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1.はじめに

 わが戦旗・共産同の党の武装への本格的着手とゲリラ・パルチザン戦闘、大衆的実力闘争の果敢な展開は、その対極に「組織破防法の先取り」とも言うべき権力弾圧の激化をうみ出している。九・二九辺田大会戦における七十五名の大量逮捕、この十月に相次いでかけられた情宣や抗議行動を口実としての狙いうち別件逮捕はその端的な表現に他ならない。

 こうした逮捕―起訴攻撃にかてて加えて日常的な尾行・張り込み、家族や職場へ介入しての屈服・転向攻撃も、様々な地区・戦線で続発している。まさしく日帝中曾根の「戦争国家計画」の重要環をなす治安弾圧激化の攻撃が、わが戦旗・共産同をタ―ゲットにすえて荒れすさんでいるのである。

 とりわけ最近目立っている家族や職場の諸関係を動員しての攻撃に対して、われわれは、逮捕攻撃と日常弾圧の両面からこれに反撃し、権力弾圧を突破する実践的方策をうちたてていかねばならない。わが九・二九戦士が勇猛果敢な逮捕時の白兵戦をひきつぎ、断乎たる完黙・非転向の闘いを貫徹することによって大量の生還をかちとったように、攻勢的で積極的な反撃を組織として準備し、一人ひとりが思想性をかけて闘うならば、権力の弾圧をうち破ることは全く可能である。
 「戦争論・暴力論」の内在的主体化を実証しぬいた九・二九戦闘とその後の獄中闘争の全成果をひきつぎ、三里塚二期決戦―中曾根の「戦争国家計画」粉砕の闘いの更なる爆発をめざして、本文が活用されることを期待する。

2.日常的な弾圧とのたたかい

 この間われわれにかけられている攻撃は、被逮捕時に限らず、「ゲリラ事件の捜査」を口実にして日常的に職場・地域からの排除、家族を使っての転向強要攻撃などとして激化している。「親に心配をかけたくない」「理解が得られそうにない」「職場が反動的でバレるとクビになりそうだ」といった理由で家族や職場に活動への参加を明らかにしていない場合、こうした権力の攻撃によって打撃をうけ、その場でとるべき対処がとれないこともあるので、これに対する原則的対処を確立しておかねばならない。

一.家族を使っての転向強要攻撃との闘い

1)親からの自立、責任あるプロレタリア的政治主体としての自己確立をまずめざすこと

 階級闘争への参加は、われわれ一人ひとりの主体的・階級的決断とそれを維持しようとする日常的努力による意志的行為である。この闘いの中でわれわれは、人民に抑圧と屈従を強いる帝国主義支配を打破し、親の世代がやりきれなかったプロレタリア日本革命を成就させようとするものであり、個別の親や家族に尽すのではなく、被抑圧民族人民に奉仕するプロレタリア戦士としての自己確立・主体形成こそがめざされなければならない。

 こうした闘いにとり、政治思想的に親から自立し、自らの人生を主体的に生きぬく決意を固めることは必須の前提である。親には親の生き方があり、子には子の生き方がある。子どもはいつまでも子どもではなく、親の思い通りになる玩具ではないこと、子どももまた、親の保護をあてにし、苦しくなると親元へ逃げ帰るような甘えを脱却して、自己の人生と実存に責任をとりきる主体であることをわれわれ自身の実践を通じて刻印していかねばならないのである。

 とりわけ、われわれの親の世代は、日帝のアジア侵略戦争を容認し、戦後革命をもやりきれずに日帝支配を維持させることによってアジア民衆への深刻な歴史的血債を負う世代である。このことの克服・血債の償還をかけてわれわれは闘うのであり、その闘いはまた、われわれ自身の子孫に輝かしい未未を切り拓く偉大な闘いでもある。家族の血縁的紐帯に基礎をおくブルジョア家族制度に拘束されつづけるのではなく、プロ独―共産主義をめざす高次の結合関係へと家族関係を変革していくことをも内包して、まず「親からの自立」が闘いとられねばならない。

2)親からの自立をはかり、家族を説得するために必要なことは、時間をかけ、自らの実践と実存を通して闘いの大義性・正当性を示すことである。

 活動への参加が親に明らかになった場合、激論となることが多いが、親の説得はなかなか言辞の上でなしうるものではない。自らの実践と生き方を通して、長期間(数年間)かけて示すことが第一である。
 学生の場合、生活費仕送りの停止といった事態に対しては、基本的に説得するよう心がけるが、もし無理でも屈服せずに、バイト・カンパ等で切りぬける方策をたてる。条件によっては労戦・地区への移行を検討する。

3)権力にだまされて親が上京し、事務所におしかけてきた場合には権カ弾圧そのものとしてうけとめ、毅然とした対処を貫くこと

 親が地方に居住し、世間にうとい場合などは、権力の甘言やどう喝に乗せられて上京し、転向屈服攻撃の尖兵となってわれわれに対応してくることもよくある事態である。これに対しては、逮捕時の弾圧―「面会」攻撃に準ずるものとしてうけとめ、決して一緒に帰省したりせずに自分の意志を貫くことである。ここで親に屈すると権力を喜ばせ、親には「子どもは思い通りになる」という幻想を与えるだけである。どうしても帰省せざるを得ないと判断した場合でも一緒に帰るのではなく、こちらの予定にあわせて主体的に設定し、このスケジュ―ルを守る、冷却期間をおいて冷静に討論することを追求するべきである。

4)権カのデマ宣伝、甘言、どう喝の狙いと内容の反動性を暴き出し、「権カヘの非協カ」を確認させること

 説得の内容としては、われわれの闘いを「過激派の反社会活動」のごとく言いなすデマ宣伝をうち砕き、権力の反体制運動破壊にこめられた戦争体制作りの意図を暴き出し、「権力に協力することは子どもを窮地に立たせるだけである」点を重点的に明らかにする。様々なエン罪事件の暴露も有効であり権力がいかに甘言を弄そうとも、本当に本人のことを考えているのではなく、仕事で自分の官僚社会内部での出世をめざしてやっているにすぎない点も訴える。

二.職場への反動的介入攻撃

1)日常的な尾行や張り込み攻撃に対しては、個人としての振り切りを基本としつつ、積極的・攻勢的な反撃も組織する。

 職場への行き帰りをおさえることで、権力はわれわれの立ち回り先、非公然アジトなどをわりだそうとする。これに対しては、日常的に張り込みや尾行に注意し、張られていることが確認された場合は徹底してふりきることに全力を投入する。また、張り込みの日時、場所、尾行されたときの形態等をメモにとり、敵の動向を正確に把握すると共に、指導部に報告する。
 これによって継続した攻撃がみてとれたときには、組織的・攻勢的な反撃を準備する。(イ)ポイントと時間を決めて多人数で待ち伏せ、抗議弾劾の嵐をあびせる、(ロ)尾行させておいて人通りの多い繁華街につれ出し、「何で人をつけ回すのか、軽犯罪法違反だ」「本当に警察官なら警察手帳を出してみろ」などと激論をふっかける。大衆が多勢集まってくる中での追及は権力の意気を沮喪させ、消耗させるものであり、民衆は人相風体評判の悪い私服よりも敢然と闘うわれわれに味方してくれるものである。
 この他にも色々考えられるが、重要なことは「追う者―追われる者」の関係を固定化させず、照れたり恥ずかしがったりせずに積極果敢に敵の攻撃に立ち向ってこれを粉砕することである。

2)会社への訪問、上司等の面前での呼び出し、事情聴取については一切応じず、撃退すること。

 就業中に社長室・応接室などに呼び出され、上司の立ち合いの下で権力に事情聴取される場合がある。この場合必要なことは、まず何について聞きたいのか「任意」の取り調べ・聴取であるかどうか尋ねることである(当然「任意」以外ありえない)。このことを確認した上で、「何も話すことはないし、警察には一切協力しませんのでお引き取り下さい」と、言いわたし、直ちに業務に復帰する。
 上司の手前を気にして、中途半端に対応すると何度でも来られ、つきまとわれるだけである。毅然とした対応を貫くことによって、権力には「ハシにも棒にもかからない奴だ」と思わせ、それ以上の追及を断念させることができ、上司に対しても、本人の意志の強固さ、活動にかかわる主体性を印象づけることによって、ひいては会社内での扱いにも「一目おかせる」ことが可能になる。

 なお、上司に対しては権力をひきとらせたあとで、事態の釈明と今後の対応について説得のフォローが必要である。(イ)身に憶えのない、いわれない弾圧であることの釈明、(ロ)今後来ても絶対に会わないから呼び出さないでほしいとの要請(実際には呼び出すだろうがこちらの意思ははっきりと告げておく)、(ハ)会社として警察に協力しているのかどうかの究明(会社の基本姿勢を問うておく)―こうした点を明らかにする。
 上司に「政治活動への参加」を聞かれた場合には、「会社の仕事には関係ないことで答えたくない」「少くとも思想信条の自由は憲法で保障された基本的人権のはずである」程度の答え方でよい。「会社に迷惑がかかるので、会社をやめてほしい」等の言辞があった場合は、しっかりと復唱して確認し、メモにとっておく(その後の解雇―懲戒処分の際などに有力な反撃の証拠になる)。

3)職場へのガサ入れに対しては、必ず自分で立ち会い、不当な押収を阻止すること

 まず捜索差押え令状の内容(字句に誤りがないかどうか―もしあればその令状は無効だから改めて出直すよう要求する、差押え対象物の確認)をしっかりと確認する(できるだけうつさせることを追及する)。捜索への立ち会いについては、刑訴法第一一四条に、捜索には「住居主もしくは看守者又はこれらの者に代るべき者をこれに立ち会わせなければならない」と規定されており、普通は「××会社の○○占有(ないしは使用)の机・ロッカ―等」とあるはずだから、「占有者・所有者」たる当人の立会いは十二分に根拠のあることである。会社の責任者が立会う場合も、「自分は居残って仕事を続ける」「一緒に立ち会わせてくれ」と要求することができる(強制捜索時に捜索の妨害にならない限り業務中の者が立ち退く義務はない)。
 捜索対象以外の不当な押収については、回りの者の目など気にせず断固抗議し、阻止する。上司や同僚は驚いたり騒いだりするだろうが、こうした時こそ革命的左翼の思想性をさし示し、闘う労働者への畏怖と敬意を闘いとるべき試練であるとうけとめ、覚悟を決めて対処しなければならない

4)資本からの解雇―懲戒攻撃と闘うための日常的体制づくりを心がけること

 この闘いで重要なことは、(イ)資本からの攻撃の記録をきちんととっておくこと(日時、弾圧の当事者、一緒に聞いていた同僚の名前、内容)、(ロ)就業規則、組合規約、入社時の誓約書、源泉徴収票などの文書類の保管と検討、(ハ)職場内に気脈を通じた仲間、理解者を作っておくこと、(二)処分通告がありうる場合には、録音機などを活用し、資本の側の不穏当な言辞の証拠をとっておくこと、(ホ)反撃を可能とするための法的諸知識の学習、弁護士対策、地域の組合や争議団体とのコンタクト(地区として内包しておく)―等々である。

3.逮捕攻撃との闘い

一、家族への対処

 九・二九闘争での被逮捕者に対して、権力は獄中での取り調べ―転向攻撃の中で「家族は心配しているぞ」「お前のおかげで家族の将来はメチャクチャだ。親兄弟がかわいそうだと思わないか」などと家族をひきあいに出して泣き落とし、どう喝をかけるとともに、家族を警察に呼びよせて転向―屈服の手足に使うという攻撃に出てきた。権力の手中にとらわれ、弧立させられた被逮捕者に対して、「家族の情」をもってゆさぶりをかけ、混乱と消耗を強いることによって屈服―自供のいとぐちをつかもうとしたのである。
 これに対して九・二九戦士は毅然と権力の攻撃に対決し、獄内外を貫く団結と敢闘精神の発揮をもってこの攻撃をうち破っている。こうした教訓から学びつつ、被逮捕時の家族対策を確立していかねばならない。

A.獄中での闘い

1)家族対策に奮闘している獄外の同志の闘いに応えて、全てのカを完黙・非転向の闘いに集中しきること

 獄中に囚われることは、一切の情報や判断材料を奪われ、権力の巣窟の中に孤立させられることである。そこでは家族をひきあいに出しての権力のどう喝や泣き落としは、外の情況がわからないだけに思いのほか身にこたえる場合もあるが、獄中者の闘いを守りぬくべく獄外では救対の仲間が全力を尽し、昼夜を分かたぬ奮闘で救援対策や家族への説得活動を行っていることを忘れてはならない。

 家族の理解が得られてない時や、活動していること自体を明らかにしていない時などはとくに「家族が心配しているのではないか」「大騒ぎになっているだろう」などと不安にかられがちであるが、どのように心配してみても獄中にいる間にやれることはごく限られており、あがいても仕方がないことを自分に言い聞かせる必要がある。獄外の同志を信頼し、自らのもてる力の一切を権力との対決、完黙・非転向闘争の貫徹に集中していく決意を固めることが第一である。

2)接見を通じての「獄外への指示事項」の活用、家族への「救援対策用」手紙の用意

 地裁での接見の際に、家族宛に指示事項を書いて弁護士に託すことができる。(イ)健康状態(元気でやっていること)、(ロ)権力への非協力、(ハ)救対の指示に従ってほしい、この三点を中心に、手短かに書いて出す。
 家族は本人の安否を心配し、本人が何を考えているかを最も知りたがっているのだから、肉筆の指示事項は救対による家族の説得に大きな役割を果たす。地裁接見のときにできなかったら、留置場接見の折に伝言してもらうことも可能である。
 なお、日常的な家族対策が十分やりきれていないメンバ―などでは、大闘争の前には家族宛の手紙を書いて救対に託しておくこともやっておくとよい。その場合でも一般的な政治思想的内容よりは、(イ)本人の意思の尊重、(ロ)権力への非協力、(ハ)救対への信頼などを強調する形で書く方がよい。

3)権力による「家族面会」攻撃に屈せず、面会・話し合いを拒絶して闘うこと

 救対の必死の説得にもかかわらず、親によっては権力を信じて協力してしまう場合もある。これは親に強い政治的傾向がある場合(九・二九では「統一教会」信者の場合など)や、何も言ってない場合などに多いのだが、救対が思想的オルグまでやりきることは短時日の間には無理であり、それは本人が獄中から出てから、じっくり時問をかけてやる以外ない固有の課題である。従って面会があった場合には逆上したり、外の仲間に疑念を抱いたりする心情にとらわれることなく、天与の試練としてうけとめきって冷静かつ毅然と対処しなければならない。

 まず、親の面会が告げられたらはっきりと「会いたくない」旨述べ、拒否する。だましうち的に会わされたときは「話すことは何もない。すぐ帰ってくれ」「救対に連絡をとり、指示に従うように」ときっぱり宣言し、話し合いを拒絶して一刻も早くその場から立ち去るべきである(権力は親の面前では決して暴力的にひきとめることなどできない)。
 家族は、「お子さんが可愛いなら警察に協力してくれ、そうすれば刑も軽くなる」「子どもを不法行為に走らせたのは親にも責任がある」といった権力の甘言や脅迫に乗せられ、闘いへの参加の意味を理解しきれずに面会に来るのだが、内面では「うちの子に限って」「悪いことをする人間には育てていない」と権力の言うことへの疑惑と子どもを信じようとする心情を持っているものである。そこで本人がグラついたり、反省した態度を見せれば、子どもは「犯罪者」にしか見えず、権力の主張を裏付けるだけの結果になってしまう。
 面会・話し合いを拒絶し、自らの思想を全うしようとする毅然とした姿を示すことによって、親を突き放し、親から自立した一個の人間としての存在感をもって親と相対することがはじめて可能となるのである。一時の誤解や親の落胆、一時的な親子関係の悪化をおそれて妥協的な態度をとることは断じてさけなければならない。この闘いをやりきることは、主体に試練を克服した自信を与え、獄中闘争全般において敵を圧倒していくバネとなるのである。

B.獄外での救援活動

1)闘争前の家族関係の把握―救対カ―ドの作成

 逮捕時の家族対策にむけて、闘争参加者の家族関係を事前に掌握しておかねばならない。統一的な救対カ―ドを地区・支部毎に作成して保管する。その場合の項目は以下の通り。
 (イ)家族構成(同居・別居の家族の住所・氏名)
 (ロ)家族の身上関係(年令・職業・勤務先及びそこでの地位役職等)
 (ハ)家族各人の活動に対する理解度、政治的傾向
 (二)逮捕時に連絡すべき人(親戚・知人も含め、協力してくれそうな人)
 (ホ)逮捕時にありうる対応
 (へ)家族と接するときの留意点(連絡方法その他)

2)逮捕時の事実の連絡、説得活動の開始の時機の判断は、ケ―スに応じて慎重に行うこと

 大量逮捕の場合、闘争の性格にもよるが、二泊三日で釈放の可能性もある。また、権力に割れてないメンバ―の場合は二十三日の勾留が終わったのちでも、そのまま日常活動にスム―ズに復帰しうる可能性がある。こうした諸関係を判断せずに、一律に性急に連絡してしまうと、不必要に家族を心配させ、権力の身許割出しの材料を与えることにもなる。
 逆に逮捕歴があるメンバ―、事後逮捕、重罪適用逮捕などの場合は、権力がデマ宣伝に訪れる前に一刻も早く家族との接触―信頼関係の形成につとめねばならない。
 こうした種々の条件を勘案して被逮捕の連絡は慎重に行うこと。

3)家族の説得にあたっては、まず救対との信頼関係の形成を第一に追求し、「本人の意思の尊重」についての合意をはかること

 家族と接触をもつ場合は、まず最初にはっきりとこちらの名を名のり、身分、立場を明かす(「○○君の知人の××です」「戦旗社救対部の△△です」)。連絡先の電話番号も教え、親から連絡がとれるようにする。
 第一報は電話で入れざるを得ないが、間に時問をおくと不安を増すだけなので、できるだけ親の自宅の近いところまで行き(「今○○に居るので、すぐお伺いしたい」と尋ねる)、顔をあわせてから十二分に説得する方がよい。その場合家族に不快感を与えず、信頼をもたれるように服装・態度や言葉づかいは余り非常識な見苦しいものにしないこと。

 話す内容は、まず事実関係の報告、本人の安否であり、本人の意思を伝えることである。次に説得上のポイントとしては「本人の意思と闘いの尊重」の合意をかちとることである。
 一番苦しい立場にいるのは被逮捕者当人であり、不自由な牢獄で頑張っているのだから、その当人の意志と闘いを家族や友人、知人、関係者が全力をあげて守るべきこと、闘いへの参加は当人の主体的判断にもとづくものであり、その当否の討論は本人の出獄後にじっくりと話し合うべきであって、当人の意志に反した動きはやめてほしいこと、子どもはいつまでも甘ったれた息子や娘ではなく、社会的に自覚した一個の人間であること等々を訴える。
 同時に逮捕の不当性、権力弾圧の不当な意図についても事件の内容に即して明らかにし、おおよその今後の見通し(適用罪名の軽重に基づく釈放の見通し、起訴か不起訴か、職場でありうる事態)についても提起しておく。この間の権力の卑劣な手口(家族へのデマ宣伝、職場への介入、デッチ上げや別件逮捕の事例)や逮捕時の暴行・拷問的取調べについても暴露し、親の共感を得ていくべきである。

 これらの説得や接見結果の報告など、できる限り密接な連絡をとりあう(当方への連絡については盗聴の危険を注意し、こちらからかけ直す形をとる)ことを通して信頼関係を形成し、「本人の意思と闘いを守る」という基本的立場についての合意をかちとっていく。

4)この合意を前提にして「権カヘの非協力」「救対活動への協カ」という一歩前進した合意の形成をめざすこと

 この「非協力」「協力」の具体的メルクマ―ルは以下の通りである。
 (イ)警察.検察・職場からの連絡は救対に必ず連絡すること
 (ロ)警察・検察の「任意出頭」「面会」などの要請に応じないこと
 (ハ)独自に動かないこと
 (二)別の弁護士を選任しないこと
 (ホ)職場への休暇届提出等の窓口になること
 (へ)救対との関係を密接にし、何でも相談すること
 こうした合意を形成していく上で重要な点は「権力への非協力」の意味と目的の説得である。本人を守りぬくためには「自供」をさせず、権力に有利な材料を与えないことが必要である。本人の起訴―不起訴、有罪―無罪を決定するのは親の懇願や権カヘの協力ではなく(ブルジョア法体系はそんなに甘いものではないし、私服の「約束」ほどアテにならないものはない)、あくまで「物証」の有無である。それが稀薄な場合は本人の供述調書が決め手になってしまうのだから、親の「自供」への協力は子どもを窮地に立たせることにしかならない点をはっきりと指摘する。こうした自覚を形成するために『救援ノ―ト』を読んでもらう、弁護士に会わせるなどして法的知識を提供する必要もある。

5)権カの攻撃に立ちむかう親自身の原則的対処で問われている点を鮮明化すること

 親の説得で最も困難な点は、権力からの呼び出しや自宅・職場への訪問などといった、親自身に直接累が及ぶ攻撃への対処である。かなり深い理解を示す親でも、反動のプロとしての私服どもとの対決には動揺を示すものである。
 これに対しては、まず任意出頭に応ずる必要は法的に全くないこと(あくまで捜査協力のお願いにすぎず法的強制力は何もないし、不利益を受けることもない―刑訴法一九八条)、その狙いは嫌がらせであり、毅然とした対処をすることによって必ず粉砕できること、中途半端な対応は同じことを何度も繰り返させる結果となり、一度で権力を撃退できるような態度をとりきることを訴える。

 より具体的には、権力が電話してきたら「子どもが自分の考えで責任をもってやっていることだから私には関係ありません。警察には協力できかねます」「お話することは何もありません」とはっきり断言し、対話を一方的にうち切って相手にとりつくしまを与えない。
 自宅や職場を訪問されたときは絶対に部屋に上がらせたりせず、「迷惑だから帰ってほしい」と撃退する。たとえ権力―警察といえども自宅や会社に当人の合意なく押しかけることは住居不法侵入や軽犯罪法違反にあたるのであり、何ら恐れることはない点を説明する。また弁護士と連絡をとった上で「子どもの件については××弁護士に一任してあるので、そちらに連絡して下さい」と言わせるの親としては一言いやすく、法的にも
心強く思えるようで、きわめて有効な対処である。

 こうした全過程を誠意をもって対応することによって、救対家族の連携した反弾圧の闘いが可能になり、それは獄中者の完黙闘争を支える最大の武器となる。また獄内外を貫く反弾圧の闘いは、家族関係の変革、新たな階級的結束を形成する闘いにとっても大きな力となることを確認しておきたい。

二、職場対策

 逮捕時の職場対策は、事前の準備を除き獄外での闘いが基軸となる。地区・支部の団結で獄中者の闘いを守りぬこう。

1)救対カ―ドの作成その2

 救対カ―ドには職場の状況も書き込んでおくこと。その場合の項目は次のとおり。
 (イ)会社の名称・所在地・電話番号
 (ロ)本人の所属する部課名
 (ハ)直属の上司の名前と政治的傾向
 (二)活動への参加が公然化しているか否か
 (ホ)信頼できる人(政治的にか人格的にかも分類する)、協力してもらえそうな人の氏名
 (へ)欠勤届けの出しかたについての留意点(朝の始業時間等)

2)被逮捕の翌朝始業前に必ず職場に「三日間ほど欠勤する」旨の連絡を入れる。

 この電話は「無断欠勤」の口実を作らせないための連絡であり、早期釈放の可能性も見込んで、余り怪しまれないようにきちんと連絡することを主旨とする。社内の知人に言ってもらうのが一番怪しまれない。

3)勾留がついた場合には、直ちに「欠勤届」を提出する。

 活動をしていることが割れていてクビが危い場合(特に公務員)には、逮捕を前提とした正式な「欠勤届」を弁護士名で職場に提出する(郵送の場合は速達便の配達証明付きにする)。職場で割れていない場合、二十三日後の復帰が見込める場合は、「一身上の理由により」「都合により欠勤(休暇)します」といった書式とし(戦旗社に用意してある)本人の署名・捺印(栂印よりも普段使用している印鑑の方がよい)差出人本人で郵送する(この場合も配達証明付きにする)。

4)権力―資本の一体となった攻撃から被逮捕者―家族を防衛し、「不当解雇」を許さない体制をつくること

 権力は、被逮捕を口実にして職場を訪れ、「会社の信用を失墜させた」「過激派を職場においておくとろくなことはない」などとデマ宣伝を行って権力―資本の一体となった体制をつくり、被逮捕者や家族に攻撃を集中してくる。逮捕―起訴を口実にした不当解雇―懲戒攻撃もよく行われる攻撃である。
 逮捕―勾留期問中は、獄中者当人よりも家族に狙いをつけて重圧をかけてくることになるので、家族との連絡を密にし、会社への連絡(休暇届の提出など)は家族を窓口にして行えると一番よい。それが不可能な場合でも、職場との交渉のなりゆき等は逐一家族に報告し、家族からも報告してもらって意志統一を深めておかねばならない。

 「解雇―懲戒」攻撃は、当該会社の就業規則を根拠にして「企業の信用失墜」「無断欠勤」「長期欠勤」などの理由でかけられてくるので就業規則をよく検討し、「欠勤届」の提出のしかたや様式、社内での「長期欠勤」「無断欠勤」者に対する対応の慣例についてふまえておく必要がある。「信用失墜」などの口実については、逮捕の新聞報道があったか否か、その程度、逮捕による会社の営業への影響の有無とその程度などを具体的につかんでおくことによって反撃できる。

 なお、権力―資本は、こうした攻撃の際に、入社時に「連帯保証人」として親が「誓約書」を出していることなどを理由に家族にプレッシャ―をかけようとするものであるが、この「連帯責任」は詐欺・横領などによる会社への経済的損害に対して負うべきものであって、会社から物理的にも空間的にも関係のない政治闘争での被逮捕―「思想信条の自由」に基く行動に対してまで及ぶものではない。社会人として政治に関わることは自由であり、憲法で保証された権利であること、被逮捕は権力によって強制された不当なものであり、本人には出社の意志はあること(それを権力が物理的に阻止している)、欠勤して迷惑をかけていることはあるにしても、やむをえない事態であることなどを家族に説得し、職場対策に協力を得ることが肝腎である。

 およそ以上が基本であるが、いずれにせよ権力はわれわれ革命的プロレタリア―トたらんとする者に対して正面から切り崩す自信がないからこそ、家族・職場などあらゆるブルジョア的諸関係を動員してくるのである以上、これに対しては毅然と、積極的に対処しぬくことがいっさいのカナメであることを確認しておきたい。ここで提起した内容を原則的確認点として、革命的職場・家族対策をより一層豊富化―現実化し、権力の弾圧をはねのけて前進するプロレタリア的団結を強固にうち固めていこうではないか。

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