◆憲法を蹂躙した責任者を「憲法の番人」に任命した麻生首相
竹内行夫裁判官(元外務事務次官)は、小泉内閣時代に外務官僚のトップとしてイラク戦争を支持し、自衛隊のイラク派兵を推進した責任者であり、さらに日本政府の戦争加担政策に苦言を呈した天木直人駐レバノン大使の首を切った直接の責任者でもあります。また、高遠さん達3人がイラクで身柄拘束されたときにも、「自己責任だ」と切って捨て、3人へのバッシングを引き起こしたのも竹内さんでした。
ところが今になって竹内さんのやったことを振り返ってみればどうでしょう!今やイラク戦争についてブッシュ元大統領でさえ「間違っていた」と反省をしています。そして、イラク派兵については、08年4月17日、名古屋高裁が違憲と判断しています。竹内さんは、まさにアメリカでさえ間違っていたと認めるイラク戦争を支持し、違憲と批判されたイラク派兵を進めた張本人です。つまり麻生内閣は、この期に及んでわざわざ現在の世界の趨勢に挑戦するかのごとく、「憲法違反」とされたイラク派兵の責任者をあえて「憲法の番人」に任命して最高裁に送り込んだのです。このような人事を、あなたはどう考えますか?
◆最高裁国民審査とは
ところで衆議院選挙の投票の時に、こっそり行われている最高裁判所の裁判官の「国民審査」をご存じでしょうか?投票所で、選挙の投票をしたときに、よく知らない人の名前が何人か書いてある紙を渡されますよね。それに、×をつけるかそのまま白紙で出すか、というあの投票を「最高裁裁判所の裁判官の国民審査」といいます。
裁判所の頂点に立つ最高裁判所の裁判官人事(定員15人)は、内閣が独占し、この最高裁が全国の下級裁判所裁判官に対する人事権を握る仕組みになっています。 最高裁裁判官の人事が時の政府に独占されるのでは、政府や行政、政治に影響力を持つ政治勢力に事実上迎合し、あるいは、国民の常識から大きくかけ離れた判決を下すような最高裁にならざるを得ません。かつて、自民党内閣は、最高裁裁判官を恣意的に入れ替えて政府に有利な判例変更を図ったり、司法への介入を疑わせる行動を行なった例が少なくありません。これでは、最高裁は、「人権の砦」、「護憲の府」としての本来の役割を果たすことは期待できません。
そこで、事後的ですが、憲法第79条は、政府による最高裁の裁判官人事に問題がないか否かを審査し、不適格な裁判官を罷免(辞めさせる)する権利を主権者である国民に保障し、これを具体化するために国民審査制度が設けられたのです。
◆国民審査の問題点
しかしこの制度には問題点が多く、その最大のものが「×」記載か無記載かしか許されず、無記載は「信任」票とみなすこと、言い換えれば、「何も書かない」投票を「棄権」ではなく「信任票」にカウントして集計する仕組みです。つまり棄権したい者や、対象裁判官のことをほとんど知らない者、信任に値するか否か判断できない者も、「何も書かないで投票」した場合には、全て「信任した」とみなされてしまうのです。本来ならば信任は「○」、不信任は「×」、何も書かない場合は棄権としてカウントするべきです。
判断がつかないので、どうしても信任ではなく棄権を選択したいという場合は、最初から投票用紙を受け取らないか、受け取ってしまった後でも係員に返す以外になく、一部の裁判官についてだけ審査をして残りは判断できないので棄権したいというような場合には全く方法がありません。「×」をつけない限りはすべて「信任した」と勝手にみなされてしまうのです。また、この書き方や対応を間違えて、用紙全体に×、○をつけたり、記入欄が正確であっても、信任の意味で「○」を記載したりしますと、その投票全体が「無効票」にされてしまいます。
また、投票にあたって判断に必要な情報は全く知らされず、最高裁などが公表する資料を読んでも、あたかも全員が非の打ち所のない聖人君子であるかのような記載が一方的になされているだけです。まるで独裁国家における「信任投票」のように、できるだけ意味のない制度となるよう意図的に運用されているのです。
◆竹内行夫裁判官に「×」印を!
しかし本来、裁判所を良くしていくのも、悪くしてしまうのも、本当は審査をする立場にある有権者である私たちひとりひとりにかかっているのです。そして、裁判所が「政府と国民との約束=憲法」を守る立場に立たせるか、憲法をないがしろにする立場に立たせるかも私たちにかかっているのです。そのために、今回の国民投票では、「竹内行夫」さんに「×」をつけることで、「政府は憲法を守れ」という意思を表明していきたいと思っています。
「バッテン」の数値は全選挙区で出てきますので、どれだけの人が平和への意思を示したかがはっきりします。また、「公職選挙法」の対象になりませんので、ビラ配りも自由ですし、投票日に投票所近くで「竹内さんにバッテンを」と街頭宣伝することも道交法にあたらない限りは全くの自由です。ネット上での運動も自由です。
選挙では争点になりにくい平和の問題を、「平和のための国民審査」の形で明らかにしていきましょう。衆議院選挙では、平和の問題はなかなか争点になりません。現在、違憲のイラク派兵の検証もされず、これもまた明らかに違憲のソマリア派兵についても、大多数の国民にはその是非について声を上げる機会すらありません。
今回、竹内さんに「×」をつけることは、決して竹内さん個人を誹謗中傷したり、攻撃をするということではありません。あくまで、竹内さんが進めた違憲の海外派兵に反対するという意思表示の方法に他なりません。これは、これまでにない「平和」の意思表示の貴重な機会となると考えます。全国のみなさんと一緒にいろんな形のとりくみをつくっていければと思っています。
◆投票にあたっての注意点(重要)
どうしてだか、最高裁判事国民審査の期日前投票は8/23(月)~29(土)の6日間だけです。8/22までに衆議院議員選挙の期日前投票を済ませてしまう有権者は自動的に国民審査を棄権したことになってしまいます(このエントリーを読んでおられる今日現在はもう大丈夫ですが)。
また、せっかく、8/23以降に期日前投票をしても、国民審査の投票用紙を白紙のまま投票したとしたら、9名全員を信任したことになります。信任は無印、不信任のみ該当の裁判官の欄に「×」をつけます。たとえばそれ以外の裁判官の名前の上に信任の意味で「○」などを記述をすると、それだけで全体が無効票としてカウントされてしまいます。
それから、他の裁判官がたとえば不信任が10パーセント前後であるのに対して、竹内さんだけが突出して3倍もの不信任が出た場合、今回の罷免にはならなくても再任用がなくなる可能性が高いそうです。従って、「全てに×」よりも、今回だけは竹内さんお一人だけに×を付け、他の裁判官には未記入でいきましょう。もし、投票時に失念したら、竹○と付いている裁判官に×をお願いします。もう一人は裁判員制度を強力に推進した竹崎博允さんです。
◆参考サイト
◇最高裁判官をあなたがチェック!!国民審査で竹内行夫にバッテンを!!(リブインピース)
◇第21回最高裁裁判官国民審査対象裁判官の横顔(日本民主法律家協会)
◇最高裁判所の裁判官(最高裁HP)
◇竹内行夫にバッテンを!(きっこのブログ)
◇最高裁判所の悪い判事に×をつけよう(反戦な家づくり)
◇風は吹かせよう!明日を信じて!+ 国民審査Ver.1(kimekime25)
◇最高裁判官国民審査の公報が来た(今日の喜怒哀楽)
◇総選挙直前に発売されるサンデー毎日に注目したい(天木直人のブログ)
◇×(バッテン)をつける運動(たたかうあるみさんのブログ)
◇選挙方針とバッテンをつける運動の補足(たたかうあるみさんのブログ)
◇有権者を舐めている件(ですぺら)
◇翻訳ボランティア募集/国民審査(きくちゆみのブログ)
◇まったく機能していない国民審査制度(きっこのブログ)
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TBありがとうございます。
最初ビラをもらった時には、ビラの作りはきれいで分りやすい(「草食系男子?」のイラストもかわいくて良い)が、運動としては盛り上がるのかな~と思っていましたが、今やあちこちのブロガーさんもこれを取り上げていますね。
拙ブログでも述べましたが、憲法で保証された、人民が司法にかかわる重要な制度であるにもかかわらず、これまでないがしろにされてきた。この制度をもっと分りやすく、使いやすいものにしてゆく・・・政治・制度に任せるだけでなく、メディアも含めた私たちが努力していかなければならない部分も多いと思いますが・・・ことなしに「裁判員制度」なるものにヒマと金を費やして人民を動員する「司法制度改革」なんて順序が逆で、ナンセンスです。