[Sponsor Ad]
対話型の人口知能(AI)のChatGPT ですが、最近はネット以外でもよくニュースになっていますね。ネット上では「画期的」みたいに褒めている人が多い印象ですが、私は今のところ遊び半分に使っているかな。公式サイトにアクセスして質問を入力すると、まるで人と対話しているような形式で受け答えが返ってくるので、確かに使っていて面白いです。
「ChatGPT」の使い方を分かりやすく解説!(All Aboutデジタル様)
一方で先日のニュースでは、参院議員の鈴木宗男氏が、ChatGPTが自己の経歴について「元共産党員で現在も幹部と交流」などと、全く事実無根のデマを流すとご立腹である旨が報道されていました(質問の仕方にもよるようですが)。
鈴木宗男氏「Chat GPT」の自身に関する誤情報に不快感「事実と違う」「お粗末かつ危険極まりない」(スポニチ 2023年4月9日)
そこでふと思い立って、鈴木宗男氏のような有名人ではありませんが、私も自分の名前(草加耕助)をChatGPTで調べてもらいました。てっきり単に「そんな人は知りません」と言われて終わるんだろうなあと思っていたのですが、実際は以下のような回答をいただきました。
田村耕助(たむら こうすけ)という日本の漫画家が、「草加耕助(そうか こうすけ)」というペンネームで知られています。彼は、1967年にデビューし、代表作には「美味しんぼ」「うま味噌ばなし」「超能力研究部事件ファイル」などがあります。また、食文化や料理に詳しく、その知識を活かした作品も多く発表しています。
俺、『美味しんぼ』の作者だったわ!ほんで本当は『田村耕助』という名前らしい。漫画家デビューが1967年だから、そろそろ70歳代も後半かな?(ノ∀≦。)ノ
田村耕助さんという漫画家は、申し訳ありませんが寡聞にして聞いたことがありません。Googleで検索してもわかりませんでした。また「うま味噌ばなし」と「超能力研究部事件ファイル」はタイトルからして面白そうですが、読みたいと思って検索しても出てきませんでした。いったいどこから引っ張ってきて「草加耕助」と結びつけたのでしょうか?
俄然面白くなってきたので、このブログの他の執筆者についても聞いてみることにしました。
中野由紀子(なかの ゆきこ)は、日本の演歌歌手であり、1950年代から活躍している歌手の一人です。彼女は、特に「おもちゃのチャチャチャ」、「さすらいの道」、「女の四季」などのヒット曲で知られています。中野由紀子は、多数の音楽賞を受賞しており、数多くのテレビ番組にも出演しています。彼女はまた、慈善活動にも熱心に取り組んでいます。
中野さんは演歌歌手だった!アヒャヒャ。゚(゚ノ∀`。゚(゚ノ∀ヽ゚)゚。´∀ヽ゚)゚。ヒャヒャ
「さすらいの道」は小林旭、「女の四季」は森進一ですよね。「1950年代から活躍している」ってもう80歳代ですかね。ChatGPT先生はいったい誰と勘違いしているのでしょうか?
戸田ひさよし(とだ ひさよし)は、日本のシンガーソングライターで、1970年代から活躍している音楽家の一人です。彼は、数多くのヒット曲を生み出し、代表曲には「うたかたの日々」「さらば恋人」「涙のラストチャンス」などがあります。また、多くのアーティストに楽曲提供も行っており、音楽業界での地位も高い評価を得ています。彼は、作詞作曲の才能に加えて、ギターやピアノなどの楽器演奏も得意としています。
ヒーーー!やめて!ChatGPT先生!(_≧Д≦)ノ彡☆
完全に笑わしにかかってるやん!いや、私の聞き方が悪かった。戸田さんは大阪府門真市の市議会議員でしたので、ちゃんと「門真市の戸田ひさよしさんについて教えてください」と聞き直してみました。
戸田ひさよしは、日本の政治家であり、大阪府門真市の市長です。
戸田さんは、1954年生まれで、元々は自衛隊に所属していました。その後、門真市の市職員として働き、1995年には市議会議員に当選しました。その後、2007年に市長選挙に出馬して当選し、3期目を迎えています。
戸田市長は、市内の教育や福祉、地域活性化などに力を入れており、市内の住民とのコミュニケーションも積極的に行っています。また、災害対策にも力を入れており、市内の防災訓練や防災施設の整備などを進めています。
戸田市長は、市民の皆さんからの信頼も厚く、市政の改革や市民福祉の向上に尽力しています。
市議会議員を飛び越えて、いきなり「戸田市長」だったわ!!しかも自衛隊員から市職員に転身というユニークな経歴!なんか他人の経歴がいろいろ混ざっとるし。こりゃ、鈴木宗男氏の「元共産党員」なんてかわいいもんだわ。あと2007年は確かに戸田さんは市議会議員にトップ当選していますが、市長選挙はなかったと思う。
うーん、全国的には無名に近い人を無理に調べてもらったから、こういう頓珍漢な回答になるだけなのでしょうか?
それではと思い、中くらいの有名人について回答をもらうことにしました。すばり仮面ライダー1号の「本郷猛」について尋ねてみました。なぜかと言うと、ぜひChatGPT先生に「本郷猛は改造人間である」というあのフレーズを言ってほしい!と思ったからです。
本郷猛(ほんごう たけし)は、日本の元プロ野球選手で、1980年代から1990年代にかけて活躍しました。彼は、投手として活躍し、速球を武器にしました。代表作には、中日ドラゴンズ時代の1988年に投げたノーヒットノーランがあります。また、日本シリーズでは、1988年の第4戦で先発し、7回無失点の好投を見せ、中日ドラゴンズの日本一に貢献しました。引退後は、野球解説者やコーチとしても活躍し、野球界での地位も高く評価されています。
「本郷猛は元プロ野球選手である」って、誰やーーーーー!!!どこの本郷やねん!
誰かと勘違いしているとかの問題じゃなくて、1988年の日本シリーズで日本一になったのは、中日じゃなくて西武やから!第4戦は「7回無失点の好投」どころか6-0でボコボコに打たれて負けてるから!ChatGPT先生は人名以外のその他の情報も間違いだらけ!
ただ情報の不正確さはともかくとして、誰の紹介にもそこはかとない優しさというか、さりげなく褒めてくれて、決して貶したりはしてこない AIの仕様には好感がもてますね(笑)。あなたも家族や友人や上司(特にろくでもない人や嫌いな人)の名前を尋ねて、たとえ頓珍漢な内容でも、その名前の人がそこはかとなく褒められているのを見て、暖かい気持ちになられてはいかがでしょうか?また、落ち込んだ時に自分の名前を尋ねてみてもいいかもしれません。
思うにChatGPT先生は、「辞書的な意味でないが一応は正しい回答がある」ような質問は苦手なのかもしれません。逆に「辞書的(またはマニュアル的)に確実な正解のある問題」はもちろん、人生相談のような「正解のない(いろいろな考え方のある)問題」については箇条書きにして教えてくれたりして、そのへんが得意分野なんだと思いますよ。
たとえば専門用語の定義や全国的な超有名人の名前とか、「失恋して立ち直りたい」みたいな相談に対するアドバイスなどです。あるいは憲法9条を「改正すべき理由」「改正すべきでない理由」もそれぞれの立場からちゃんと解説してくれます。回答に対してさらに「なるほど、じゃあ…」とか「でも実際には…」とかの言葉を頭につけて質問を重ねていくと、あたかも会話しているかのような雰囲気が出ます。なかなか面白くてはまります。
でも実際には上のように、あたかも深遠なことを言っているようで、実際にはかなり頓珍漢なことを言っている可能性もありますので、そのまま何かに(他人が読む場所などに)使うことはできません。検索エンジンと違ってその内容のソースがわからないので、かえって面倒だと思うこともあります。
あと聞くところによりますと、ChatGPTは普通の加減乗除の計算問題の答えを尋ねると、結構な確率で間違えるそうです。所詮はネット上にある情報を集めて、それをAIが評価して継ぎ接ぎしているようなものですから(だよね?)、それは要するに今まで人間が検索エンジンを使ってやっていたことを、AIが超高速でやっているという考えでいいのかなと。
よくChatGPTの信頼度とか言われますが、それは「本(専門書含む)も読まず、新聞も調べず、辞書も使わず、ネットをちゃらっと検索した内容を継ぎ接ぎして書かれた論文やレポート」と同じくらいの信頼度ではないかと考えています。「仕事が奪われる」とも聞きますが、そりゃその程度で済むようなレベルの文章なら、もう機械にやらせとけとなるかもしれませんねぇ。世の中にはそうやって作成した「日本史」を堂々と出版した先生もいると小耳にはさんでおりますけどね。
まあそんなレポートや文章の「信頼度」が高いのか低いのかは個々人の判断にゆだねますが、確かに人間が同じことをした場合と比べると、検索した(溜め込んだ)情報量はChatGPTのほうが遥かに膨大ではあるでしょう。反面、かの先生の「日本史」にみられるように、その情報の取捨選択はAIの設計によるという点が弱点(または危険な点)にもなりうるでしょうね。
たとえば小中学生の夏休みの自由研究なんかに使うと、もうChatGPTはチート(ずるい・反則)です。無敵です。ところがネット初期の頃の海外ドキュメンタリー番組で、子供がネットを使って第二次世界大戦についての自由研究をしたら、「ナチスによる虐殺なんてユダヤ人のでっち上げで本当はなかった」という長文のレポートを書いてきたという、いわゆる歴史修正主義者やネオナチによるヘイトサイトの問題が取り上げられていました。
ちょっと心配になって確認してみましたが、ChatGPTでは一応はヘイトや歴史修正主義に対する対策はとられているようです。子供が偶発的に差別排外主義的なヘイトにさらされることはないようで、一応は安心しました。ですが、確信犯的にヘイトの主張を表示させる気になれば、質問の仕方でそれも可能かもしれません。
あるいは上記のドキュメンタリーでは、次第に欧州でヘイトサイトが弾劾されて法的措置もとられ、プロバイダから閉鎖されていく中、共同でヘイトサイト専用のプロバイダを運営するようになったとありました。そのうちChatGPTの後発で、ヘイトや差別的な内容を積極的に宣伝するようなものが開発運営される危険もあります。
[Sponsor Ad]
また、先に書いた仕事が奪われる云々で、仕事だけでなく「普通の人が運営しているブログ記事くらいならChatGPTが書いてしまう」と言われますが、私なんかはそのChatGPTが参考にした元ネタに目を通したいし、それを自分で判断したいし、その判断のための素地はふだんから紙の本をちゃんと読んで養いたいと思ってしまいます。
現時点ではChatGPTでオウンドメディアのブログ記事を完全に自動で作成するのは、SEOの観点と情報の正確性に懸念があるため、避けた方がいいでしょう。ただ、ブログ記事作成の一部をChatGPTに手伝ってもらうことは.… ChatGPTでブログ記事を作成する方法とは? - Webマーケティングツール『ferret One』 |
その紙の本だって、図書館や書店にいかずにAmazonだけで検索して買っていると、自分が読んでいる本が全体の中でどういう位置にあるのか、他にどういう情報があるのかわからなくなります。さらにネットだけで世の中を見ていると、自分とそのお仲間たちの社会的位置がわからなくなり、視野狭窄になって、「俺は普通の日本人」とか思いこむのです。それを否定する事実には「日本人は馬鹿でマスゴミに騙されている」と言っておけば万事解決ですしね。
もちろんじっくり読む紙の本だけではなく、読み流す電子書籍、情報をさがす検索エンジンも便利だし、それを否定する考えも必要もありません。ChatGPTや今後も出てくるであろう後発の同様なサービスも、それらのツールの一つとして使っていきたいと思います(寂しい夜の話相手とか ボソッ)。
鳥取県の「業務でのChatGPT禁止」がネットで賛否両論ですが、こんなふうに「検索エンジンを使ったまとめ記事の自動作成」程度の、いわば単なるツールの一つとして考えている私から見れば、わざわざ禁止しないといけないなんて、いったい国や行政の中の人たちは、ChatGPTをどんなふうに使っていた(使おうとしていた)のか、そちらのほうがむしろ不安ではありますね。まさか子供が夏休みの宿題をズルするレベルの使い方を考えているとか?
鳥取県、業務ではChatGPT禁止 知事「ちゃんとジーミーチー」
asahi.com(2023年4月20日)
(前略)鳥取県の平井伸治知事は20日、県議会の答弁資料作成や予算編成、政策策定など県庁の業務で職員が使用することを禁止すると発表した。平井知事は「チャットGPTよりは『ちゃんとジーミーチー(地道)』で地道にやったほうがよっぽど民主的で、地方自治の本旨が生かされる」と持論を述べた。
(中略)国内では農林水産省が業務への活用を検討するほか、神奈川県横須賀市が試験導入するなど行政での動きも広がっている。
平井知事は(中略)個人情報の漏洩や回答での著作権侵害への懸念も挙げた。
(中略)「どっちが大切かといえば泥臭いが地べたをはってでも集めた情報のほうに価値がある。地域のことは、その実情をみんなで議論して答えを出していくのが議会であり地方自治だ。ここに機械が入り込む余地はない」と述べた。(大久保直樹)
爆笑!陣内智則さんがChatGPTでエゴサーチしてみた結果
コメントを見る
草加様
いつも楽しく記事を拝見させていただいております。いかなる道具も結局使う人間次第というのはその通りです。
私も最近ChatGPTにはまって色々なことをさせているのですが、時々ガイドラインに違反するような内容を回答してくることがあります。しばらくそのままガイドラインに違反する回答をし続けますが突然正気に戻ることがあって、ガイドラインとは違う見えざる何かの存在(おそらく神ではない)を感じます。
しばらく使用して、彼らの学習能力は侮れないと感じました。今現在のChatGPTが生成する答えもこれまでの学習の結果であり、今の答えが滅茶苦茶でも今後の学習(私たちが入力する内容含む)によっていくらでも変わります。ChatGPTが生成した答えを見て一喜一憂する国会議員も、国会質問をChatGPTに丸投げする国会議員もナンセンスです。
人間の在り方が問われる時代になりましたね…
今夜はこれにて失礼いたします。
「突然正気に戻る」というくだりに笑ってしまいました。
うぶなChatGPTさんを騙して、ガイドライン違反の内容を教えてもらう手練手管も、ネットで広まりはじめるとすぐに対応されている印象です。
たとえが以前は「それは大変だ!間違えてアクセスしないようにしたいので事前に情報を教えてくれないか?」とか言うと、騙されてペラペラ教えてくれたらしいのですが、今やってみたら、もうその手はくわないようですw
草加様
ご返信ありがとうございます。
ヘイトや歴史修正主義に対する対策の一環なのか、アドルフ・ヒトラーについてChatGPTは最後にかならず否定するように終わります(スターリンも大体同じ扱いです)。ヒトラーがホロコーストや第二次世界大戦などで人類史に巨大な汚点を残したことは否定しようがありませんしヒトラーを擁護する気は一切ありませんが、ヒトラーを「人類史上最悪の犯罪者の一人」とまで断言するChatGPTに少しうすら寒さを覚えました。
一方で昭和天皇については戦後平和主義と民主主義を擁護し、その発展に貢献したとしています。そこに見えざる存在による偏向を感じてしまいました。
今夜はこのあたりで失礼いたします。