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N君不当弾圧事件とは? ◇N君関係リンク集
激励・カンパ・抗議先 ◇ブログ旗旗関連記事

 今日(9月5日)の夕方頃、天皇警備の事前拘束で逮捕されていたNさんが釈放されるとのご連絡をいただきました。ただし公安刑事さんは、いまだに逮捕時にN君から取り上げた携帯電話を返却していません。それもなんと、ちゃーんと毎日の充電も欠かさず、勝手に留守番電話にセットにして待ち構えているようです(やり方がいやらしいよね!)。ですからN君のお知り合いの方は、当然に持ち物も返却されたものと思って電話をなさらないように注意してください。

 ふり返れば、もともと何らの警告さえせずに、いきなり「排ガス規制」で逮捕すること自体が異常でした。何しろ大阪市内を走行する自動車の2割(つまり5台に1台)がまだ排ガス規制をクリアしていないにもかかわらず、そのすべてが放置されています。そんな中で、処分はおろか逮捕されたのは、後にも先にもN君一人だけなのです。別に「みんながやっていることじゃないか」という意味ではなく、普通に注意を促せばすむことです。もっと言えばN君はその車を所有していたわけでもないのに、なんでN君「だけ」なんだ。つーか、そもそもそんなの「公安の仕事」じゃないだろ?

 たしかに今の日本では公安部門が暇なのはわかりますが、いくらなんでもこんなあからさまな思想弾圧の事例で、裁判所が通常の常識感覚を無視し、逮捕のみならず10日間の拘留延長まで認めたため、本日までの長期拘留となってしまいした。そして法律上はさらに10日間の拘留延長をすることも可能だったのです。

 しかしこの2週間ほどの間に、多くの方々の抗議や支援の声で、警察・検察・裁判所を包囲することができました。さらにマスコミにも批判的な記事が掲載されはじめます。東京新聞の記事だけでも60万世帯以上の人々の目にふれましたし、学者やジャーナリストのコメントもよせられました。多くの有名ブログでもこの問題が取り上げられ、これだけでも今までに延べ数万人がこれらの記事を読んだ計算になります。結果、釜パトのアドレスには担当者が悲鳴をあげるくらいの激励や同情のメッセージが殺到しました。事態は警察側であれN君の側であれ、私たち誰もの予想をはるかに凌駕して展開していったのです。

 つまり今回の逮捕のおかげで、かえって野宿者問題など何も知らなかった人々の間にも、世界陸上の裏側を知らせて関心を集める結果となったのです。勢いは完全にこちらのものとなり、さらに昨日の拘留理由開示裁判の流れから考えても、もはやこれ以上の拘留延長は無理だし、長引かせるのは得策ではないとの判断が、検察・警察にも働いたものと思います。

 だからそういう意味では、警察に「釈放された」というのは正確な表現ではありません。彼らは本当はもっと拘留したかったにもかかわらず、法的・道義的に追い込まれてそれができなかったのであり、文字通り皆様のお力でN君は「奪還」されたのだと考えています。これは激励文の送信やブログでの言及など、どんな小さなことでもN君のためにアクションをおこしたすべての人が、胸をはって誇ってもいい成果だと思います。

 しかし「ご苦労様でした」とは言えても、「おめでとう」とは言えません。なぜなら……

 第一に被害者が原状回復されただけでは意味がない。この「事件」を担当した公安刑事さん個人に対して、何らかの法的、あるいは行政の内部的なペナルティが課されなければ再発防止になりません。被害者に対する補償や謝罪もなされるべきすが、その補償金は税金ではなく、担当刑事さん個人に求償されるべきです。そこまでしなくては、今後も誰も責任をとらなくてもいいお役所体質の元、「ダメで元々」くらいのお気楽・極楽・いい加減な態度で不当逮捕を繰り返す事例が後をたちません。それは警察のモラルや捜査能力の質的な低下と腐敗をまねき、長期的に考えれば、決して警察にとってもよいことではないのです。

 ですが、今の行政(とりわけ警察)に、このような自浄作用を期待することは、残念ですが難しいと思います。今は社保庁の体質がいろいろ言われていますが、その前には表に報告しなくてもいい裏金作りなど、全国の警察組織が自分たちの中でしか通用しない非常識な運営をされていることが随分と批判されたことがありました。しかし政府は部分的なポーズでお茶を濁すばかりで、社保庁に対する半分も、その改革に本腰をいれようとはしませんでした。

 結局は今のところは政府や行政に期待することはできず、ピラミッド型の官僚機構の外部から、市民の声で包囲していくことが一番大切です。今回のような不正・不当な権力行使をおこなうたびに、いちいち大きな抗議の声にさらされてしまう、かえって弾圧しようとした運動が大きくなっていくということを学習させていくしかありません。彼らにこんなことは世間一般では「当たり前」じゃないんだと知ってもらうより他にしようがありません。

 第二に日常のボランティア活動に大きな支障がでたことは確かであり、とりわけ財政的にも日常活動を立て直すことが急務となっています。つまりこれからが大変なのです。たしかに運動的には今回の逮捕でかえって世界陸上の暗部が多くの人の目にあきらかになり、地道な野宿者運動やボランティア団体の存在も認知してもらえたし、多くの新しい人々との出会いもありました。つまり公安警察の運動潰しの目的をはね返すどころか、かえってそれを逆手に運動は発展したのであって、その限りでは担当刑事さんが頭をひねって考えた卑劣な罠を完全に粉砕しました。

 このような成果が出せたのは、N君の人間的な人柄や、大阪府警の明らかに無理やりな手法が「わかりやすい」ものだったせいもあります。何しろ必死に探してやっと出てきたのが「排ガス規制」ですからねー(笑)。

 ですが根本において大きいのは、釜パトの会などの野宿者運動が日常的に行っているボランティア活動が、思想信条にかかわらず、誰が見ても妥当性をもつ運動だったことが一番大きいのです。これが独りよがりで独善的で派手で「過激」なだけの運動であったとしたら、全く違った結果になっていたと思います。このあたりのことを担当の公安刑事さんが理解できていなかったせいで大阪府警は失敗したのだと思います。

 つまり私たちがN君の逮捕に抗議したということは、こういう一般的な妥当性をもった貴重なボランティア活動を、公権力の介入で潰すなと言ったことでもあるのです。釜パトの会は本当に小さなボランティアグループで、専従活動家もいなければ事務所もありません。何をするにも自分たちで持ち寄って分担しながら地道に活動しています。それが弾圧にも潰れずに全国の心ある人々の協力ではね返せたのは確かに大きなことですが、あちこちで「カンパの呼びかけ」が行われていることからも、その現状は推察していただけると思います。

 「もう弾圧は終わった」とはまだ考えないでください。野宿者運動に対する行政側からの圧力・弾圧にもかかわらず、日常のボランティア活動が支障をきたさずに今後もきちんと継続され続けてこそ、はじめて弾圧は粉砕されたと言えるのです。くりかえしますが(とりわけ財政的には)これからが大変なのです。当面の間、引き続きカンパへのご協力をお願いします。

 第三にN君の釈放は不起訴ではなく、「処分保留」となっていることです。だいたいこの起訴でも不起訴でもない処分保留というのは、公安が逮捕した人間を不起訴で釈放するさいには必ずつける名前でして、「不当逮捕じゃないもん!」という程度の意味でした。だからかつては実質的に不起訴(無罪)と同じでした。ですが今回はN君が逮捕された時に持っていた携帯電話を、いまだに取り上げたままで、釈放される時にも返していません。

 これらのことから考えても、以前なら不起訴相当だった処分保留も、まだまだこのネタで粘着的に引っ張る可能性があるので油断できないということです。とにかく「公安のお仕事」というのは、旧「過激派」が売り切れてしまったため、このままでは何もすることがなくなり、警備・公安部門は人員削減の対象、斜陽部局になってしまいます。そのため、これまで見向きもしなかった穏健な市民団体にまで必死にからんで「仕事」を確保しようとしています。立川のビラまき弾圧や、今回のN君逮捕は、もちろんイラク反戦や野宿者・格差問題への取り組みなど、政府が何を潰したがっているかということの目安には違いないのですが、そういう「上の考え」に媚びた末端の自己アピールとしても見ることができます。

 何しろ野宿者運動の人がやることとなったら、ソフトボール大会や共同炊事と呼ばれるピクニックみたいなものにまで、大勢の公安刑事がぞろぞろと(税金から日当をもらって!)見物にくるんですよ。ソフトボール見てるだけでお金になるとは、警察の仕事の中でこんな楽な仕事が他にあるでしょうか?全くうらやましい!ひがむぞ(笑)。このように暇をもてあました公安担当検事さんが、忙しさアピールのために「ついでに起訴しとこ」ということもまだまだ考えられるのです。

 とにかく公安刑事さんたちの、ソフトボールやら食事会やらを大事件扱いで「観戦」にくるほどの凄まじい「暇さかげん」をあなどってはいけません。まさか!こんなことで!と思うようなことでも、今の巨大な公安組織の規模と既得権限を守るためなら、まるで「大事件」のように必死でアピールしかねないので注意が必要です。まあ、そんなくだらないことの「ネタ」に使われる市民はたまったもんではありません。いいかげんマスコミも税金の無駄使いをちゃんと批判してほしいものです。

参考

Nさん処分保留釈放とのこと(あおざかなの買物日記)
N君釈放!(釜パト活動日誌)
N君、出てきたよおです(ですぺら)
アミーゴ釈放!(とりあえず朗報^^v ちゅうか、当ったり前!)(勝つ時だって、あるだろう)
信頼と実績の釜ヶ崎パトロール(ですぺら)