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人権と共生を考える

2・5長居公園からの野宿労働者(ホームレス)排除の中止を求めます

反排除ステッカー

 ちょうど一年前のこと、2006年1月の末に、大阪市は600人もの職員を投入して、貧困ゆえに大阪城公園と靱(うつぼ)公園で寝泊りを余儀なくされていた野宿労働者を襲撃しました。

 市の職員たちは野宿労働者の家財道具のいっさいをバールなどで粉々に破壊しつくした上ですべてを強奪し、寒空の下に着の身着のままで放り出したのです。それは野宿労働者にとっては死の危険を伴う、文字通りの殺人行為でした。

 その時に私は公園の中にいて事態を目撃していました。そして私が見た範囲での体験記を、見たまんま、できるだけ詳細にこのブログに書き、同時に撮影した動画も公開しました。

そして約一年後のこの2月5日、これ↑と全く同じことを、今回は長居公園で行おうとしています。

 さらに今回は事前の情報として、市の職員による強制排除の前後、職員があたかも「暴力的な衝突」があったかのように演出して、そこに大阪府警・公安警察が介入、参加者をデッチ上げ逮捕しようという、卑劣な謀議が話し合われているということです。
 これで野宿当事者の運動を暴力的で不法なものとして描き出し、市の行為を正当化していこうという策謀のようです。実際にこの三文芝居のシナリオが実行されるかどうかは、すべて皆さんの監視にかかっています

 野宿労働者の運動は、どんなに不当で暴力的な迫害を受けようとも、常に非暴力不服従で進められています。特に長居公園の運動は、当事者達が「長居スタイル」と呼ぶもので、たとえ抗議にあたっても暴言は禁止、あくまでも丁寧に、徹底的に理性的な話し合いを市側に求め続けるというものです。

 ですからこれを読んでおられる皆さん、もし2月5日当日に逮捕者が出たというニュースを聞いたら、たとえどんな容疑がつけられていようとも、それはすべてデッチ上げであるということを憶えておいてください。そしてこの話をできるだけ広めてください。事前に謀議が暴かれて情報が広まることで、大阪市や大阪府警も、あからさまなデッチ上げ逮捕がしにくくなっていきます

 今回は以上の点も考慮の上、公園内での抗議・座り込みなどの行動とは別に、公園外での監視・抗議行動も同時並行で予定しているそうです。こちらは音楽やパフォーマンスなどができる人も募集しているそうです。公園内に入るのは怖いとか、仕事や家庭などの様々な理由で弾圧を受けるのが心配という方は、こちらの公園外の監視行動のほうに参加されてはいかがでしょうか。

 また、公園内の抗議行動といえども、こちらが相手の陰謀にのせられず、あるいはどんなに暴力的な目にあわされようとも、最後まで毅然として「長居スタイル」を貫けば、何も恐れる必要はありません。市や警察は焦って暴力的な挑発を繰り返してくるかもしれませんが、こちらはむしろ人間として彼らを哀れむくらいの余裕をもっていようではありませんか。

 私たちは、今回の排除に抗議していく際して、次の3点のことを知っておく必要があります。

 第一に、このようにマスコミにも取り上げられる「派手」な排除ばかりではないということ。この一年間、マスコミすら報道しないところで、もっと陰湿で法的な手続きを踏まない違法な排除が、大阪市によって日常茶飯に繰り返されてきました。そしてこれに抗議し、人権擁護のために闘ってきた、多くの野宿当事者や、支援のボランティアの方々がいたということです。

 この方々の尊敬すべき人権活動を第一に忘れずにいたい。私なんぞは単にネットでワアワア言っているだけのキチンなゴミ野郎であって、そんな人はいてもいなくてもいいようなもんです。市や警察の嫌がらせや逮捕攻撃にさえじっと耐え続けたこの方々の地道な実践活動こそが、真実の尊敬に値するのです。

 第二に、昨年のうつぼ公園での排除阻止行動に、予想をはるかに上回る市民の支援が集まり、市の行動に激しい抗議が寄せられた事実は、大阪市側にとっては「想定外の事態」(市の現場責任者のテレビでの発言)だったということです。

 大阪市は確かにすべての野宿労働者の家財を叩き壊したかもしれません。しかし当初の予定では午前7時から作業を開始して30分もかからずに排除完了、午前中には市役所に戻って昼から記者会見でした。それが実際には昼を過ぎても現場は膠着状態。記者会見は「今後の行動を検討中」という惨めなものになりました。実際に全員が排除されたのはやっと午後2時を回ってからです。

 これは市側にとっては予想もしない敗北、または挫折であったのです。そのことによって、彼らはいっそう凶悪化・無法化すると同時に、その後の行動の手足を縛られることにもなりました。

 第三に、昨年は強制排除の後に、市に対する批判的な論調や市民の視線が高まっていったという経緯がありますが、今回は排除の前に、すでに昨年の「排除後」くらいの批判が集まっているということです。

 その一つの目安として、「排除中止を求める市民署名」というのがあるのですが、野宿労働者たちが今回の排除が準備されだしてからの短期間に細々と集めたにもかかわらず、すでに大阪市に5400筆もの市民の声が提出されており、今も増え続けています。

 いわゆる貧困と「ホームレス」問題の顕在化の中で「排除じゃ何も解決しない」という認識は、本当に苛立つくらいにゆっくりではありますが、少しずつ市民の間にも広まりつつあります。同時に「大阪市が喧伝するシェルターや自立支援センターは、体裁を繕うための欺瞞的な収容施設だ」という事実も、ゆっくりと一般に明らかになってきました。

 こういう流れの中で、大阪市がこの一年にやってきたことは何か?それはマスコミや世論の目が集まらないように、一人一人の野宿労働者を個別に襲撃して排除していくことでした。もちろん法的な手続きはふんでいません。そういう手続きを開始すること自体がニュースになるからです。

 彼らの手口は、野宿労働者が仕事に出かけて留守の間にやってきて、公園にあるテントから家財道具まで、その一式を窃盗していくというものです。そしてその場で焼却してしまうのです。盗まれたものの中には、労働者が生活や自立のために、こつこつと貯めていた現金から、遺骨までが含まれています。そんなの見ればわかるはずです。わかっていて燃やしてしまったのです。これが人間のすることでしょうか!彼らは人でなしです。

 今回の排除に反対するか否かは、こういう人でなし集団と、人間の尊厳を守るために自己を犠牲にしてでも闘っている人々の、そのどちらを支持するのかという問題に他なりません。

 すでに多くの人が抗議の電話をかけたり、ファックスやメールを送ったりなどの行動をおこなっています。できることは当日の結集だけではないのです。みなさんに、自分のできる範囲での行動をお願いしたいと思います。

 以上、中途半端で申し訳ありませんが、今日はこれくらいにしておきます。

抗議先のあて先

◇大阪市長 關 淳一(市長室秘書部秘書課宛)
TEL: 06-6208-7231 FAX:06-6202-6950
市長への意見送信フォーム

◇大阪市経営企画室
TEL:06-6208-9720

◇ゆとりとみどり振興局総務部管理課
TEL:06-6615-0643 FAX:06-6615-0659
意見送信フォーム

◇大阪市市民局 市民部 広聴相談課
TEL:06-6208-7333 FAX:06-6206-9999
意見送信フォーム

サイト内リンク

大阪市による野宿者強制排除に抗議の声を!
野宿者への強制排除はじまる!
【転載】傘もささず、行方知れず
強制排除阻止行動に参加して
「ぶっとばせ!弾圧・排除12・1集会」に参加して
支えなく、ホームレス凍死

参考リンク

釜パト活動日誌
長居の強制排除に反対するweb署名
臨時個人サイト・野宿者テント村が危ない!

大阪・長居公園のテント強制撤去に疑義(インターネット新聞JANJAN)

寒空に家を壊され叩き出され(ですぺら)
長居公園強制立ち退きについて(あおざかなの買い物日記)
長居公園で野宿者テントが強制立ち退きを迫られている(P-navi info)
大阪に抗議を(農家便り)
サン・マルタン運河憲章(先見日記)

長居公園からの呼びかけ(Arisanのノート)
長居公園に行くことにした(Arisanのノート)
長居公園に行く前に(Arisanのノート)

コメントを見る

  • はじめまして。以前からロムさせていただいていますが、初のカキコです。
    今回の草加さんの記事に叱咤されて、掲載されてある三箇所の関連部署に
    抗議メール送りました。現場で頑張ってる人たちに比べれば、大した力にはならないかもしれませんが、少しでも役に立てれば嬉しいです。

    しかし、現状は草加さんのおっしゃるとおり「ネットでワアワア言ってるだけ」ではホントもうダメなんでしょうね(草加さんは現実でもよく動いていらっしゃると思いますよ)。ただ自分の置かれてる今の状況ではなかなか動けないということがあり、内心忸怩たるものがあります。今の自分を「拘束」しているいくつかの問題をなんとかできれば、今よりもっと動けると思うのですが。それまでは申し訳ないと思いつつ、出来る範囲のことをやっていくしかないなと。そんな感じです。
    ではまた。

  • kurodaさま>
    さっそくの抗議行動、ありがとうございます。「ネットでワアワア」云々は、ちょっと誤解をまねきかねない表現かもしれませんね。ネットで事態を広めて当事者の皆さんを応援したり、抗議の声をあげることも立派な実践活動です。

    ネット活動の意義を否定するのではなく、現場で生活を賭け、体をはって自己犠牲的に頑張っている人こそが一番尊敬に値するのだというのがその趣旨です。もちろんkurodaさんの抗議も貴重な活動です。

    無理はいけないし、長続きしないと思います。それぞれの立場で「できることをする」のが重要なんであって、「できるのにしない」のはもちろん、「できないけど無理する」のも良いことではありません。

    ところで大阪市側はマスコミの前では「最後まで誠実に話し合って穏当に」みたいに発言しています。
    一方、強制執行には異議を申し立てる法的な権利が当事者にはあるわけで、当事者である野宿労働者から、異議の申し立てや、解決案、妥協案などが提案されています。

    しかし大阪市側は今のところ、いっさいの話し合いを拒否しています。マスコミの前で言ったことは何だったのかと。こういうその場しのぎのペテンが一番腹がたつのです。