更新が遅れて申し訳ありません。先ほど夜勤から戻りまして、少し仮眠してまた仕事です。その前に簡単にご報告…といっても、すでにいろいろな所で報告されていて、マスコミでも報道されていますが、テント村の撤去はひとまず阻止されました。
撤去期限直前の夕方4時からはじまった抗議行動には、平日にもかかわらず急を聞いて多くの人がはせ参じました。午後4時の開始時点でテントの受付に名前を書いた人だけで400人。通行人のための通路を確保し、さらにテントを包囲しようとする大量の警官隊もやってきて、テント前はギュウ詰めの大混雑。午後5時を回るとさらに人は増えて、受付に記名した人だけで750人に達しました。おそらく実際には800人以上いたと思われます。撤去期限をはさんだこの行動はネット動画の「USTREAM」や「ニコニコ動画」などのサイトで生中継され、全国で一万人以上が視聴していました。
さらに経産省に届いた「撤去するな!」という抗議のメールやファックスは、撤去期限までのわずかな期間に8000通を越えたそうです。経産省の役人が「福島からも抗議がきていた」と言っていたそうで、わざわざ「福島から」と口に出すのですから、特別に福島県民からの抗議が多かったり強かったりしたのでしょう。さらに緊急に実施されたネット署名はツイッターを通じてものすごい勢いでそのURLがリツイートされ続けて急速に拡散、署名数が1万人を超えるのに12時間とかからず、一日足らずで2万人を突破。撤去期限までに3万5千人を超える人が署名しました。おまけにフランスの元環境相が、今回の撤去勧告を聞いて、テント村と枝野経産相に緊急メッセージを発するということまでありました。
私なんか「抗議行動の開始時点で最低でも50人、最終的には200人くらいは集まらないとまずい」とか思っていた(経産省や警察もそれくらいとふんでいたのではないかな)ので、この「想定外」の大結集には嬉しい驚きを隠せません。私の危機感と怒りは広範な人々によって共有されたものだったことが本当に嬉しい。これだけの人間を暴力的に排除するためには、完全武装の機動隊2000人くらいを動員して女性や子供にも襲いかかり、まさに阿鼻叫喚の大混乱を作り出さねばできない。しかも一万人の視聴者の目の前で。それはたちまち国内のみならず全世界にニュース配信されるでしょう。もはや当日の撤去はこの時点で不可能になりました。今回の枝野さんの撤去勧告は、かえってテント村へと世間の注目を集め、その知名度や影響力、支持者を増やす結果になったのです。
なお、ネット署名は撤去を阻止したことで現在は落ち着いていますが、今も5万人を目標に署名は受付られています。決して撤去勧告が撤回されたわけではないので安心せず、まだの方は是非、署名をお願いします。
下の動画はテント村がまったくマスコミから無視されていた時代の訪問レポートです。そもそもテント村ってどういうものなのか知らない方へ。知っている方は復習にどうぞ。
思えば経産省前のテント広場は、昨年の9・19さよなら原発6万人集会を前に行われた、経産省包囲の人間の鎖行動をきっかけに、福島のお母さんたちがそのまま座り込んだことからはじまりました。当初は9・19までということでしたが、報を聞いてかけつけた人たちのあいだで交流が生まれ、その中心としての役割をも担うようになり今日にいたります。ただ、「福島の女たちによる座り込み」が始まった当初は、マスコミでもテント村の扱いは非常に小さいか、もしくは全く無視されていました。情報は各地の運動を通じてか、そうでなければネット上にしかないような状況が続きます。
ところがテント村はいつしか全国の無党派・非党派な人たちの思いを代弁してその声なき声を中央に届ける、その中心としての役割をも担うようになります。今やテント村の防衛は、単なる「特定の脱原発運動の防衛」ということにとどまらず、即、原発震災によって停止した原発の再稼動をやめさせ、原発のない日本を実現するための最前線になり、全国のみならず、世界からも注目される存在になりました。
このことをもう少しみていきましょう。あまり一般には認識されているとは言い難いことですが、現在稼動中の原発はもはや3基しかないのです。政府は定期検査などで停止した原発を世論や運動の力によって再稼動させることができず、ここままいけば夏までにはすべての原発が運転を停止することになります。「運転中の」という意味でいうなら「原発のない日本」は本当にもう目の前なのです。そしてそのまま電力ピークの夏を乗り切れることが実証されてしまいますと(そうなるでしょうが)、世論は一気に脱原発でいいじゃないかという流れになってしまうかもしれません。
原発業界の利益を代弁する経産省がそれを嫌い、なんとか原発再稼動の突破口としたかったのが福井県の大飯原発です。そこで学者による検討委員会を形式的に開催して体裁を取り繕うことにしたわけですが、公開が原則のはずの検討会で最初から傍聴人を排除しようとした。そのことに傍聴を予定していた市民から原則的な抗議がおこなわれ、出席委員からも「再稼動ありき」で結論が決まっているあまりの形式性と傍聴人排除への疑問が出され、怒りで席を蹴る委員が二人も出た。さらに市民側からは、出席委員に電力会社などから多額の寄付(ワイロ)を受け取っている学者が3名も選出されていることが暴露され、このような中立でない利益相反の委員の排除要求が出されるにいたった。これらの原則的な抗議で紛糾した検討会は開催が4時間も遅れ、結果としてこの会合の正当性がすべてはぎとられてしまいました。
このまま再稼動に突き進めばそれは「強行突破」以外の何ものでもなく、そのことは大飯に限らずほかの原発地元の世論や自治体の判断に強い影響を与えかねません。そしてその直後の今回の撤去勧告へと進むわけです。これは経産省の反原発市民への報復弾圧であると同時に、IAEAの査察や大飯原発再稼動への地ならしであり、どうしてもその前にテントを撤去したかったということです。つまり撤去勧告それだけを見ても本質はわからない。この一連の流れの中で、撤去の阻止が、そのまま再稼動阻止のたたかいであるという意味、そして全国や世界の抗議の声で、当面の撤去をやめさせた、経産省は撤去することができなかった、そのことの大きな意味がおわかりいただけるでしょうか。
などと偉そうなことを書いておりますが、私自身は抗議行動中にテントまでたどり着けませんでした(号泣)。ぜひこの目で見たかったし参加したかったのになあ。この日に限って仕事が大幅な残業になってしまい、疲れた身体を引きずってようようテントにたどり着いた時には、すでに夜の8時前になっていました。どうなったかわからないけれども、とにかく現場に行かねばという思いで、気ばかり焦っていました。
実はテントに行くのは恥ずかしながら、これが初めてだったので、地下鉄の出口から反対方向に歩いてしまい、経産省の正門前を通ってぐるりと一周。すごい遠回りをしてしまいました。正門前に林立する立ち入り禁止とかの看板の向こうから、ガードマンのおじさんに睨まれ、ひょっとしてもう撤去されてしまったのだろうかと不安になりました。テントは経産省正門に向かって左側すぐの角地にありますので、初めての方はお間違えのないように。
しかしよくこんな見事な場所を見つけたものだと感心しました。テントのある場所は一応は経産省の敷地なのですが、同省の塀の外であり、かつ歩道にもまったくかかっていない隙間のようなちっちゃな角地なので、実質的には誰にも迷惑はかからないし通行の邪魔にもならない場所です(左図参照)。でなければ、マスコミや一般の人々からこれほど好意的に見てもらえることもなかったかもしれません。
テント前には、デモなどでみかけたことがある方々の顔もありましたが、すでに知り合いの方々は帰ったあとのようです。抗議行動にはみんな来ていたらしいんですが。人見知りでガラスのハートの私(単なるヘタレとも言う)は、テント前で何をどうしていいやら、行ったり来たりの不審者状態になってしまいました。詳しい話も聞きたかったけど、みなさんお知り合い同士で盛り上がっておられたので、ちょっと声をかけにくかった。参加者(訪問者)の記帳ノートもすでに片付けられていました。せめて記帳だけでもと、一番左のテントに入ってみましたが、そこも数人の方々が抗議行動の余韻ですっかり盛り上がっておられ、見ず知らずの私がいきなり入っていっても、こちらを見もせず、気にもとめてもらえません。いいのか、良くも悪くもこんな開放的で(笑)。
大阪の集会で一度だけ面識があり、私のマイミクさんでもある永瀬ユキさんの顔が見えましたが、こちらは覚えているけどむこうは全く覚えてない状態で(まあ、人相変わっちまったかもな、オレ)、お声をかける前に盛り上がって買い物に出てしまわれた。いつまでも突っ立っているのも変なので、いったんテントの外へ。掲示物などを見たあと、とりあえずテントの無事を確認してそのまま帰りました。「何しにいったんだろ、ドジな俺」状態でしたが、もうヘトヘトに疲れていましたし、眠気がおそってきて、翌日も仕事で早い。テントの無事とその場所を確認したことでヨシとしました。シャイでヘタレな私としては、初回はこんなもんか。またそのうち行きますのでよろしくです。
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http://www.avaaz.org/jp/stand_with_fukushima_mothers/?copy
いま、恐ろしいことが起きつつあります。福島のお母さんたちは、子供たちのために、放射能汚染のない未来を築くことを求めて、経済産業省前で平和的なキャンペーンを行っています。そのお母さんたちに対して、枝野幸男・経済産業大臣が退去命令を出しました。警察がお母さんたちのテントを撤去しにやってくるかもしれません。警察を止められるかどうかは、私たちの今の行動にかかっています!
枝野大臣は、影響力ある原子力産業の圧力に負けつつあります。原子力産業は、福島のお母さんたちの闘いが社会の注目を集め、その真摯な努力が実り始めていることに脅威を感じています。今、全国で多くの国民が、お母さんたちの闘いに呼応して、危険な原子力発電をやめるように、声を上げ始めています。この勇気あるお母さんたちが警察によって立ち退かされないように、私たちが今、みんなで支援をしなければ、子供たちの命を守る闘いはつぶされてしまいます。
今すぐ、枝野大臣の受信箱に何千通のメッセージを送り、退去命令の撤回を要請しましょう。枝野大臣をはじめとする政治家たちにとっても、人命や安全が大事か、それとも目先の利益に固執するのか、選択の時が来ています。いま、福島のお母さんたち、そして脱原発に取り組む活動家たちとともに立ち上がり、原子力産業の汚いやり口を終わらせるために、クリックしてください。そして、このメッセージをすべての人に伝えてください。
【署名の要請内容】
枝野経済産業大臣 殿
経済産業省前で平和な抗議活動を行っている市民や福島の母親たちに対する退去要請に関して憂慮する私たち市民は、要請を撤回し、私たち皆のために原子力のない安全な未来を願い声を上げる母親たちの権利を認めるよう求めます。
すべての市民に公共の場で意見を述べる自由が認められるべきであり、この非暴力の抗議デモを今後も認め、基本的権利を尊重するよう要請します。
どうぞよろしくお願いいたします。
「傍聴締め出し」に抗議したことを「反対派乱入」とはなんだ ?!
嘘つき経産省と保安院は、大飯原発の再稼動計画をただちに中止せよ!
◇ 大飯原発3・4号の運転再開に反対する緊急署名にご協力を!(1月末日まで)
16時頃、「福島事故緊急会議」が呼びかけた傍聴団が中に入って、「傍聴の締め出しは許さない」と抗議。そして、「ワイロをもらった三人の委員を審査から締め出せ」と要求。
報告】大飯原発再稼働「ストレステスト聴取会」抗議アクション (東電前アクション!)
……途中機動隊の部隊が経産省前に入ろうとするところを外の抗議団が阻止。二度に渡って機動隊を追い返しましたが、別の玄関から入って行きました。 しかし、傍聴団の毅然とした態度、そして「市民の締め出しを許さない」というごくごく当たり前の主張に、機動隊は手出しすることはできませんでした。
……結局、「聴取会」は4時間も遅らせて、経産省別館ではなく本館のほうで急きょ開催されました。しかも、後藤正志さんら二人の委員は「傍聴を認めない審議に参加することはできない」と欠席。
……「聴取会」そのものを完全に中止させるまでには至りませんでしたが、「ストレステスト」の正当性を完全にはぎとったという点で、18日の行動は大きな成果を作り出したと言っていいと考えます。大勝利ですよ!(続きを読む)
◇動画】市民反発のストレステスト審査 大幅に遅れて開始
◇美浜の会
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◇大飯原発再稼働を認めるかどうかのストレステストをめぐる専門家会議を“再稼動慎重派と傍聴人”を締め出して、原発推進派だけで開催!再稼動容認!!(日々雑感)
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いえいえ「テント防衛」に駆けつけようとする人のどこが「へタレ」なんでしょうか?お疲れ様でした。
それにしても、普天間基地もこのぐらいの勢いで撤に持ち込みたいものです。
あるみさん>
どうもありがとうございます。
本文では書きませんでしたが、やはり市民運動家って、私から見るとなんか話しかけにくい人が多いんですよ。
むしろ党派の人のほうが、実存としてはものすごく「普通の人」なんで話しかけやすいというか。だから「上下関係」のある組織活動なんかも普通にできるんでしょうが。