あわせて聴きたい二曲。
戦争指導者に対し、兵士は往々にして「被害者」「犠牲者」の一部として語られることも多いけど、兵士なしに戦争なんてできないのも事実。そして「銃後」ではその何倍もの人々が戦争を支えている。「戦争」しているのは誰? それをなくする方法は? ベトナム戦争の頃の歌ですが、むしろ今聴くことで身も震えるような戦慄を感じるのは私だけでしょうか。
彼は身長160センチで、190センチ
ミサイルで戦い、槍で戦う
31歳であり、たった17歳であり、
もうずっと、1000年間も兵士なのだ
彼はカトリック教徒で、ヒンズー教徒で、無神論者で、ジャイナ教徒
仏教徒で、バプティストで、ユダヤ教徒だ
彼は殺してはいけないと知っている。でもいつだって
僕と僕の友達のために君を殺し、君のために僕を殺す
彼はカナダのために戦い、フランスのために戦い、
アメリカのために戦う
彼はソ連のために戦い、日本のために戦い、
そしてそのやり方が戦争を終わらせると思っている
彼は民主主義のために戦い、共産主義のために戦い、
よりによってそれが平和のためだと言う
誰を生かすか 誰を殺すか 決めるのは彼だ
予言を見たこともないのに
でも彼なしで
どうやってヒトラーはダッハウで……できただろう
彼なしではシーザーだって一人きりだ
彼は自分の身を戦の武器としてささげた者
そして、彼なしではどんな殺戮も続けられない
彼は「ユニバーサル※」な兵士、彼のせいなんだよ
彼は遠くからくるのじゃない
彼はそこからもここからも現れ、君であり僕だ
君たち、わからないのかい?
それは僕たちが戦争を終わらせるやり方じゃないんだよ
※universal は、一般的な・普遍的な・万国の・世界的な・万能の・宇宙の、などの意味があります。今回はあえて無粋に「普通の」とつけましたが、歌詞の時空やイデオロギーを超えた趣旨からうまい訳語がないので、通常は「ユニバーサル・ソルジャー」とそのまま紹介されています。
なあ 戦争の親玉よ 大砲をつくるお前だよ
殺人戦闘機をつくるお前だよ 核爆弾をつくるお前だよ
壁の後ろに隠れているお前 机の後ろに隠れているお前
俺はお前に教えたい お前の正体は丸見えだってことを
破壊を生み出すこと以外 決して何もしないお前
お前は小さな玩具のように 俺の世界を弄ぶ
お前は俺の手に銃をもたせ 俺の前からは隠れ
それで 最初の弾丸が飛びだしたら
お前はまわれ右して一目散に逃げ出すのさ
いにしえのユダのように お前は嘘をつき騙す
世界戦争に勝利するのだと お前は俺に信じさせる
だが俺はお前の目を見抜く お前の脳味噌も見抜く
水がおれの家の排水管に流れ落ちるように 見抜いてる
お前は引き金を留める 他の誰かに撃たせるために
そして後ろに控えて見ているのさ
死人の数がふえてくると お前は屋敷に隠れる
その間に 若者の血が体から流れ出し
そして 泥の中に埋められる
お前はかつてないほどの 最悪の恐怖を撒き散らした
子供を作ることの恐れを 世界中に
まだ生まれてもいない 名付けられてもいない
俺の赤ん坊を脅かしている
お前には 自分の血管を流れる血ほどの価値もない
俺に何がわかるんだと
俺がわけのわからんことばかり言っていると
俺が若すぎるガキだと 無学なんだと言うんだろう
だが一つだけわかることは 俺はお前より若造だけれど
キリストでさえ お前がやることを許しはしないだろう
一つ教えてくれないか 金はそれほどいいものか?
その金で免罪が買えるのか?
お前はそんなことができると思っているのか?
お前はやがて気づくと思うぜ 死の鐘がお前を呼ぶとき
お前が稼いだすべての金でも 魂は買い戻せないことを
俺はお前の死を望むよ それはすぐにやって来るだろう
俺はお前の棺桶の後をついて行く
薄暗い午後に お前が墓穴に落とされ
葬り去られるのを 俺は見るだろう
そして 俺はお前の墓の上に立ち
お前が死んだことを はっきりと見とどけるよ