お知らせいただいた方がいたので、どちらかと言えば右派系の方が多い集まりのようでしたが、勉強のためにと思って行ってきました。
アジア人権人道学会 第三回大会
■ 日時:2010年12月11日(土)12:40~18:00
■会場:明治大学・駿河台キャンパス・リバティタワー
■報告
・拉致の原点― 帰国事業・シベリア抑留
・国連事実調査団と北朝鮮人権侵害
・脱北者問題の現在と定着支援
・ビルマ・ロヒンギャ難民 国外追放と難民非認定の狭間で
・クメール・ルージュ法廷からの報告
・劉暁波、ノーベル賞受賞の意義
最初の「拉致の原点」は、もろ右派のお話で、だいたい「北朝鮮はこんなに悪い国だ」という観点から、主に歴史についての講演でした。ですがちょっと独特な主観(独自研究?)が過ぎるというか「一般の歴史ではこう言われているが、真実はこうだ」みたいな流れが多かったかな。
最初のこの講演以外は、イデオロギー的でない実践的なお話で、最初以外はみな勉強になる講演でした。
(追記)後日、韓国から来たばかりの、北朝鮮とは敵対してきた年代の方とお話する機会があったので、ここで聞いた話を尋ねてみると、「何言ってんだこいつ」みたいな目で見られて恥をかいた(笑)。ちょうど「アポロ11号は本当は月には行ってないんだぜ」という、日本ですごく流行った陰謀論を聞かされた時のアメリカ人みたいな顔してた。そりゃ反応に困ってぽかんとするわな。どうもいわゆる歴史修正主義系右翼のお偉いさんの講演だったようです。
「脱北者問題の現在と定着支援」についての報告
あれだけ「北朝鮮」についていろいろ言っている日本政府ですが、そこから逃げてきた日本人妻を含む帰国者に対して、何の配慮も支援もないという指摘に驚きました。帰国時もなぜか入管は「短期滞在」の許可しか出さず、アパートを借りる資金もないし、健康保険もない。やむなく支援のボランティア団体が(多くは個人の負担で!)その資金を肩代わりしている状態だという。
言葉の問題もさることながら、精神的な問題が大きく、北朝鮮社会で生きてきた脱北者は、「自分の意思や考えを伝える」ために言葉を発するということにすら慣れておらず、放置しては自立や定着は困難ですが、そういった自立支援はすべてボランティア団体が担っており、なんの支援もない状態だということです。
「ビルマ・ロヒンギャ難民 国外追放と難民非認定の狭間で」
→ロヒンギャ(wikipedia) →国連UNHCR
ロヒンギャ難民の問題は、アムネスティで断片的に聞く程度で、ほとんど知らなかったのですが、この日、まとめて状況を聞く機会を初めて得ました。
「劉暁波、ノーベル賞受賞の意義」
資本主義化がすすむ中国社会の状況についての報告が興味深かったです。上海など比較的裕福な地域では、いわゆる市民社会と呼べるようなものが成立しつつあるとのこと。そこで市民運動という形態もみられるようになったとのことです。
上のスライドに写っているのは、精神病者への差別問題に取り組む中国のNGOがゲリラ的に行ったパフォーマンス。中国における市民社会の成立と成熟を示す事例として紹介されているものです。
日本でも60年代までは国民運動とか労働運動や学生運動などはありましたが市民運動というものはなく、そういう国籍や階層の垣根を超えた市民運動はベ平連を元祖として70年代くらいの市民社会の成熟を待ってようやく成立します。