投稿者: 司 宮二
県議会、橋下氏発言に抗議決議 賛成多数
(沖縄タイムス2013年6月7日)
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-06-07_50175
県議会(喜納昌春議長)は6日の臨時会で、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が、普天間飛行場の司令官に風俗業の活用を提案した発言に対する抗議決議を、与野党の賛成多数で可決した。そうぞう会派に所属する3氏が反対し、無所属の新垣安弘氏は退場した。県議会が米軍基地の運用や提供の主体である日米両政府ではなく、政党代表や首長に対する抗議決議案を可決したのは初めて。
抗議決議は橋下氏発言を「米兵による暴行事件など人権じゅうりんを戦後67年間も強いられている県民感情を逆なでする発言で、県民に対する謝罪を強く要求する」と指摘している。
臨時会の討論では西銘純恵(共産)、比嘉京子(社大)、仲村未央(社民・護憲)の各女性議員が登壇し、賛成意見を述べた。
一方、そうぞうは呉屋宏氏が反対討論に立ち「政治家として行き過ぎた発言だったことは確かだが、橋下氏が言った風俗とは飲酒ができる場所を指している」と持論を強調。「議会は、報道ではなく正確な情報で決議するべきだ」と述べた。
そうぞう会派の3氏は、橋下氏が代表を務める「大阪維新の会」と政策協定を結んだ県内政党そうぞうに所属している。
退場した新垣氏は「個々の政治家の発言への抗議決議は政党間の政治的思惑も絡みかねず、県議会の決議になじまないのではないか」と指摘した。
臨時会では、米軍F15戦闘機墜落事故に関する日米両政府への抗議決議と意見書を全会一致で可決した。
□橋下氏「筋違い」
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は6日夜、在日米軍に風俗業活用を促した発言をめぐり県議会が抗議決議を可決したことに対し「沖縄県民を侮辱したわけではないので、筋が違う」と反論した。
橋下氏は「言ってきたことは正しいと思っている」と主張。「合法的な風俗業に従事する人から『侮辱』と言われたら考える」とした上で「謝る対象は米軍、米政府、風俗従事者だ」と述べ、沖縄県民への謝罪を拒んだ。都内で記者団の質問に答えた。
橋下氏は同日午前には「沖縄の皆さんに誤解を与えてしまったんであれば、申し訳ないと思っている」と謝罪していた。安倍晋三首相らと首相官邸での会談後に記者団の取材に答えていた。
2010年3月6日(日テレニュース)
アメリカ軍普天間基地(沖縄・宜野湾市)の移設問題で、国民新党・下地幹郎国対委員長は6日、沖縄・那覇市で講演し、鳩山政権がこれまでの日米合意である沖縄・名護市の辺野古沿岸部への建設や、普天間基地の継続使用という結論を出した場合、国民新党は連立を離脱すべきとの考えを示した。
国民新党は、8日の沖縄基地問題検討委員会に「嘉手納基地統合案」と「キャンプ・シュワブ陸上案」の県内移設案を提出する方針。
2013年5月2日(琉球新報)
政党そうぞう(下地幹郎代表)が大阪維新の会と普天間飛行場の辺野古移設推進の政策協定を締結した。
……下地氏はこれまで辺野古移設の実現性を疑問視し、政府・自民党を厳しく批判してきた。国民新党の衆院議員時代には米政府要人に辺野古移設を「無理」と直接伝達している。……
仲井真弘多知事をはじめ県議会全会派が県外・国外移設で足並みをそろえてきた中、同氏を含むそうぞう議員への「変節」批判は避けられそうにないが、同党関係者は「当初は辺野古を主張する意見はほとんどなかった」と述べ、国政復帰を狙う下地氏が維新との関係強化へ協定締結を優先したことをほのめかす。……(抜粋ここまで)
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もともと沖縄における橋下市長に対する印象は本土とは微妙に違った。本土のすべての保守系首長が「日米安保は必要だが、自分とこに基地を持って来るのはお断り」「沖縄には金をくれやるから我慢しとけ」という無責任で冷酷な態度の中で、橋下大阪府知事(当時)だけが唯一、「関空で受け入れてもいい」と、現実性はともかくまがりなりにも表明したからだ。
そこへ何が何でも自分が議員に返り咲きたい一心の下地氏、恥も外聞も投げ捨て「維新人気」にすがろうというところ。下地氏は元来「公共事業誘致」のいわゆる土建タイプの政治家だったようだが、維新の「大阪での部分的米軍受け入れ+基地の全国分散策+新基地建設の公共工事」という主張に乗っかることで大きな賭けに出たということだろう。
だが、すでに維新が「辺野古基地建設容認」を明確にした時点で、沖縄でも橋下に対する失望感は広まっている。大阪移転も全国分散も掛け声ばかりで実現可能性はとぼしく、ただ新基地を押し付けられるだけに終わることは明白だ。
辺野古反対の看板をおろしてまで維新にすがったことは、もともと成算のない無謀な賭けだったのであって、今回の橋下発言で、その賭けは完全に裏目に出て墓穴を掘るだけになったというべきである。