経済にデモクラシーを取り戻すために
『「反緊縮!」宣言』刊行記念 松尾匡×梶谷懐×西郷南海子
この度、日本ではじめて「反緊縮」という言葉をタイトルに掲げた書籍『「反緊縮!」宣言』(亜紀書房、5月23日発売)が刊行されます。
では、ここでいう「反緊縮」とは一体どういうものなのでしょうか? 一言でいえば「反緊縮」とは、「政府が積極的に財政支出をして、人びとの暮らしを支えていくこと」を指しています。これに対して、「緊縮」とは「政府が財政支出を抑制し、財政の立て直しを図ることによって、人びとの暮らしを貧しくしていくこと」を指していますが、今年の10月に予定されている消費増税は、典型的な緊縮政策だと言えるでしょう。
近年の欧州ではこの「反緊縮」という言葉を掲げて、長年の新自由主義政策によって苦しめられた人々の生活不安の声を拾い上げ、私たちの日々の暮らしに直結する経済の領域にも「民主主義(Democracy)」を求める運動が広がっています。
『「反緊縮!」宣言』の刊行を記念して、こうした反緊縮運動の理念を紹介するとともに、欧州とは異なるアジア(特に日本)にこの反緊縮の理念を根付かせていくにはどうしたらいいのか、そして経済に「民主主義」を求めるとはどういったことかについてお話をしていきたいと思います。