by 原 隆
沖縄の伝統文化の一つである剛柔流空手を東京中野で指導している原です。
沖縄の伝統空手について、少しうんちくを傾けてみたいと思います。
空手のルーツは沖縄・琉球です。沖縄では「唐の手」(トゥーディ)と言われていました。唐=中国から伝わったからです。唐(カラ)手に「空手」という当て字が用いられて今日に至っているわけです。
私は「漢字」というのと同じで「唐手」でもいいのではと思っています。やはり1879年の明治(ヤマト)政府による「琉球処分」(併合)以降の同化政策の反映によるヤマト風の「言い替え」ではないでしょうか。
「琉球処分」と言えば、1987年に沖縄で開催された国体(国民体育大会)―知花昌一さんが読谷村で日の丸を焼き捨てた沖縄国体―における「沖縄の空手界に対する琉球処分」について言及しないわけにはいきません。
全空連(全日本空手道連盟)というヤマトの団体が、沖縄に乗り込んできて、空手発祥の地である沖縄の空手界に対して、傘下に入らなければ、国体への参加を認めない、段位も認めない、という上から目線の傲慢で尊大な(植民地主義的)態度をあらわにしたことです(当時の全空連会長は笹川良一)。この「沖縄空手に対する琉球処分」によって、沖縄の空手界が二分されてしまう、ということがあったわけです。
首相の菅は、法政大の剛柔流空手部の出身(2段)ときいています。また前回の沖縄知事選で玉城デニー知事に敗れた佐喜真(日本会議所属)も剛柔流の師範のようですが、というより沖縄剛柔流空手を学んだ者でありながら、こうした歴史をまったく顧みず、日本(ヤマト)への同化・一体化の推進者のようです。
瀬長 亀次郎(出典:映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男」)
私が指導にあたっている沖縄剛柔流空手は、たぶん東京では唯一の沖縄の伝統的な剛柔流空手だと言えると思います。20年以上前(1998年)に亡くなった渡口政吉(とぐち せいきち)元館長が中野に開いた道場です。
那覇市出身の渡口元館長には、こんなエピソードがありました。瀬長亀次郎さんが那覇市長時代、渡口元館長は、支援者として亀次郎さんの街頭演説会などでボディーガードの役割をしていたため、米軍政当局からにらまれ、「復帰」前ですので奄美にある道場に行くための渡航許可がおりなかった―という話を生前に聞いたことがあります。
米軍政下での「言論の自由」への抑圧に抗った一空手家として、渡口元館長は尊敬に値する人物だと、私は思っています。沖縄の空手を学んだはしくれとして、その志を受け継がねばならないと思っています。
沖縄の伝統空手のスピリッツとして、「空手に先手なし」という心構え(ポリシー)が根本にあります。決して先に手を出さないこと、先に攻撃してはならない。あくまでも自分たちの身を守る抵抗の手段だという考えです。しかしながら抑圧する者に対しては徹底して抗い闘う―という古代中国の墨子の「非攻」という思想に通じるものがあるのではないか、と考えています。
沖縄の空手には「命(ヌチ)ドゥ宝」(人の命ほど大切なものはない)のポリシーが脈々と流れているように思います。このように沖縄の空手(唐手)は、「差別と同化」を強いられた苦難の歴史に育まれてきた沖縄の伝統的な文化の一つなのであり、同時にそれは、国境を越えて人々と繋がることを可能にする文化なのです。
私自身、イスラエルに占領され虐げられているパレスチナの地をこれまで7度訪ね、沖縄の空手を披露することによって、パレスチナの人々との「越境する連帯」に努めてきました。言葉が通じずとも、抑圧されてきた沖縄の空手には、「抵抗」と「連帯」を身体で表現できる力が宿っていると確信しています。
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筆者による沖縄空手の演武あり!
■ 日時:2020年12月20日
14時半~16時
■ 場所:中野駅北口広場
(JR中央本線・地下鉄東西線)
※スタンディング、ビラまき、マイクアピール、沖縄空手の演武などをおこないます。
■ 呼びかけ:沖縄への偏見をあおる放送をゆるさない市民有志
冲縄の米軍基地建設反対運動を誹謗中傷したテレビ番組「ニュース女子」問題 に取り組む市民の集まりです。
連絡先:nonewsjyoshi [at] gmail.com Twitter: @nonewsjyoshi
安倍晋三首相の後継として、今年9月に 菅義偉首相が誕生しました。菅氏は、世間では「苦労人」「たたき上げ」として高い支持率を示していますが、果たして人の苦労が分かる、市民に寄り添った政治家 でしょうか?
菅氏は、安倍政権では官房長官と同時に 「沖緹基地負担軽減担当大臣」も務めていました。しかし実際には、基地負担軽減どころか、むしろ負担を強化し、沖縄の人々の心を踏みにじってきました。官房長官時代の菅氏の言動を振り返ってみましょう。
菅氏の特徴1:民意を無視し、違法性を追及されても説明しない
「世界一危険Jといわれる普天間飛行場の移設を理由に進められて々る辺野古新基地建設に対しては、県民の多数が「新基地建設NO ! 」の意志を何度も示してきたにも関わらず、「辺野古が唯一の解決策」として譲らず、赤土の投入など 様々なルール違反が指摘されても「法に基づいて粛々と進めている」とはぐらかしてきました。
菅氏の特徴2:すぐに金と権力でおどす
基地を受け入れなければ、沖縄振興予算を削減すると露骨なァメとムチで、沖縄の人々の分断を生んできました(菅氏に限らず、自民党を挙げての姿勢ですが)。
菅氏の特徴3:「不都合な歴史」には知らんぷり
県民の多くが犠牲になった沖縄戦や戦後の米軍統治という沖縄の苦難の歴史を語った翁長雄志沖縄県知事(当時) に対しては,「私は戦後生まれなものですから、歴史を持ち出されたら困りますよ」と冷淡に対応しました。
イジメに加担したくない。恐怖政治におびえたくない。だから怒る
国による沖縄イジメを許してきたのは、この政権を選挙で勝たせてきた「本土」(沖繅以外の日本)の私たちの責任です。「許せない」という世論を形成し得ていない責任を、私たちは負っています。
さらに、日本学術会議の人事に国が 介入した例にみられるように、政府の意に添わない人・団体への圧力やおどし、排除が、安倍-菅政権のもとで進行中です。これは恐怖政治そのものです。菅首相の沖嫌イジメに怒りを表明することは、公正・公平が保障される社会で、自分らしく生きるために必要不可欠な営みだと私たちは考えます。あなたはどう思いますか?