1964年建設のタラプール原子力発電所は、インドで最も古い原発。建設当初は国民から熱烈に迎えられ、とりわけ地元の人々はその発電所を「ハイ・パワー」(大いなる力)と呼んで誇った。
それから40年。今や原発周辺の住民たちは長きにわたる貧困や病に苦しみ、怒りの声を上げていた。電力を送り出す町には暗闇が広がり、その闇はそこに留まっているかにみえる。
原発が立地するタラプールの地は、その力が約束した夢から、はるか遠く離れている。結局、インドが国策として進め、日本が協力しようとしている原子力政策とは何なのか?映画は電力を消費する都市部に住む人間として葛藤する主人公の目を通して、タラプールに起こった出来事を描き出す。
今、日印原子力協定が締結され、福島事故で国内に作れなくなった日本企業の原発が、インドに輸出されようとしている。タラプールに起こった出来事が、私たち日本人の手によってさらに拡大されようとしている。 それはかつて、本土の反基地闘争を受けて、沖縄に米軍基地が押し付けられていった歴史を思い出させるようだ。
人間の欲望を満たすための行為によってもたらされた別世界を背景に、ドキュメンタリー「ハイ・パワー」は、報道されないインド民衆の声、描かれなかった風景、失われた命に光を当てる。
(2013年/インド/27分)
2014年8月、インドのタラプール原発を描いたドキュメンタリー映画「ハイ・パワー:大いなる力」の監督、インドゥルカーさんが祝島を訪れ、上映会が行われました。その時の監督のお話や質疑応答のようすです。
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