今回の釜ヶ崎住民票削除の件で、労働者たちがすごく怒っている理由の一つに、今まで大阪市が日雇い組合やNPO法人への住民登録を紹介・斡旋しておきながら、手の平を返して彼ら労働者を「違法登録の住所不定者」呼ばわりしていることがあります。
そのことを指摘された西成区役所は、1月26日段階で「実態を調査の上で1ヶ月以内に報告する」と住民情報課の担当者が約束していました。ところが、今にいたるもまったく返事がありません。
市役所前での座り込み初日の申し入れ行動の際、この調査の現状報告と、市民団体が出した申し入れ書の扱いがどうなっているかを質問しました。その時の返事が「こちらの勘違いで市民局にあがってきていなかった。完全な手違いで申し訳ない」というものでした。
その時には、みんな「市民団体の申し入れが握りつぶされて反故にされた」という点に意識が集中しており、市の内部調査が進んでいない点はその次でした。市が日雇い組合やNPO法人への住民登録を斡旋・指導していたことなんて、調査するまでもなく、労働者も市役所も当然に知っている自明の前提であるという意識が強かったと思います。
しかしここにきて、西成区役所の穐山総務課長がそもそも調査を全くおこなっていない、ボイコットをしていたのではないかという疑惑が浮き上がっています。3月5に労働者たちが市役所本庁に「早急に調査結果を公表してほしい」という要望を出したところ、当日中に穐山課長が呼びつけられているところを目撃されています。
労働者たちは穐山課長が長年の「斡旋」の責任を恐れ、住民情報課の担当者が労働者たちと行った調査の約束を握りつぶし、本庁にあげていなかったのではないか?という疑念をもっていますし、おそらくその通りだろうと思います。
疑惑の真偽はともかくとしても、調査なんて釜ヶ崎職安(センター)に集まっている労働者たちと、過去20年にわたる窓口担当者から聞き取り調査をすればいいことで、一週間もあればできるわけですから、1月26日から今まで何をしていたのかという疑問が残ることは確かでしょう。
労働者たちは大阪市による斡旋は、当然に市も周知の事実として運動しています。関市長は浅はかにも「そんな事実はない」と早々に断言してしまったわけですが、逆にこれが周知の通りの事実とすれば、一方的な住民票削除は到底許されないことになります。ここは削除までの期間をさらに大幅に延長して、第3者機関などに委託した徹底的な調査をするべきではないでしょうか。
ーーー
(以下、釜ヶ崎でまかれたビラより転載)
ドヤの住民登録も、区役所の相談窓口も、みんな大阪市のワナや!
関市長よ! 釜ヶ崎労働者はナメられたら黙ってへんで!
釜ヶ崎労働者の皆さん、お早うございます。
「ワシらの住民票を勝手に消すな!」というたたかいは、関市長の「3月2日を期限に、職権で消除する」という、たわごとを食い止めました。大阪市は、2日の記者会見で、「3週間の間に『ドヤでも住民登録できる』ということを周知徹底する」「西成区役所に相談窓口を設ける」と発表しました。でもそれは、苦しまぎれの先送り策に過ぎません。ぜんぜん解決になってへん!
●大阪市のウソにだまされないぞ!
その1。まず、ドヤでも住民登録できる、ということについて。
大阪市は「釜ヶ崎のドヤの部屋数がいくつあるか、まだ分かってない」「ドヤが住民登録でいっぱいになったらどうするのかは、まだ決まってない」と言ってます。また大阪市は、エエかげんなことやろうとしてます。ドヤの住民票も消されるか分かりません。だいたい、ドヤに泊まるお金のない人のことは、ぜんぜん考えてない。大阪市が何もしてこなかったからこそ、解放会館・ふるさとの家・NPO釜ヶ崎が住所設定する場所として利用されてきたのです。
その2。西成区役所の相談窓口の件です。
これは、釜ヶ崎労働者の役に立ってないことが数字の上でハッキリしています。
2日に、大阪市の区政課・藤田孝次課長代理が出してきた数字によると、1月26日~2月8日の間に、区役所の相談窓口に行った労働者は255人です。そのうち、住民票を移す手続きをした人が107人。「異動なし」、つまり、住民票を移そうにも移す場所がない、という労働者が144人。つまり、56%の労働者が「門前払い」にあった、ということになります。西成区役所の穐山常男総務課長も「相談窓口は、住民票をどこに移したらいいかという相談は受けていない」とハッキリ言ってます。あんたら役人は、釜ヶ崎労働者のことを何も考えてないがな。
釜ヶ崎労働者の皆さん!
住民票削除は、結局のところ釜ヶ崎つぶしです。この釜ヶ崎で生き、働く権利を、役人たちに、ムチャクチャにされてはたまりません。
さあ、大阪市よ、見とれ!釜ヶ崎労働者のたたかいは、まだこれからや!
ーーー
西成区役所穐山総務課長はさっさと釜ケ崎に来て調査しろ!!
住民登録強制削除は行政のサギ行為!!
住民登録強制削除で、労働者が一番怒っていることは、西成区役所や愛りん職安の窓口で、「解放会館に住民登録できる」とか[解放会館に住民票ん置いたらいい]と労働者に勧めていたという事実を隠し、一方的に削除を強行していることだ。
自分の大事な住民票を、労働組合の事務所に何の保障もなく置くことはない。多くの労働者が、「白手帳をとりたい」と愛りん職安や区役所の窓口に相談しに行ったら、解放会館への住民登録を指導されていたのだ。こんなこと、センターで10人に聞けば8人くらいがそうだと言う。労働者の中には、なかば自動的に解放会館への住民登録をされた人もいる。行政機関のお墨付きがあったからこそ3000名を越える人が解放会館に住民登録していたのだ。住民登録強制削除は、まさに行政によるサギ行為、だまし討ちである。
1月26日、西成区役所での集団相談会で、西成区役所住民情報課の役人は、「そういう事実があったかどうか調査し、1ヶ月以内に報告する」とたくさんの労働者の前で約束した。このことは、新聞やテレビでも報道された。しかし野営中、我々と市役所の市民局との交渉の中で、この調査は、「調査方法さえまだ決まっていない。市役所にも話があがってきていない」ということがわかった。
要するに西成区役所が労働者との約束を握りつぶし、市役所にもあげず、調査なんか一つもしていないということだ。
馬鹿にするな!!また労働者をだますのか!この調査の責任者は、西成区役所の穐山総務課長だという。2月8日西成区役所の前で、話し合いを求める労働者に警察を差し向けた男である。あいつなら労働者との約束を破ることくらい平気なやつだ。
昨日西成区役所、穐山総務課長の調査ボイコットに対し、直接行動隊が、早急に調査結果を発表するよう要望書を出した。そのせいか、穐山は市役所に呼びつけられていた。(私の知人が市役所で穐山を目撃している。穐山は、完全にビビッていたという)
労働者の皆さん!!労働者は、いわば、区役所や愛りん職安にだまされた被害者です。被害者を法律違反呼ばわりして、住民票を奪おうとしているのが大阪市の汚い手口です。この調査絶対させなければなりません。3週間もあれば十分です。センターに来て、労働者に話を聞けばいいんです。西成区役所への調査要求の声を大きく上げていきましょう。
調査を求め先 西成区役所住民情報課の電話番号 06-6659-9788
※上記ビラのPDFファイル(表面のみ)
※釜ヶ崎地域外の市民向けビラ(←ダウンロードしてご活用ください)
コメントを見る
大阪市(経営企画室執行会議)のホームページに「職権消除は対処(症?)療法」という表現がありました。当事者である住民は「病気」の原因ということでしょうか。自分が当事者であったらどんな気持ちになったかと考えてしまいました。
ぱともすさん>
そうですね。大阪市には、釜ヶ崎の労働者を自分たちがサービスの対象とするべき「住民」であるということがトコトンわかっていないと思います。収入やライフスタイルで差別されてはたまりません。