【ニューヨーク高橋弘司】イラク駐留米軍が中部ファルージャへの大規模掃討作戦を計画していることに関し、アナン国連事務総長がブッシュ米大統領とブレア英首相、アラウィ・イラク暫定首相あてに異例の警告書簡を送ったことが5日、明らかになった。掃討作戦は、来年1月に予定される移行国民議会選挙の妨げになると訴えている。
アナン事務総長は先月31日付でブッシュ大統領らに書簡を送ったとされる。国連筋によると、「ファルージャ制圧作戦は国内のイスラム教スンニ派勢力の選挙ボイコットを誘発しかねず治安安定への努力を妨げかねない」との懸念を示したものだという。アラウィ首相は書簡に関し「不明りょうな内容で、武装勢力をどう扱うかという代替案もない」と批判している。
ファルージャ一帯は武装勢力が事実上支配。治安確保のため、駐留米軍は人口約30万人の街を封鎖し、武装勢力に「投降しなければ軍事力で制圧する」と大規模攻撃を予告している。
(毎日新聞 2004年11月6日 東京夕刊 )