by ジグザグ会/岩山昇太
朝七時半に宿を出発。キャンプシュワブ・新ゲート前で、まずはテントづくりだ。最初から「作り方がなってない」と現場責任者の山城博治さん(沖縄平和運動センター事務局長)に叱られてしょげた。
10時半、武田防衛副大臣が「視察」と称して辺野古上空をヘリでやってきた。「何しに来た、帰れ」と座り込み参加者は立ち上がり、ゲート前でシュプレヒコールを繰り返した。旋回しているヘリに向けて「辺野古埋め立て阻止」のプラカードを突きつけた。
抗議行動の後、辺野古浜のヘリ基地反対協議会のテントに移動。沖縄国際大の学生達が教員に引率され見学に来ており、安次富浩さん(ヘリ基地反対協代表)から説明を受けていた。横でこっそり拝聴する。
続いて海上見学をさせてもらった。安倍政権が勝手に設定した「臨時制限区域」を示すフロートの内側に、ボーリング調査を行っているスパット台船が二台あるのを確認した。近寄ると海上保安庁の船が執拗に追尾してきた。海保は「危ないですから近寄らないで」と警告するのだが、カヌー隊の青年を「確保」と称して暴行を加えたり、わざと水深の浅い航路を通らせようとするなど、危ないことをしているのは海保のほうだ。
朝、ヘリ基地反対協の第二テントで待機していると、「カヌーの漕ぎ方を教えてあげる」というので急遽、講習を受けることになった。滞在期間が短いので、カヌー隊への参加はあきらめていた。
辺野古浜の浅瀬で、基本的な漕ぎ方を教わる。カヌー隊の経験者が親切に教えてくれたので、飲み込みの悪い自分は助かった。ただ、カヌーが転覆してからの回復訓練が難しかった。
一通り練習が済んだら、小船にヒモでつなげ、沖にある平島という小さな島まで曳航してもらう。ここで休憩となり、少し泳がせてもらった。珊瑚の周囲に、青い海水魚がヒラヒラ泳ぐ姿が美しかった。これを見れば、「ここを埋め立てるなんて絶対に許せない」と誰しも思うはずだ。
次にいよいよ、ボーリング調査が進行中のスパッド台船近くまでカヌーを漕ぐ。待ち構えていた海保のゴムボートに取り囲まれるが、暴力的な排除はなかった。カヌー隊は、フロートに沿って並び、台船の上で黙々と作業を続ける作業員に対し、「調査を中止せよ」と声を限りに叫び続けた。
その後、22日に海保職員に暴行を受け頚椎捻挫のけがを負った青年が、名護裁判所に告発を申し入れるというので仲間たちと同行。裁判所前で記者会見した青年は「もうこれ以上、海保職員の暴力を許さない」と告発の意図を明らかにした。
今日のカヌー隊は37人も集まり、これまで最多の人数という。さあ出発かと思いきや、雨雲がたちこめて来たので待機する。
正午前、ようやく雨雲が去っていったので、それ急げと辺野古浜からカラフルなカヌー部隊が一斉に海に乗り出していく。
やがて正面には例によって海保の黒ボートが数隻、待ち構えていた。しかしカヌー隊は力強く突進し、18隻のうち8隻ほどがフロートを突破した。大半がすぐに海保に拘束されたが、なかには台船の近くまでたどり着いた人もいた。
大きな怪我をした人はいなかったようだが、羽交い絞めにされて海水を大量に飲まされた人、メガネを壊された人もいる。20人の仲間が海保のボートに拘束された。小船に乗って山城さんがトラメガで猛烈に抗議をし、1時間後に解放された。海保の暴力に対する告発が効いてる。もっといえば、カヌー隊の背後には沖縄の人々の怒りがあるから、海保も「一時拘束」以上のことはできないのだろう。
短い滞在だったが、ここで体験したことを多くの人に伝え、次の現地派遣につなげることができたらと思う。
(月刊『コモンズ』75号への投稿から)