2023年10月にハマスとイスラエルの軍事衝突が始まって以来、ガザ地区を中心に犠牲者は4万人を超して今も増え続けている。また、2年前に始まったロシアによるウクライナ侵略は、いつ終わるともしれない。
11月末、アメリカ各地の大学ではイスラエルに対して反戦を求めるデモが起こり、若者の勇敢な行動として大きな話題を呼んだ。学生たちは、大学に対し、大学基金や授業料を通じたイスラエル軍関連企業への投資を中止するよう求めた。彼らの抗議の声は瞬く間に世界各国に広がり、日本の大学でも東京大学をはじめ、各地で声が上げられている。しかし、それはごく一部の学生に限り、私たちを含む大半は「自分の問題ではない」と静観した。
この現実に起きている問題に対して、目を向けないことへの危機感こそがこの企画の発端である。学生として学びながらも選挙権を持つ社会の一員として、私たちが歴史を受け継ぎつつ現状を直視して、間違っていることに対し「声をあげる」ことはとても重要なのではないか。
本映画祭では、これまでに起こった古今東西のさまざまな事件や現在にも通ずる社会問題について「声をあげる」人々を扱った映画に焦点を当て、「声をあげる」とはどういうことかを観客と共に考えたい。
土井敏邦監督『沈黙を破る』は元イスラエル兵士が結成した反戦団体へのインタビューから、今まで語られてこなかった加害者側の心情と葛藤を明らかにする。ほかにも、収容所のユダヤ人によるナチスへの反乱と脱走を、壮絶な体験談と収容所の現在の風景によって描く、クロード・ランズマン監督『ソビブル、1943年10月14日午後4時』をはじめ、貧困・政治問題・女性差別などのために抑圧された人々が決死の訴えを起こす姿を鮮烈に映し出した作品を選出した。
この映画祭を機に、世界で起こっている事件を自分たちにも関係のある問題として捉え直し、どのような行動を取るべきなのかを改めて考えたい。映画を学ぶ私たちにとって、こうした映画を集めて映画祭として上映することが、最初の「声をあげる」行為だと信じている。
(映画祭企画学生一同)
■ 期 間:2024年12月7日(土)~12月13日(金)
■ 上映館:ユーロスペース
〒150-0044 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS3F
http://eurospace.co.jp/access/
■ チケット:
・1回券 前売り 一般/学生ともに1000円
当日券 一般1400円、学生/会員/シニア 1100円
・3回券 前売り 一般/学生ともに2400円
当日券 一般/学生ともに 3000円
■ 主催:
・日本大学芸術学部映画学科映像表現・理論コース3年「映画ビジネスⅣ」ゼミ
https://www.nichigei-eigasai.com/
・ユーロスペース
http://eurospace.co.jp/
★上映後トーク:望月衣塑子さん(ジャーナリスト/東京新聞記者)