三里塚空港反対同盟大地共有委員会(代表:加瀬 勉)
最高裁第一小法定(桜井龍子裁判長)は4月25日付けで、成田国際空港会社が一坪共有地2カ所の売却を求めた裁判で空港会社の言い分を認め、共有者の上告を却下する決定を出した。これで反対同盟が取り組んだ一坪共有地裁判は全て終結した。
空港会社は2009年、用地内の一坪共有地を賠償金と引き換えに売却するように求める訴訟を起こした。
裁判は1審千葉地裁、2審東京高裁で空港会社の主張を認め売却を命じる判決をくだした。共有者は上告して最後まで闘いぬいたが、不当にも最高裁は上告を退けた。
空港会社は用地内に点在し、空港の完成を阻む一坪共有地を手に入れるために、事業認定を取り下げて強制収用が不可能となった現在、司法権力の強制力を使って土地を取り上げるという手段に出た。これは反対同盟と空港公団(当時)の間で開かれた「成田シンポジウム」で確認された「強制的な手段を用いないで話し合いで解決する」という約束を反故にするものであり、強制代執行と実質何ら変わらない土地強奪である。
空港会社は「共有地の大部分を空港会社が取得している」。共有者が用地内に土地を持っていても「何ら経済的価値を生み出さない」などと、一坪共有地運動の意味を完全に否定する主張をした。すべてカネで解決するという姿勢だ。強奪とカネですべてを押し進めるという空港建設を開始して以降、一貫したやり方である。
今回、決定が出た対象の土地2カ所のうち1カ所には反対同盟の横堀現闘本部が建っている。建物は鉄板で囲われ所有者が近づくことも出来ない状態の中で、空港会社はこれを撤去するために再び裁判を起すことは明らかである。現闘本部破壊・撤去策動を断じて許してはならない。
空港会社は利益の追及のために空港機能の拡大をなりふり構わず行っている。現在、年間約22万回の飛行を30万回に増やそうとしており、また、LCC(格安空港会社)の求めに応じて夜間の飛行制限午後11時までを11時台まで緩和することを決めた。
これには航空機騒音被害に苦しむ住民から反対の声が上がっているが、関連自治体の同意を得たとして強行している。
政府、空港会社(公団)は「国策」として空港建設を強権をもって推し進めてきた。それに対する農民の闘いは、多くの労働者・学生・市民を結集してきた。そして現在もなお闘いは続き成田空港の完成を阻んでいる。
大地共有委員会は、全国の三里塚に心を寄せる仲間と共に一坪共有地、現闘本部を守り抜いて闘う決意である。
(5月14日)