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三里塚

[三里塚闘争]援農の心得

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援農の心得

一、援農闘争の意義

 援農闘争の意義は重大である。それは、まず何よりも三里塚闘争の主体が三里塚農民であり、三里塚農民の主体的決起と結びつくことなくして、三里塚闘争の発展はありえないからである。
 三里塚農民は、「空港絶対反対・農地死守」を掲げ、「金にも権力にも負けない」不屈の闘いを身をもって貫いてきた。一介の農民が、闘いの正義と勝利を確信することによって、すさまじい主体的成熟を実現し、日帝国家権力をとことん追いつめているのだ。
 この三里塚農民の革命性をつかみとり、これを己がものとすることなくして、三里塚闘争の発展をあれこれ語ることは、ただの空論にすぎない。

 援農闘争の第一の意義は、何よりも三里塚農民の長期持久の苦闘に学び、その農民魂を己がものとし、闘争勝利の確信を共にうち固めることにある。援農によって形成される農民との革命的信義、勝利の確信こそが三里塚闘争をさらに戦略的に発展させていく基礎をなすのである。

 援農はかかる闘争的観点においてはじめて意義をもつのであり、ただの「労力提供」「手伝い」などでは決してない。授農を何かしら農民への「施し」であるかのようにとらえるのは、農民の闘争意欲に対する最大の侮辱である。
 農民にとり援農をうけ入れるのは、営農の観点からすればむしろ足手まといであることの方が多いのだ。しかも援農は農家が来てほしい時だけではなく、農閑期であっても援農の都合によって決められるのだ。にもかかわらずどんな時でも農民が最大限援農をうけ入れようとしてくれるのは、農民自身があくまで闘争的観点において援農をとらえているからに他ならない。
 したがって、われわれはかかる農民の革命的信義に応え、農民魂に学び、勝利の決意をうち固めることをめざして、援農闘争にとり組むことをまず第一に意志統一しなければならない。

 援農闘争において確認すべき第二のポイントは、農作業の合い間や食事時等を活用して積極的に政治討論をもちこみ、相互の政治的交流の深化を作り出すことをもって、闘う戦旗派と革命的農民との実体的結合をおしはかっていくことである。

 三・八分裂がつくりだした三里塚闘争の混迷と後退という否定的状況の中で、先進的な農民は三里塚闘争の戦略的方向や当面する闘いの方策を模索し、真に闘いぬく支援勢力との内在的討論を求めている。
 これに応えぬき、三里塚闘争の全人民的政治闘争としての発展の方向、二期決戦を断固として闘いぬく決意を明らかにすることを通して、闘う前衛としての戦旗派と三里塚農民との内在的・実体的結合をつくり出していくのでなければならない。つまり、単に「農民の闘いに学ぶ」だけではなく、今や党としての戦旗派の三里塚闘争に関わる領導性・指導性が問われる段階にわれわれは達したのだ。

 援農に参加する古参のメンバーのみならず、新たに闘いに決起した同志にあっても、現闘団との緊密な意志統一の下で、党と革命勢力の闘う決意を語り、農民との政治的意志統一の深化につとめることは充分に可能であり、また、やらねばならないことである。
 農民は、若々しいメンバー、新しい仲間が次々と三里塚現地を訪れ、こもごもに決意をかたり、農民を激励すること自体を通して戦旗派の党的前進を確認し、戦旗派への信頼を深めるものなのである。その意味では、問題は討論の仕方の巧拙や内容展開力だけにあるのではない。農作業の場での他党派との競い合い等々をふくめて、三里塚闘争をボリシェヴィキ的に担いきろうとする気概と積極性を援農活動の総体を通して表現しきることが大切なのである。この奮闘に闘う農民は必ずや応えてくれるであろうし、そのようにして培われた相互信頼の上に、日本革命の根拠地・三里塚を守りぬくわれわれ一人ひとりの決意の高まりと主体的飛躍が実現されるのである。

 援農に参加する全てのメンバーが、戦旗派の「期待に値する党」としての声望を高めあげるべく闘いぬくことを核心的に意志統一せねばならないのである。

二、農家での心得

 1)まず援農に行く前に、援農先の農家がどういう状況であるのかを確認しなければならない。現在の政治的状態や家族情況、反対同盟の分裂や戦旗派に対しどう思っているかなどについて現闘団から説明をうけ、事前に政治的かかわりを特定して援農にのぞむことである。
 この現闘団との意志統一は農家に人って政治討論をなすさいの絶対的前提条件であり、戦旗派の方針を説明する場合にも現闘の指示にそって行うようにしなければならない。

 2)農家に行ったら「戦旗の○○です」とはっきり自己紹介をする。単に名前だけでなく、どこから来たのか(地方名)、また労働者であるのかどうかは最低明らかにすべきである。農民は全国から現地にかけつけてくれる人々の存在を知ることによって、闘いの広がりとその支持に報いる決意を新たにするのだ。
 ただし、こと細かに自分の身上を明らかにする必要はなく、また名前も組織名でする。とくに住所や職場、あるいは組織についてなれ合い的にあれこれオシャベリをすることは、組織防衛の点から絶対に避けるべきである。それは農民にとっても迷惑なだけである。

 3)休憩や食事のときに、農民の話を聞いたり、こちらから闘争の決意を明らかにすることは、勝利の決意を共にうち固める上において重要であり、積極的に心がけるべきである。その場合、オヤジさんとだけでなく、オッカァや息子(娘)さんと話をすることも大切である。家族ぐるみの闘いの奥深さにふれることができる。

 4)農家によっては、いつも闘いの決意に満ちた話を聞くことができるわけではない。たんに自分の決意を農民の話によってうち固めるだけでなく、自らの決意や確信を話すことによって、農民の決意を高め上げていくといった積極的なかかわりが、より強固な決意を共につくり上げていくことにつながる。

 5)他党派との論争は、論争のための論争に陥らないようにする。援農はわれわれだけでなく、他の党派の援農に出会うこともある。その場合農民の前で、われわれの党的見解や組織的決意を批判・中傷されることに対しては毅然と反論し、われわれの見解の真意、正当性を明らかにしなけれぱならない。しかし、それは農民に対して明らかにしていくために必要なことであって、論争それ自体を目的とするのではない。農民を除外して一対一的な論争に陥っては迷惑なだけであり、援農の意義そのものを損うことになる。

 6)農家での食事は遠慮なくいただく。ただし、酒については度を越して酔いつぶれ、農家に迷惑をかけないように自制する。農家は本人が断らなければ次々にすすめるので、適当と思ったら「これ以上はダメです」とはっきり断ることが必要である。また風呂は、援農に来た者を先に入れてくれるので長風呂は絶対にいけない。十五分をめどにして手早くすませる。

三、農作業の心得

 1)農民にとって農作業は生活の核心であり、誰もが真剣に取り組んでいる。したがってたった一日といえども、援農において、農作業の全過程を真剣に取り組むことが重要である。

 2)作業の際の身仕度は、農作業に適したものでなければならない。頭は帽子、またはタオルを巻くなりする。服装は運動着や作業衣のように、体の自由がきくものがよい。足元は、畑仕事なら地下足袋が最適。ゴム長は雨の時はよいが重く疲れる。運動靴は中に土が入り不快になる。田んぼ仕事の時は、田足袋か田んぼ用のゴム長以外は使えない。特殊なものなので、小屋で借りるか農家で借りるようにする。

 キチッとした身仕度をすることで、やる気を示すことが大切である。また、必ず汚れるので上着・ズボン・くつ下の着替えは絶対に必要である。

 3)汚れをいとわずやりぬく。農作業は必ず汚れる。畑仕事・田んぼ・豚小屋など農業は汚れるのがあたり前である。田んぼは濡れるし、頭の先まで泥だらけになる。畑では、特に風の強い日は鼻の中までまっ黒になる。豚小屋は臭いが体にしみつく。しかしこれが農民の日常であり実存である。汚れることをなにか特別視せず、日常としてうけとめ、尻ごみせずに積極的に作業にとり組むことが肝腎である。

 4)農作業について、やるべき仕事を農民からきちんと聞き、わからないことは臆せず聞く。作業は農民と同じように、手際よく早く仕上げることができないことは農家もよく心得てくれている。だから、たとえ作業は遅くとも正確にやることを心掛けるべきである、急ぐあまりズサンに作業をすると仕事をやり直さなければならず、農家にとっては二重の手間になる。

 5)農機具は農民が自分の手足のように大事にしているものなので、周囲に投げ出したりせず、大切に取り扱わなければならない。畑や田に置くときは必ず立てて、所在がわかるようにする。また使い終ったなら必ず水できれいに泥落としをし、所定の場所にきちんと戻すようにする。

 6)農作業は通例朝八時頃に始まり、十時に休憩(「一服」「お茶」)、十二時に昼食、一時から午後の作業を始めて三時に休憩、そして六時頃終了となる。作業は節度をもって行われる。したがって作業時間内は疲れたからといって勝手に休憩をとったり、煙草をつけて一息入れたりしない。

 以上が援農に際して実践的に心がけるべき諸点である。

四、おわりに

 援農は、農作業にたずさわったことのない者にとって、多くは驚きであり、非日常である。それゆえに、農業それ自体を神秘化したり、好奇の対象としたり、「生活の革命」の一助と見なす没階級的、非政治的傾向は厳に戒しめなければならず、あくまで三里塚闘争の戦略的発展を希求する闘争的観点において意志統一し、援農闘争に決起することが問われている。

 敵の二期攻撃が、中曾根の「二期早期着工宣言」、周辺市町村の「二期促進決議」、成田用水着工、芝山鉄道建設としていよいよ本格化しつつある現下の階級攻防をはっきりと見すえ、二期実力阻止、中曾根打倒の全人民的政治闘争の大爆発を何が何でもうちたてようではないか!

(一九八四年六月)

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