■8・6つどいHP http://8-6hiroshima.jpn.org/tudoi/2019/2019.html
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鵜飼哲(うかい・さとし)さんプロフィール
パレスチナ問題、フランスの社会運動やイスラーム、朝鮮半島問題、日本の死刑制度や天皇制などに関して社会運動の場で積極的に発言。
これまで編集委員として『インパクション』誌、実行委員として「連続ティーチ・イン沖縄」などに関わり、最近では反東京オリンピックの取り組みに力を入れている。
『現代思想』2018年8月号巻頭座談では討論者の一人として参加(李鍾元+梅林宏道+鵜飼哲「南北の平和共存と北東アジアの未来――南北首脳会談・米朝首脳会談はいかなる可能性を拓いたのか」)。
著書:『抵抗への招待』『償いのアルケオロジー』『主権のかなたで』ほか。翻訳書多数。
共著として『デリダと死刑を考える』『レイシズム・スタディーズ序説』『思想の廃墟から:歴史への責任、権力への対峙のために』などがある。
8・6ヒロシマ平和へのつどい2019 被爆の原点からヒロシマの責務を考える-東アジアの平和のために-
被爆の原点とは何か。
なぜ、広島・長崎は被爆しなければならなかったのか?
1945年8月6日、月曜日、午前8時15分、侵略の拠点である軍都廣島の兵士も市民も、日本人はもちろん朝鮮人、中国人さらには米国人捕虜も、戦争に賛成した者も反対した者も、あらゆる人間が抹殺の対象とされた。
東京大空襲、呉や岩国を含む日本全土の市町村400カ所ほどに対する空爆で102万人の被害者(うち56万人が死亡者)を出し、20万人を超える命が奪われた沖縄戦を経てもなお、天皇裕仁の命と天皇制を守ることだけのために降伏を拒んだ裕仁自身と大日本帝国指導部すなわち、アジア太平洋侵略戦争を遂行した天皇制ファシズム国家日本自体が被爆を招いた責任(「招爆責任」)を、私たちは徹底的に追及しなければならない。
同時にアメリカが原爆を使うまで日本が決して降伏しないようにトルーマン政権が画策した、アメリカ国家による原爆無差別大量虐殺の罪と責任も徹底的に追及しなければならない。
アメリカの原爆攻撃が世界戦争を終わらせ、世界の民主主義を救い、日本に民主主義を植えつけたという原爆神話。
日本の終戦を天皇が導いたとの天皇聖断神話。
この二つの神話を、日米両国民が打ち破る必要がある。
日本人がアメリカの原爆攻撃の加害責任を追及できないことと、自国の侵略戦争や植民地支配の加害責任を追及できないことは表裏一体である。
GHQ司令官マッカーサーは、日本占領支配の切り札として「象徴天皇制」を設計し、そのために戦犯裕仁の戦争責任の追及をかわすことで、日米安保軍事同盟の路線を敷いた。
そのため、裕仁は「天から途中まで降りてきただけ」で、本質的には「人間」になることを拒否し続けた。
その結果、憲法前文と9条の人類普遍的原理と第1章の排外的な天皇制国家原理の間に決定的な矛盾が埋め込まれてしまった。
戦後74年が経った今も、「日本軍性奴隷(いわゆる「慰安婦制度」)」問題や「強制動員(いわゆる「徴用工」)問題を日本が解決できない原因は、まさにこの矛盾から発生している。
安倍政権は、「戦後体制の清算」をめざし、天皇代替わりを利用し、東アジアの平和を壊し続けている。
そして、今なお続く福島原発事故の被害を隠蔽し、「放射能安全神話」を強化し、核抑止力と原発推進の政策を変えようとしていない。
さらに、沖縄の民意をないがしろにして辺野古新基地建設に突き進んでいる。
こうして、「パックス・アメリカーナ(アメリカの支配による平和)」と日本の脆弱な「戦後民主主義」のために、東アジア地域に真の平和がもたらされる機会が今日まで失われてきた。
昨年の4・27南北首脳会談とそれに続く朝米協議には、米ソ冷戦終結を超える世界史的意義が含まれている。
「朝鮮半島の平和と繁栄、統一」のために、朝米は、休戦状態の朝鮮戦争を実質的に「終戦」にしなければならない。
東アジアに平和を創り出すために、私たちは、朝鮮半島を分断した責任が米日にあることを明確に自覚し、在日米軍と在韓米軍を撤退させ、アメリカの核軍事力を解体させなければならない。
以上のような問題意識から、被爆地ヒロシマの責務を、私たちは皆さんと共に考えたい。