

(以上、緊急要請文)

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・以上の緊急要請をあちこちに届け、釜ヶ崎の労働者のたたかいを伝えてください。
・3月2日(金)に住民票を削除すると言っています。この日、朝から夜まで抗議行動をします。ぜひ参加してください。
・個人で、団体で、大阪市に抗議したり、釜ヶ崎労働者への連帯のことばを届けてください(抗議などなさった際には連絡をいただけたらありがたいです)。
・以上の緊急要請を支持してくださったり賛同してくださったりする方は、私たちにお伝えください。
 よろしくお願いします。釜ヶ崎の労働者・野宿の労働者に連帯し、支えてください。

釜パトブログより

市役所前にきてください

市役所前・中ノ島公園にて

みなさま
既に報道などでご存じかと思いますが、釜ヶ崎解放会館などで住民登録している三千人ほどの住民登録が、大阪市によって3月2日には抹消される予定となっています。そのことに抗議して、私たちは昨日の午前中に全国集会をもったあと、大阪市に対して申し入れ書を出し、市役所まえで座り込みを始めました。

住民登録を抹消するのは居住実態がないというのが理由だそうですが、これまで釜パトで取り組んで来た山内さん裁判の不当な高裁判決でもわかるように、公園のテントでは、実際に住んでいても住民登録を認めようとしません。連絡先がなく、住民票がなければ、働くこともできません。失業保険の手帳も作れず、年金を受けとることもできないという無権利状態に置かれてしまいます。

市役所に来てください。この、釜ヶ崎労働者のたたかいを伝え広めてください。住民票削除と闘う釜ヶ崎労働者は、昨日から市役所前での野営闘争に入りました。毎日玄関前での座り込み、街頭情宣をしながら、共同炊事でメシを作り、共同作業で寝床を作っています。住民票を一方的に削除するという、とんでもない暴挙に対し、必死の抗議を続けています。

市役所前・中ノ島公園

求めていることは三点。1)住民票を削除するな2)公開説明会をしろ3)どうしても解放会館から削除するなら、住民票を置ける代替措置をとれ、です。先日の長居公園での強制排除、釜ヶ崎労働者からの一時金(モチ代、ソーメン代)の取り上げに続いて、関市政は野宿者・釜ヶ崎労働者を敵視する姿勢を強めています。また、居住実態がないからということで住民票が削除されるなら、不安定な就労で生活も不安定にならざるをえない若者たちもまた、住民票削除の危機にさらされるわけです。貧乏人にはどんどん厳しい社会になってきています。ともに、声をあげてください。

中ノ島野営二日目

きのう野営闘争二日めの報告です。
朝は、釜ヶ崎のセンターでビラまき、淀屋橋で通勤途中の市役所職員のみなさんにもビラをまきました。朝ごはんを食べて座り込み。申し入れへの回答は、来ませんでした。昼ごはんを食べて、午後は難波で市民のみなさんにビラまきと、夕方から雨との予報だったので、荷物がぬれないようにブルーシートで屋根を作りました。職員が文句を言いに来て、しばらく騒ぎになりましたが、説明して帰らせました。

夕ごはんを食べて、雨が降っていたので、寝床がぬれないように公園の隅でブルーシートで屋根や壁を作ろうと頑張りましたが、すごい雨。夜ねるときには市役所の軒下に移動しました。きのう、ふざけたことに市役所まえで待っている私たちへの回答は持ってきませんでしたが、大阪市は住民票を抹消するという内容の記者会見を行ないました。

釜ヶ崎現地でまかれたビラ

大阪市は庶民イジメがお好き!「住民票消すな!」の声は放ったらかし
雨にも負けず!市役所前でまだまだ粘るで!「住民票消すな!」

周辺での署名集め

 釜ヶ崎労動者の皆さん、お早うございます。きょうで市役所前野営闘争3日目になります。
 市役所前で集まった仲間は、座り込みや、市役所前・難波駅前でのビラまき・署名集めなどの取り組みに頑張っています。市民の反応も高く、やっぱり大阪市は人権侵害のエゲつないことをやってるんや、釜ヶ崎のたたかいはみんなが見てるんや、ということを実感できるものでした。

 現地では、昼食は、みんなでご飯をつくる共同炊事」で、「みんなで団結して、たたかっていこう!」という風にして、いろいろ工夫しながら元気でやっています。
 きのうは、夕方、突然の雨でしたが、今週はもう雨は降らないようです。皆さんも、時間があったら市役所前まで来てください。ともに、「ワシらが釜ヶ崎で人として生きる権利、働く権利を奪うな!」と、労働者の誇りと確信を持ってたたかっていきましょう。

全国から仲間からの「要望書」が市民局に届かず?!
サボるな、ナメるな、大阪市!

飯は持ち寄りの共同炊事

 今月8日の日付で、神戸の冬を支える会、山谷労働者福祉会館活動者委員会、笹島診療所(名古屋)、寿日雇労働組合(横浜)、野宿者のための静岡パトロールなど10団体が呼びかけて、大阪市に「釜ヶ崎労働者の住民登録消除の中止と救済策を求める要望書」を出しました。きのう27日、その要望書への返事はどうなっているのか、大阪市に返答を求めました。

 ところが!市民局の末永課長代理が言ったのは、「受け取った秘書課と市民局双方の勘違いで、市民局に届いていなかった。完全に手違い、ミスだった」。要するに釜ヶ崎労働者にとって、死活問題となる住民票削除の手続きはテキパキとやるくせに、「住民票を削除するな!」という声は放ったらかしにしてたのです。ふざけるな!

 それだけじゃありません。西成区役所の住民登録窓口やあいりん職安などが、困っている労働者に「住民票を置くところがないんやったら、解放会館に相談したらいい」と「指導」してきた実態をちゃんと調査したのか、ということについては、「西成区が調査したということは聞いている」との答え。でも、本当に調査したのか、あやしいもんです。

 釜ヶ崎労働者切り捨ての「住民票削除」には、わき目もふらずにドンドン手続きを進める大阪市。ワシら庶民の言うことには、聞く耳持たんのか?大阪市よ!関市長よ!アンタらは誰のために、なんの仕事をしとるんや!答えろ!釜ヶ崎労働者をナメるなよ!

 釜ヶ崎労働者の皆さん!今週3月2日(金)の最終期限(大阪市が勝手に決めた期限ですけど)に向けて、まだまだ声を上げていきましょう!まだまだ元気でたたかうで!

共同炊事風景

日雇い・野宿労働者がおこなった大阪市への申し入れ全文

大阪市長 関 淳一殿
申し入れ書

申し入れ書提出

 釜ヶ崎解放会館、「ふるさとの家」などに住民登録をしている労働者の住民票を大阪市が一斉に消除しようとしている問題について、去る2月21日に申し入れ書を提出した。2月23日には大阪市から回答が送られてきたが、その回答は私たちの申し入れ書の内容と趣旨が全くずれているので再度申し入れを行うものである。

 大阪市の回答を要約すればこうである「住民基本台帳法に基づく『住所』とは各人の生活の本拠であるので代替場所は設けられない」「各人ごとに異なる状況にあるので公開説明会は行えない」。大阪市のこの回答はとうてい受け入れられない。

 そもそも釜ヶ崎を日雇労働市場として整備するための「あいりん総合センター」の建設とそこでの「相対方式」と言う名の下での手配市制度の容認、これらは大阪府・市が行ってきたものではないのか。不安定な労働形態と居住形態を形成し、労働者に強いてきたのは大阪市である。住民票を消除すると言うのであればまず大阪市がその責任を取らなくてはならないはずだ。

申し入れ書提出

 2月21日に提出した私たちの申し入れの趣旨はこうである。
 何よりもまず、白手帳、免許証、年金の受け取りなど日雇労働者・野宿労働者の生存・生活に必要な住民票を消除するな。
 労働・福祉行政として本来改善に取り組まなくてはならないにも関らず不安定な就労形態・居住形態を放置し続け、解放会館や「ふるさとの家」などに「丸投げ」していた3000名以上の住民票を消除することについてどのように考えているのか、その責任者である関市長自らが労働者に説明する場を設けよ。
 そして、消除するというのであれば、ドヤや建設飯場を転々とするため一箇所に住民票を置くことの出来ない日雇労働者や、長引く不況と高齢化の中で野宿を余儀なくされ住民票を他に移す当てのない労働者はどうすれば良いのか、その代替案をきちんと示すこと。その三点である。

 私たちは再度大阪市に対して以下申し入れる。
1. 日雇・野宿労働者の生存・生活に必要な住民票を消除するな。
2. 労働・福祉行政が不安定な労働・居住環境を制度化し長年放置し続けたうえに、突然住民票を消除することをどの様に考えるのか、その最高責任者たる関市長自らが労働者に説明会を行え。
3. 住民票を消除すると言うのであれば、安定した住民票の置き場を持たない日雇・野宿労働者はどうすれば良いのか、代替の住民票置き場を示せ。
4. 上記三点について早急に回答せよ。

2007年2月26日 釜ヶ崎労働者の住民票強制消除に反対する有志一同
【連絡先】大阪市西成区萩之茶屋2-5-23 釜ヶ崎解放会館内
TEL 06-6631-7460 FAX 06-6631-7490

座り込み風景・夜間は片付けと掃除のあと河川沿いに撤収

横断幕作成でお手伝い

横断幕作成中の私

 右の写真は現場で横断幕を描いている私の写真です。現場ではこうして何でも分担制になっています。「必要な仕事は一人でやらずにみんなで協力・分担してやる」というのが、日雇い・野宿労働者の方々が全員で話し合って決めたルールになっています。

 どの仕事を分担するかは基本的に志願制です。おかげでものすごくはかどって、どんな仕事もあっというまに終わってしまいます。この写真は、一緒に参加したジャンケ君が撮影してくれました。ジャンケ君は私の活動家時代に同じ党派にいた方で、いわば「戦旗派同窓生」なんですが、私なんかよりはるかに野宿者の運動に主体的にかかわっておられる方で、今では尊敬すべき先輩です。

日雇い・野宿運動の直接民主制

 見ていますと野宿や日雇いの方々が集まると「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」「決定は全員参加の直接民主制」という形が絵にかいたように見事に機能しています。それで誰もさぼらず、率先して働こうとするし、お互いに弱い者をいたわろうとする。本当に野宿者の方々の社会や、人間同士のつながりには脱帽です。むしろ普通の人々よりも素晴らしい方々のように思います。ただ、出会い頭の口喧嘩が多いのが玉に傷なんですが(笑

 しかしこうして横断幕を描くのはなんと20年ぶり!まさかまたこんなことをする日が来ようとは、つい一年前まで夢にも思いませんでした。人生なんてわからないものですね(笑

共同炊事

 今回の座り込みでは、日雇いや野宿者の方々のネットワークがすごく生かされています。食事も「共同炊事」といって、誰かに作ってもらったものをいただくのではなく、座り込んでいる日雇い・野宿の労働者たちが、全員で協力して自分たちで作って自分たちで食べる、そのためのお金も、アルミ缶を自分たちで集めて持ち寄ってお金にしています。そのアルミ缶をつぶして業者に持っていく作業も、炊事班とは別に分担しておこなっています。その他の作業もすべて自分たちで分担して行っています。

 材料の買出しや、炊飯などの下ごしらえは別の公園で野宿している人がやってくれています。現場にいる人々だけではなく、まさしく全大阪の野宿者が一丸になって、市役所前の闘いを支えてくれています。ジャンケ君は、いわばその裏方の仕事をボランティアで手助けしている人です。私みたいに現場にポッと来ただけの人とは汗のかき方が違うのです。この日も材料の買出しなどで走り回ってくれていたようです。

共同炊事「資金源」のアルミ缶集め

 当日は「カレー味スパゲティサラダ弁当とマンゴープリンとゆで卵」でした。ジャンケ君をはじめとする、別の公園の方々が準備してくれた材料を、大阪市職員と公安刑事が見張る中、みんなで手際よく調理していきます。私は「資金源」の空き缶を潰していく係になりました。なんだかものすご~く美味しかった!特にカレー味にしたところが、みんなに好評だったみたいです。

日雇い・野宿者の方が全員で決めた「暮らしのお約束」

・現場では酒は飲まない
・立ちションはしない(トイレは市役所、駅構内、深夜は公園の反対側にあるトイレまで行く)
・ゴミはゴミ袋、吸殻は吸殻入れに
・ケンカしない。口ケンカはセーフ
・作業は一人でやらずにわけあって
・就寝は9時、7時起床 ・セクハラ厳禁、男女その他とも
・夜9時以降は静かに
※長丁場、ゆっくりじっくり怒りを胸に
※大阪市から要求への回答を引き出そう
※幅広い社会からの連帯をかちとろう

 なんだかこの最終的に「決まったこと」だけを見ると、かなり微笑ましいのですが、決まるまでの過程では、たとえば「セクハラとは具体的にはどういう行為なんだろう」みたいなことが話し合われたり、「深夜の冷え込みの中で眠ることができずに酒を飲んでも責められないのではないだろうか、それはこの趣旨に違反しないのではないか」みたいなことが話し合われています。見ていてかなり感心しました。

 全国のみなさん、この人達の闘いを孤立させてはいけない!

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