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人権と尊厳

釜ヶ崎住民票削除反対!あらゆる場所で緊急に行動を!(1)

釜ヶ崎解放会館と関市長と大阪市役所

下層労働者の命の綱「住民票」を大阪市が取り上げ

 大阪市の西成区にある日雇労働者の街、釜ヶ崎が今大変なことになっています。日雇労働者は全国、場合によっては全世界を転々としながら仕事をしている人も多く、決まった住所を持ちにくい人々です。仕事がなくなれば使い捨てですので、現在のような不況と下層労働者へのしわよせ政策のもとでは、野宿生活を余儀なくされている人も多い。

 彼らの多くが、「釜ヶ崎解放会館」と呼ばれる日雇労働者組合の建物を連絡先としています。3300人がここを連絡先として住民登録し、行政からの書類を受け取り、手続きに使い、各種の税金や年金・保険料などを納めてきました。これは20年以上続いてきたことです。大阪市などの行政側も、当然に知っているどころか、むしろ「ここに行けば登録できるから」と、担当者が積極的に斡旋して登録させてきたものです。

 ところがここにきて、大阪市の関市長は、この日雇労働者たちの住民登録をすべて抹消削除する意向を打ち出しました。そしてこの3月2日にそれが実行されようとしています。発表から削除実行までわずか数ヶ月。日雇労働者たちは文字通り真っ青になって移転先をさがしましたが、未だに2700人が日雇労働者組合や支援ボランティア、NPO事務所などを連絡先として登録しています。

 最近では非正規の日雇仕事といえども、就労にあたって住民票の提出を義務付けられることがほとんどです。この措置により、今までなんとかカツカツのレベルで自立できていた最底辺の人々が、数百から場合によっては千人の単位でホームレス化してしまうでしょう。

住民票削除は事実上の半難民化状態

 ことは住民票だけの問題ではないのです。これがなくなるということは、選挙権を頂点として、生活に密着した数百ものありとあらゆる国民としての権利をすべて剥奪し、半難民化して放り出すことを意味します。運転免許証なども更新できずに無効になってしまいます。

 今まで年金をコツコツと支払ってきた日雇労働者の方も大勢おられます。住民票を剥奪されたら、年金を受け取ることができなくなってしまいます。最初は窓口担当者が斡旋までしておきながら、労働者が高齢化して受給時期になったところで受け取れなくしてしまうなんて、ほとんど詐欺に近い、いえ、詐欺そのものです。

 だいたいが、大阪市内だけでも「住民票のある場所にすんでいない」と思われる事例が、把握されているだけで16万世帯にものぼるということです。なんでそのうち、よりにもよってそうせざる得ない理由もあり、行政もちゃんと実態を把握してきて、また本当に住民票なしでは生活できない日雇労働者2700人だけが狙い撃ちなのでしょうか?

日雇い労働者たちの穏健な主張

 日雇労働者たちは、大阪市に「地域での住民説明会を開催してほしい」「激変をさけるための代替措置、または経過措置をとってほしい」という二点を要請しています。個々の人々には主張の濃淡があると思いますが、総体として見た場合、これは穏健でしごくまっとうな要求だと思います。大阪市にも責任があるのですから、それをすべて労働者に押し付ける関市長の態度に理はありません。

 この二つの要請をもって、日雇・野宿の労働者たちは、役所が開く週明けの月曜日から、大阪市役所前での抗議・要請行動に入ります。もはや背水の陣です。大阪市が交渉に応じない場合、彼らは削除される3月2日までを目処に、市役所前に24時間座り込んで「野営」することも辞さないかまえです。

 この問題につきましては、あっちこっちにいろいろと書いたり、文章を転載・整理してきましたが、気がつけば私にとって一番メインであるはずのここには何も書いていませんでした。とりあえず時間がないので、マスコミの記事や、あちこちに書いた断片的な文章、他の方の呼びかけなどのごく一部を以下に掲載しておきます。

 それぞれがおられる場所で、この行動への支援行動を切実に要望します。文字通り人の命がかかっているのです。今はなりふりをかまっている時ではありません。出来る範囲で結構ですから、私たちも彼らと共に行動しましょう!

転載・資料など

大阪あいりん地区大量住民登録 市、2700人に抹消予告書
(読売新聞地方版)

大阪市西成区・あいりん地区の大量住民登録問題で、市は「釜ヶ崎解放会館」など3施設に住民登録している約2700人に対し、3月2日までに実際に住んでいる場所を届け出ない場合、登録を抹消することを決めた。市が、届け出の期限を示すのは今回が初めて。23日に予告文書を郵送する。事実上の最後通告に労働者らは「市は代替措置を示すべきだ」と批判、新たな混乱も予想される。

的機関“黙認”の果て 「住所不定ダメ」現行制度に問題
(読売新聞地方版)

背景には、住民登録がなければ、労働者が手当などを受給できない現行制度の問題がある。市が住民登録を抹消したとしても、今の制度のままでは架空登録が繰り返されるだけだろう。根本的な解決策が求められる。
…市はこれまで、労働者の住民登録申請に「建物には居住スペースがある」などと“判断”、受理してきた。…一転して、実際に住んでいない登録者には是正勧告をしたうえ、応じない場合、住民登録の抹消も辞さない構えをみせている。
…労働者が住民登録を失えば、求職者給付金が受け取れなくなるだけでなく、55歳以上を対象にした府と市による「特別清掃事業」にも参加できなくなる。野宿生活から抜け出そうと就職を希望しても、住所不定で連絡先や銀行口座がないままでは、雇用の道は険しい。

●某掲示板への草加の投稿より

 もうここまできたら、3月2日には本当に抹消されてしまうわけですから、××の方にも書いてありましたが「市役所での座り込みか暴動しかない」ような状況です。

 とにかく釜ヶ崎は怒りに燃えているし、周辺住民の同情も集まっています。最後まで「非暴力で暴れまくる」という器用なことをやりぬくしかないです。一週間は市役所前に野営して飯を作って住み着いて抗議しまくります(ほとんど「素人の乱」状態ですが)。

 署名は期間があまりに短すぎて500筆くらいしか集めることができませんでした。期間を考えればそれでもたいしたものなのですが、5400筆の「長居公園からの排除反対署名」を無視した大阪市です。

 ××さんは野党各党に「何とかならないのか」と交渉してくれているようです。そういう議員対策は今までだれもほとんどやってこなかったことだから、とてもいいと思います。

とりあえず、こちらの最低限の要求は
・住民説明会の開催
・救済のための何らかの代替措置
の2点です。

 以上をふまえて、遠隔地の方は、大阪市への抗議・要請(話し合いと代替措置の要求)、国会議員や各政党への救済の要望など、さらには市役所前の「抗議村」への激励メッセージなどをお願いしたいと思います。

 大阪市は「国の指導があった」と言い、それではと日雇労働者が中央省庁に代表を派遣したら「大阪市が勝手にやっていることで国は関知しない」と言われています。要するに国は住民票を削除しなくても文句はないということでもあります。

●釜ヶ崎で住民と労組が共同で配布したビラ

※釜ヶ崎で住民と労組が配布したビラです。これによると国は大阪市に住民票削除を、指導も要請もしていないし、それが必要だという見解を出すつもりもないとのことです。大阪市は「国の指導があってやむをえない」と説明していました。なんでそんなウソをつくのでしょうか?

やっぱりケタオチは大阪市
住民登録抹消は、大阪市の暴走!!

国の総務省の役人は「住所を確定するのは市の権限。住民登録抹消は大阪市が勝手にやっていること」と発言しました

 2月15日、釜ヶ崎合同労働組合が中心となって東京へ行き、住民基本台帳法の担当である総務省の役人と、白手帳や生活保護の担当の役人と交渉してきました。

 西成区での相談会などで、西成区の住民登録の係は、「住民登録抹消は、国からの指導でやっている」と発言しているので、本当かどうか。それとそもそも3300人の多くが、釜ヶ崎解放会館に登録したのは、愛りん職安が白手帳を作るときに住民票を出せといってきたからなので、担当の国の機関の厚生労働省の責任は、どうなのかということで交渉しました。

 交渉の中で総務省の役人は、「住民票を削除するかどうかは、市町村が決めること。大阪市の住民登録抹消のことは、報道を通じて初めて知った。大阪市からは、何の相談も受けてない」また「大阪市が勝手にやっていることでも、住民票を失えば、国の発行している免許などの更新もできなくなる。どうしてくれるのか」という質問に、「労働者に不利益がないように担当の省庁に言う」との回答でした。要するに西成区の担当の係が言ったことは、うそで、今回の住民登録抹消は、大阪市が釜ヶ崎の労働者を完全になめきって暴走したということです。

 その後厚生労働省の役人は、「住民登録抹消について大阪労働局(国の機関)と大阪市が何回か会合を持った」といいました。ということは、この住民登録抹消は、白手帳をこれ以上増やさせないため、労働者が新規登録するのに住民票を置く場所として頼りにしていた解放会館やふるさとの家での登録を労働者から取り上げたるためにやっていると予想されます。

 労働者の皆さん!やっぱりケタオチは大阪市でした。住民票を受けるのも抹消するのも大阪市の裁量でできるんです。だからこそ、今まで住んでいないとわかっている解放会館への住民登録を認めてきた。それなのに財政難になると手のひらを返して労働者から白手帳を奪おうと住民登録抹消という手荒い手段に出たんです。

 「住民基本台帳法に基づいて」という言葉は、西成区役所の役人から何度でも聞きましたが本家の総務省は、釜ヶ崎解放会館やふるさとの家に住民票を置くことについて何も文句は言っていません。労働者の生きる権利・働く権利・選挙権を奪おうとしているのは大阪市です。東京まで抗議に行かなくてもいいんです。大阪市に的をしぼって、住民登録抹消反対の闘いを続けていきましょう!敵が大阪市役所や西成区役所のほうが近いしいいで!!

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