2013年5月19日からの一週間、スウェーデン、ストックホルムの移民街において反警察暴動が発生した。発端は69歳のポーランド系移民の老人と地元のチンピラたちとの口論で、老人の自宅に押し入った警察官が、事情も聞かず警告もなしに、いきなり妻の眼前で移民側の老人を射殺したことだ。移民コミュニティのリーダーは冷静さを訴えている。
この老人は妻とレストランで食事した帰り、執拗にからんできたチンピラに嫌がらせを受け、自宅のバルコニーに逃げ込んでナイフをかざしながらチンピラを大声で威嚇した。だが通報を受けた警察は、 事情も調べず何の警告もなく、一方的に移民側の老人宅に突入し、その頭部を打ちぬいて即死させた。
警察は当初「救急車を呼んだが老人は病院で死亡した」と虚偽の発表をしたが、実際は救急車すら呼ばなかったことはすぐに発覚。警察が嘘をついたことを含めて、この事件が街のとりわけ若年失業者の日頃の警察への怒りに火をつけ、暴動に発展したものだ。
というのも、スウェーデン政府は手厚い移民政策で知られるが、その裏で警察は非スウェーデン系の住人を、日ごろから「サルども」「ニグロ」と呼び、子供相手にも警棒を用い、犬で威嚇するなどしていたという(記事)。
こういった地元警察による人種差別と、全国平均の3倍以上という高失業率と低収入などの経済格差、希望のない未来への怒りがプラスしていっきに爆発した形だ。
移民と日雇い労働者の違いこそあれ、大阪の釜ヶ崎で何度も発生している暴動と、その発端や経緯、構造からして日本とまったく同じことが、スウェーデンでもおこったことになる(参照)。
差別こそが社会を分断して人々の生活を破壊する。日本の政府や警察、そしてレイシストは是非とも今回の事態を教訓にしてほしいものだ。