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米大統領選におけるフェイスブック個人情報の大量流出と投票誘導、サウジアラビア政府を批判したジャーナリストの殺害など「監視」を背景とするニュースは日毎に増しています。2013年、アメリカ国家安全保障局(NSA)元契約職員のエドワード・スノーデン氏が暴露した世界監視システムの存在は世界を震撼させました。
2016年に、日本人として初めてスノーデン氏に単独インタビューを行った小笠原みどりさんは、特定秘密保護法制定におけるNSAの圧力や、厚木基地などにあるNSA施設に日本政府が深く関与し、日本の人々の情報を網羅していたことなど、驚くべき事実を明らかにして私たちに大きな衝撃を与えました。
小笠原さんは、その後も、「スノーデン・ファイル」の読解を続け、日本の戦後政治、特に「沖縄密約」を含む数多くの米国との密約と在日米軍の変容(日本を拠点とする米スパイ活動の歴史など)を現代史の中に位置づけ、監視技術の高度化を利用して姿を変えていく現代の権力の全体像に迫ろうとしています。
東京五輪に向けテロを口実にした監視技術が大々的に売り込まれています。多くの人が便利で必要と思っているデジタル技術、あらゆる分野に広がるAIやIoT(nternet of things)といった先端技術は大量監視を前提とし、個人データ全てが国家の利益のために使われるということが強まっていく、そんな未来で良いのでしょうか?
「監視」は個人と国家の関係を根本から変えます。平和も民主主義も監視システムを無視して議論することはできません。
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小笠原みどり
ジャーナリスト、社会学者。1970年横浜市生まれ。94年早稲田大学法学部卒業、朝日新聞入社。社会部記者として、戦後補償、沖縄米軍基地、盗聴法や住民基本台帳ネットワークなど監視社会問題について報道。
2004年米スタンフォード大学でフルブライト・ジャーナリスト研修、朝日新聞退社。05年からカナダ・クィーンズ大学大学院(修士課程)で監視研究の先駆者ディヴィッド・ライアンに師事。16年アメリカの世界監視システムを内部告発したNSA元契約職員エドワード・スノーデンに、日本人ジャーナリストとして初の単独インタビュー。
18年同大学院で、近代日本の国民識別制度と植民地監視システムに関する論文で社会学博士号を取得。現在、オタワ大学特別研究員。
著書に『スノーデン、監視社会の恐怖を語る』(毎日新聞出版)、『共通番号制度〈マイナンバー〉なんていらない!』(共著、航思社)、訳書にライアン『監視スタディーズ』(共訳、岩波書店)など。最新刊『スノーデン・ファイル徹底検証』(毎日新聞出版)など(講演会場でも販売の予定)。