講師:芦名定道氏(京都大学文学研究科教授)
【講義概要】日本学術会議第25期の会員候補のうち、6名が菅総理によって任命拒否された問題(日本学術会議問題)について、その当事者の一人として、現在までの経過を振り返り、この問題について理解を深めてみたいと思います。
特に注目したいのは、日本学術会議問題の歴史的経過を遡って考えれば、今回の問題の核心は、任命拒否された6名のそれぞれの個人的な事柄にあるというよりも、日本学術会議自体のあり方にあったと推測されます。つまり、政府の立場から問題視されたのは、日本学術会議が一貫して、軍事研究に批判的な立場を表明してきたことにあった思われます(内閣府などから説明がなされたわけではなく、あくまで推測ですが)。
今回のミニ講義では、この日本学術会議問題の発生に対する各界からの反応について、確認した上で、そこから現代の日本の大学が直面している問題状況(1990年代以降の大学設置基準の大綱化、大学院重点化、国立大学法人化 → 国立大学の場合の運営費交付金と中間計画の仕組み)へとさらに分析を進めたいと思います。
この問題は、大学における研究のあり方、また大学自治にも関連しており、こうした議論を通して、今回の日本学術会議問題が大学にとって何を意味しているのかが、より明確になるでしょう。
そして、ミニ講義では、以上の議論と京都大学における職員組合のあり方にも言及したいと考えています。
ミニ講義「日本学術会議問題と大学-軍事研究・自治・組合-」
■ 日時:2021年1月25日(月)12:10~13:00
■ 形式:オンライン(YouTube)
配信:https://shiminmedia.com/video/164660
https://www.youtube.com/watch?v=Id7BNpYRcuI
■ 講師:芦名定道氏(京都大学文学研究科教授)
■ 主催:京都大学職員組合
https://www.youtube.com/c/KyodaiunionGrJpOffice/featured
【講師略歴】芦名定道(あしな・さだみち)
1956年山形県新庄市生まれ。
1980年京都大学理学部卒業。
1982年同文学部哲学科(キリスト教学専修)卒業。
1988年10月大阪市立大学文学部講師(宗教学)、1992年助教授。
1994年「P.ティリッヒの宗教思想研究」で京都大学博士(文学)。
1995年京大文学部助教授(キリスト教学)。
2007年文学研究科准教授。
2008年教授。
主な著書
「ティリッヒと現代宗教論 」(北樹出版、1994年)
「自然神学再考 近代世界とキリスト教 」(晃洋書房、2007年)
「東アジア・キリスト教研究とその射程 無教会キリスト教を中心に」
(三恵社、2019年)
「現代神学の冒険 新しい海図を求めて」(新教出版社、2020年)
など。