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山が動いた?大阪高裁が住民登録削除差し止めの仮処分を決定!

日雇い・野宿労働者に釈明する 大阪市市民局の末長課長代理

 3月1日、座り込み4日めにして、劇的な変化がありました。

 大阪市西成区のあいりん地区で3千人以上の日雇い労働者らが三つの建物に住民登録していた問題をめぐり、建設労働者の男性(34)が大阪市による住民票削除の差し止めを求めた仮処分申請があり、大阪高裁(横田勝年裁判長)は1日、「今後の施策の周知が不十分なまま削除するのは、信義則に反する」として、申し立てを却下した大阪地裁の決定を取り消し、市側に削除の執行停止を命じた。市は2日に開始予定だった削除の延期も検討する。
…大阪市には最高裁に特別抗告する手段が残っているが、憲法違反などの事由がある場合に限られており、困難な情勢だ。
…大阪市市民局の森田博・市民部長は決定を受けて記者会見し、「意外なご判断」としたうえで、「周知期間が足りないとの指摘は、否定できない」と話した。

「朝日新聞大阪地方版」より(記事全文

 この判決に先立ち、先日の労働者側からの申し入れ書に対する市側の回答がありました。しかし、申し入れ書提出前の主張を繰り返しただけのもので、何ら申し入れへの回答が含まれていないものだったため、労働者側は再々度の申し入れを行いました(このエントリの末尾に添付)。

 そこにこの仮処分決定のニュースがとびこみ、当然に労働者側は俄然わきたちました。この判決は当該の労働者に対するものですが、「今後の施策」「周知が不充分」「信義則違反」という判決理由からして、道義的には当然に同じ境遇の労働者すべてに適用されるべき性質のものだからです。しかもなんとこれだけの「重要判例」をひきだしたのは、日雇い・野宿労働者たちが行った、弁護士なしの本人訴訟です。

 市側もかなり混乱して対応におおわらわだったと思われます。労働者側の質問・釈明要求に対して、現れた市民局の末長課長代理(冒頭の写真の人)は、「消除するか否かを含め、改めて検討する」とは言ったものの、具体的にどうするかの返答はありませんでした。特別抗告が困難である以上、削除は延期する以外にないはずですが、残念ながら本日中の確答はないままです。

 ここ数日は、夜には市役所向かいの中ノ島公園に撤収して夜をあかしていましたが、本日はそのまま市役所前に踏みとどまり、冷えてくる夜半には高齢者や体の弱ってきた人は公園に移動しましたが、体力のある人はそのまま市役所前のコンクリートの上で夜をあかしています。途中、食事の時に市の職員と公安刑事が介入、挑発を試みましたが、落ち着いて説得し、引き下がらせたとのことです。

 夜が明けて本日2日は、いよいよ住民票削除の予定日です。判決が出たからと言って、まだまだ全く油断はできません。私はこれまで2日の削除が延期される可能性は「万に一つ」で、劇的な変化は望み薄であり、この闘いを爆発させて、今後の具体的な市民権剥奪に抵抗していく運動につなげていくことが重要だと考えていました。しかしまさに情勢は「劇的に変化」しました。これまでの「万に一つ」が「五分五分」のところまで押し返したと思います。そういう意味で、2日は文字通りの「決戦」となります。

 ここで最低限、大阪市に「延期」させることは重要です。確かに延期しても一ヶ月程度かもしれませんが、これまで大阪市が適当に口からでまかせで言ってきた「今後の施策」たとえば「ドヤ(簡易宿泊所)に一泊でもすれば、そこに住民登録していいから」などという、それじゃあ何のために今回の住民票削除をするの?というチンプンカンプンなことも、すべて法廷で苦し紛れにせよ約束してしまったのです。そしてそれを「周知徹底」した後でなければ削除できないということになったわけです。この事実をひっさげての「一ヶ月」はすごく大きいと思います。

 この問題に心をよせてこられたすべての皆さん!よるべなき不安定雇用の仲間たち!「身勝手」「ニート」と蔑まれながらも懸命に長時間労働に耐えるワーキングプアの皆さん!携帯電話だけを命綱にネットカフェで一夜を過ごす若者たち!DVなどの様々な事情で今いる所に住民票を置けない皆さん!全人口の3割を超えようとしている皆さん方はもはや決して「少数派」ではないのです!今やこういう貧困層の若者たちが、続々と日雇い・野宿者の運動に合流してきています。

 今、大阪市役所まえにいる100数十名の仲間たちは、まさしくこういった全国の「持たざる者たち」の代表なのです。
 彼らの闘いを絶対に孤立させてはいけない!「個別撃破」を許しちゃだめだ!

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(釜ヶ崎現地でまかれたビラより)

大阪高裁が「住民票消すな」の仮処分判決!大阪市は反省して謝れ!
きょう市役所で大抗議行動! 関市長に釜ヶ崎の怒りを!

 釜ヶ崎労働者の皆さん、お早うございます。
 うれしいニュースです!きのう、釜ヶ崎解放会館に住民登録しているKさんが、裁判所に「大阪市は住民票削除をするな!」という内容の仮処分を求めていた訴訟で、大阪高裁は、「判決が出るまで、住民票を消したらアカン!」という判決を出しました。

 これで、「3月2日で住民票を削除する」とフザけたことを言っていた関淳一市長のたくらみは、がらがらと崩れ落ちました。
 仮処分ですから、まだ油断はできませんが、これは、大きな勝利です。釜ヶ崎労働者の団結、たたかいが道を切り開いたのだと思います。
 この間、釜ヶ崎労働者の団結で、大阪市に怒りの声を叩きつけ、大阪市が、いかにこれまで無責任でエエかげんで、釜ヶ崎を差別してきたかを明らかにしてきました。

行こう!市役所前へ!仲間とともに、怒りと誇りを胸に
釜ヶ崎労働者の皆さん!

 この「釜ヶ崎労働者の住民票を勝手に消すな!」のたたかいは、たくさんの仲間との団結を深め、「釜ヶ崎の労働者はナメられたら、黙ってへんで!」ということをハッキリとさせています。
 きょう3月2日、朝から1日中(夜7時ごろまで)市役所前で抗議行動をやります。多くの仲間・市民・労働者・若者が集まり、釜ヶ崎労働者と心と力をひとつにして「住民票削除するな!」「関市長は責任とれ!」のたたかいに立ち上がりましょう!
 きょう、朝8時からセンター前からバスを出します。釜ヶ崎労働者の皆さん!差別行政=大阪市への釜ヶ崎労働者の怒りを叩きつけ、代替策のない一方的な住民票削除を完全にあきらめさせるために、多くの皆さんが市役所前に集まる事を訴えます!行こう、市役所前へ!

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(以下、判決直前に、労働者が大阪市に提出した再々申し入れ書)

申し入れ書 大阪市長 関淳一殿

2007年3月1日

 釜ヶ崎解放会館や「ふるさとの家」などに住民登録している日雇い・野宿労働者の住民票を大阪市が一斉に消除しようとしている問題について、この間、これまでの前提を越えるいくつかの事実が明らかになった、3月1日付の大阪市市民局名による回答は、この間うかびあがってきた疑問に答えていないので、再度申し入れる。

 西成区は、30年の長きにわたって日雇い労働者を釜ヶ崎が咲き解放会館などに住民登録してきた。その間、西成区は毎年調査を実施し、「法(住民基本台帳法)の要件に合わない者」については所見で登録を消除してきた。公職選挙の際、投票所に赴いたところで初めて少女されていると気づいた労働者がいる。これは逆に言えば、消除されなかった者については「法の要件に合っている」とくが判断していたということだ。

 公職選挙の際には、萩之茶屋小学校などの投票所では「萩之茶屋2-5-23」と表示されたブースが設置され、氏名の50音順に投票机が置かれていた。選挙管理委員会は、多数が登録している状態を意識的に活用してきたことは明らかである。

 藤田市民局市民部区政課・課長代理は、そうしたことが事実であるならば、と前置きしたうえで、「市は慣行としてすすめてきた」(これまで慣行としてやってきたものを突然「違法だから削除する」というのでは)「労働者は被害者だと言われても仕方がない」と発言し、市の対応の矛盾はますます明らかである。

 総務省も住民登録の扱いについては、各自治体の特性にかんがみ、自治体の裁量権を認めているが、上記のような実態こそ釜ヶ崎を抱える大阪市の特性であり、だからこそ大阪市は、これまで慣行として解放会館などでの登録をすすめてきたのではないか。従来どおりの慣行を法は許容しており、必ずしも消除は必要としていない。

 以上の疑問点が解消されていない以上、消除はとうてい受け容れられない。
 上記の点について早急に説明を求めるとともに、以下申し入れる。

1.住民登録を消除するな
2.関市長自ら労働者に公開説明を行え
3.代替の住民票置き場を示せ

釜ヶ崎労働者の住民票強制消除に反対する有志一同
連絡先:釜ヶ崎解放会館
TEL:06-6631-7460
FAX:06-6631-7490

コメントを見る

  • はじめまして、TBありがとうございます。
    すごい、すばらしい。朝から腹のたつことばかりな日々のなか、すばらしいお知らせに感謝です。
    これも現場でたゆむことのない闘いを展開されている労働者、市民……さらに嬉しいことに、分断を強いられがちなニート、ワーキングプアと呼ばれている者との連帯がなせるわざだと思います。
    予断はゆるさないかもしれませんが、とにかく嬉しいです。
    FAXぐらいしかできませんが、気持ちは共に闘っているつもりです。
    絶対に行政の暴挙は許されません。