われわれは昨八三年「三・一八 革共同への申し入れ」以降、党の武装にとりくみ、七・五戦闘、十一・六常盤橋戦闘、二・二二戦闘の勝利をかちとってきた。これらの戦闘の勝利は、それを担った同志の戦闘行動力の高まりということにとどまらず、昨年以来全党的課題とされてきた、党総体の武装力のレベルアップが結集化したものとして対象化するのでなければならない。
一方で、本年一月九、十日の中核によるインター活動家へのテロルという事態は、われわれに今後とも内ゲバ主義と右翼日和見主義を排し、党の武装を強化し、あくまでも対権力実力闘争を闘いぬく方向をとり続けることの重要性を教えている。われわれは確信をもってこの道を進まなければならない。
しかし、敵権力はわれわれのこうした闘いの前進に対して、これを押しとどめるべく弾圧に躍起となっていることも事実である。昨年の過程でわれわれに対しなされたガサ入れは実に百数十ヵ所にのぼり、××地区に対する露骨な弾圧をはじめ、陰に陽に活動家へのドウ喝、切り崩し、スパイ工作等を進めようとしている。われわれはこれに打ち勝たなければならない。
われわれがふまえておくべきことは、権力の弾圧や内ゲバ党派の攻撃は、すべて十年余にわたる内ゲバ戦争とそこにおける技術的水準を前提にしてなされているということである。好むと好まざるとにかかわらずそれが現実である以上、われわれはこれに対抗しうる水準を技術として組織的に蓄積していく必要性があるのだ。
以下は、昨年一月の「日常活動の手引」に、この一年間の経験をふまえ加筆・改訂したものである。同志諸君の実践的取り組みを要請したい。
ここで文書というのは、個人が使用しているNB,TB(注:ノートブック・テレホンブック)のことである。それ以外の秘匿または消却すべき組織的文書(定購用紙・オルグ対象・救対カード・署名用紙・地区総括その他)は速やかにその処置を講ずべきである。むしろこれまでの弾圧の経験からみても不必要な文書はそもそも発行しないことさえ必要である。印刷されるものは敵にわたる可能性があることを前提とし、今後の展開はなされていかねばならないのである。
従って、署名用紙や救対カードなどはその日の内に移動、または消却することが必要であり、一日でもそのまま記入された状態で事務所等に置かないようにすることが重要である。
また地区総括や、支部総括などは書く時に徹底した暗号化と抽象化が必要であるとともに、その管理については、われわれの頭を切りかえることも必要である。つまり管理ではなく完全に消却することも必要だということである。
実際、地区総括や支部総括はその時々の組織的必要に応じて書かれるものであり、何ヵ月や何年も後になって読み返されたり利用されたりすることは殆ど皆無といってよいのである。だから、保管されているものは奪われる可能性を有している以上、何でも後生大事に保管していなければ不安という考えを払拭し、大胆に全て消却してしまうことが最良の防御なのである。
ここで言っているNB・TBについてもしっかりと自分が持っていれば大丈夫と思う人もいるが、敵のガサは極めて広範囲に及び、しかも不意打ちをねらっており、身体につけていても力づくで奪っていくこともあるので安心してはいられない。たとえ奪われても組織と個人をできる限り秘匿できるような記入・消却法に習熟していくことが必要である。新たなWSP(注:水溶紙=水に溶ける特殊な用紙のこと。わずかの水分でも判読不能になる)の使用も含め、最低限次のことを実行してもらいたい。
●NBには基本的にはBFやSL(注:機関誌紙『戦旗』『理論戦線』)などで活字になったものを記入する。闘争の位置付けなど政治内容は良いが、組織関係(地区・支部の体制、メンバー、動員など)は書かない。やむをえず書く場合は、必ず暗号化する。たとえば動員数をそのまま書くようなことはしない。
●地区や支部の獲得目標、その時々の自分の活動上の観点の整理など、一定の期間残しておく必要のあるものもNBに記入して構わないが、その場合も暗号化、抽象化して書く。
●スケジュールもNBに記入する場合が多いが、その都度スミ入れをし、ぺージ終了毎に焼却する。スミ入れ・焼却は形式的にではなく燃えかすの処理まで徹底して行なう。
●WSPにはそれ以外のことを記入する。その時々の会議でなされる報告や、オルグ点検など基本的に保管の期間の短いものを記入し、不要になったら直ちに処理する。
●会議の議題などもWSPに記入し、会議終了後直ちに処理する。会議中に敵が来る場合もあるので、会議中は処理する準備をしておくことも必要である。
●今後はできる限りNBの使用を減らし、WSPを中心にした活動に習熟しなければならない。
TBは組織活動には欠かせないものであるが、それだけに敵に奪われた場合には日常活動に困るだけでなく、組織の全容が明らかになるのでその管理には充分注意しなけれぱならない。日常活動に必要なTNは記憶するのが最善だが、実際には覚えきれない場合もあるので各々独自の暗号化をはかっていく必要がある。
●公然事務所(戦旗社や現闘、共闘関係)は暗号化しない。そこから他の暗号が解読されるからである。
●所属以外の地区・支部・個人など組織関係はすべて消却する。また必要があって聞いても記載しない。他地区との連絡が必要な場合は、個人的に行なわず上級を通じて行なう。
●オルグ対象など、どうしても必要なものは必ず暗号化する。暗号化は氏名・番号の双方を行なうことが望ましいが、初めは単純なものから、慣れるに従い複雑化していくことが望ましい。
●安全な保管場所がある場合には、普段必要なものと、元帳をわけておくことも有効であるが、絶対安全ということはありえないので元帳の方も必ず暗号化しておく必要がある。なお日記や手紙なども押収や窃盗を予測しておかなければならない。それを敵は利用してくることは目に見えているのであるから、基本的には手紙類は処分し、日常生活日記などはつけないことの方が肝要なのである。
昨年来各事務所の防衛体制は次第に整えられてきたが、今後さらにそれを発展させていかなけれぱならない。
●鍵は二・三種類に増やし、出入りのさいは、たとえ買物等のちょっとした外出でも必ず鍵をかける。
●インターホンを取り付けるなどして必ず出入りをチェックする。その際、音量は低めにし、また中の会話が外にもれないようスイッチは必ず確認する。
●部外者は中に入れない。セールスマンやガス会杜などと偽って居住者、室内状態をさぐる場合がある。(たとえばカクマルは杉並革新連盟が東京ガスに湯沸し器を注文したことをつかみ、東京ガスの制服、ヘルメットを使って襲撃している。)
●不在中の侵入の有無を確認する。不在中に権力が部屋に侵入した場合、それをチェックできるシステムを各アジトごとにセットし毎日点検する。また日常的な整理整頓を行ない、窃盗、郵便開封がないかどうか確める。(不在中に権力が不法侵入して盗聴器をしかけたり、文書、写真類を窃盗された例もある。)
●使用するメンバーを限定する。多くの人間が使えばそれだけバレやすいので仲良しグループ的に使うのをやめる。オルグ対象などをつれてくる場合は必ず住所等を実際に住んでいるか確認し、オブザーバー的、あるいはまきこみオルグ的使用を排して、基本的には意志統一された組織メンバーのみが使用するようにする。
●部屋のあかりに注意する。敵が事務所を監視する場合、部屋のあかりはこちらの行動を把握する目安となる。これへの対処は窓を二重カーテンやラシャ紙などでふさぎ、光がもれないようにするか、就寝時もあかりをつけておくようにする。
周囲の地理、状況等を調べ、侵入―張りこみする側にたってまず考えた上で種々の防衛策をたてるようにする。侵入は充分な調査ののち、訓練された分子を使って行なわれるので、中途半端な考えでは防衛できないし、こちらが無傷ですむと考えるわけにはいかない。
重要なことは、まずこちらが防御の体制をとっており敵の攻撃を逆規定する関係をつくり出すことである。そして次に、敵の襲撃があった場合でも、侵入までの時間を長びかせ、反撃の態勢を整えること、つまり速決を許さず持久化することを追求すべきである。(実際、カクマルがCを襲撃し、侵入にもたついて撃退された例もある。)
●パトロールを通じ、敵を逆規定する関係をつくり出す。パトロールは毎日、定期的に行なうことに意義があり、そのことによって異状が発見される。何も異状がないからといってサボってしまったのでは全く無意味であり、異状のないことの意義を不断に確認する必要がある。
●パトロールは常に複数で行ない、事務所には必ず一人残しておくようにする。また毎回政治的意志統一と前日からのひきっぎ、チェックポイントの指示、事後の集約などに留意する。
●周囲の駐車車輌のチェック等を行ない、資料を蓄積するだけでなく、毎週とか毎月、定期的にそれを分析・検討し、マンネリ化、アリバイ化するのを避けるよう心がけなければならない。
●バリケードを二重・三重化する。鉄板はガソリンカッターを使えば木材よりも容易に切れるので鉄扉一枚で安心と思ってはいけない。ましてガラス窓は何もないのと同じだ。鉄筋のブロックを使うことを心がけるべきである。それが構造的に無理な場合には、バリケードはロッカー、冷蔵庫、などを用い、出入口を狭くし、入りにくくする。(一度に一人しか入れないようにする。)チェーンやピアノ線はバリケードの役割りと同様に鉄パイプなどをふり回しにくくなるので有効である。
●宿泊は二人~三人以上とする。そして朝の出勤も、時間の近いもの同士が調整して複数で事務所から出るよう心がけなければならない。出勤時間はいつも同時刻とせず、日によって異なる時差出勤も必要である。
●事務所から外に出る時には電話が通じていることをチェックすることも必要である。襲撃する場合には必ず電話線が切られているので発見できる(注:この時代に携帯電話なんてもんはなかった)。
●襲撃された場合、大声を出し、サイレン、トラメガ等を使って周囲に知らせる。
●バット・ヘルメット等は防具として役立つが、鉄パイプ等は置いておくと「凶器」として押収・逮捕されてしまうので絶対におかない。竹ザオも有効である。
●AGTや公然事務所の電話は100パーセント盗聴されていることを前提に対処しなければならない。電話で氏名や地区名をアケスケに話したり、組織外の人に対しメンバーの居所を教えたりすることは、敵にこちらの情況を教えているようなものである。妻や親密な友人でも組織外の人間に対しては直接居場所を教えてはならない。それは不必要なことであり、現実には自己の安全をおびやかすだけでしかないのである。
●電話の使用は極力減らし、重要なことは直接会って話す。やむをえず電話を使用する場合でも、コードナンバー、暗号化して話さなければならない。
●電話による盗聴は、通話中に限らない。近頃では電話器を置いた状態でも室内の様子を盗聴できる機械が市販されているので、使っていないからといって安心できない。電話はふとんむしにし、会議中の部屋からは出しておくようにしなければならない。
●秘匿したいアジトには電話は置かない。電話はブルジョア社会では身分証明書のようなものであり、設置する限り敵にとって容易に発見できる。やむをえず設置する場合でも従来の電話をそのまま移動するのではなく、異なる電話屋で買いかえを行なうと何ヵ月かは秘匿できる可能性が高まる。
尾行の目的は、特定個人の活動と生活「全実存」をとらえることである。
それは、その個人の出入りする場所、勤務先、行動の法則性(何曜日にどの道を通り、どこへ行くか)、交友関係等から組織の概要をつかむことができ、更に出入りする場所への張り込みから他の同志への尾行へと発展させることも可能だからである。
個人宅のみならず、会議場や合宿先、山行等に対しても尾行、張りこみ(盗聴等)もなされている。従って、「尾行は必ずまけ!」が鉄則である。
「どうせ行き先(勤務先等)はわかっているから」と、尾行を確認しなかったり、尾行されているのを知りつつまかなかったりするのは誤りであり、そういう体質に敵はつけこんでくるのである。
敵も人間である以上、尾けても尾けてもまかれるのは消耗なことであり、こちらの対処によって逆に規定されるのだ。重要なことはこちらの主動性、能動性を確保し、敵に対して常に精神的優位にたつよう心がけることである。(表面的にはこちらが逃げて走っていても、政治的には敵が消耗を深め、意欲を喪失することになるのだ。)
めいっぱい活動していると、こういう「ムダ」に気を回すのは面倒臭くなるものだが、それでは組織も個人も損うことを肝に銘ずべきである。また、自分は幹部でもないし、大した活動もしていないから尾行などつかないと思う人もいようが、逆にこういう人を尾行する方が楽だし、「つぶし」=組織のそぎ落としのためにこの方法が多く用いられるので気をつけなければならない。
また、尾行は警戒心のまったくない者を追う場合は別として、一人でやることはまずない。最低でも二人以上、必要に応じて五~六人で行われる。多い時には二十人というのもあるそうだ(『警察黒書』労働旬報社刊)。
尾行要員は通常の服装のほか、帽子、メガネなども用意し、ときどき上衣やネクタイ、所持品などを取りかえて尾行する。またいわゆる「私服スタイル」ではなく、長髪にテニスラケットなどを持ち、スニーカーをはくなど完全に市民社会にとけこんだスタイルをしている場合があるので要注意である。
相当の間隔をおいて対象者を追いかけるが、人数に応じて近くで追う者、前を歩く者、道の反対側を歩く者等にわかれ、無線連絡をしながら入れかわり立ちかわりして気付かれないように追尾する。対象者の警戒心が強い時は、わざとはっきり尾行して途中で消える役割りの者をつけることもあるので、一人二人まいたからといって安心できないこともある。
また、一定法則的に動いている者に対しては通勤路の途中や駅付近が尾行の出発点となるので、自宅や事務所付近で尾行されていないからといって尾行がないとはいえない。労働者が職場に通勤する以上、法則的に動くことはやむをえないが、それでも通勤路(使用駅)を毎日変えるとか、出発時間を変えるとかして、可能な限りその法則性を敵につかませないようにすることが必要である。
●尾行の発見のためには――急に走り出すとか、わざとゆっくり歩く、ひき返す、路地裏などをグルグル歩くなどして同じ行動をとる者を発見する。(後をふり返るのは一定習慣化すると良い)。
ただし、事務所から最寄りの駅のあいだで行なって、ついていないと安心しても、駅からつけられたり、また逆に公然事務所の近くに来てから行なっても敵に目標地を読まれていて先まわりされたりするので、尾行の発見は、何ヵ所かのポイントで行なう。
●尾行をまくためには――まず自分の行動する地域の地理、特徴をしっかりと覚えこみ(地の利)、複雑なところで走ったり隠れたりする。都市のターミナル、駅ビル、デパート、地下街等が複雑に発達している所は利用価値が大きい。
●電車を利用する場合――電車に乗ると見せかけてドアの閉まる前にとびおりる、またはその逆を行ないふりきる。比較的すいている時問帯では、各駅に停車するごとに一旦降車し、周囲を確認して、ドァの閉まる直前に最後に乗ることをくり返すのも有効である。追尾者はどこで本当に降りるかわからないので、同じように行動しなければならず発見も容易だ。本当に降りるところではそのまま乗らなければよい。
●車・オートバイを利用する場合――常にバツクミラーで後方を確認するとともに、細い道などに入ったり、停車―発進をくり返したりして発見する。二台以上で来る場合が多いので注意する。
オートバイは、オートバイ以外では追跡できないので有効性は高いが、プロのライダーにぴったりとマークされ、ふり切れなかった例もある。そのような場合は予定を変更し、一時公然事務所等へ避難して対策をたてることが必要であり、追尾されたまま目的地に行かないことが核心である。
また車やオートバイはナンバーを名刺がわりにつけているので、公然事務所や会場等へは直接乗りつけないよう心がける必要がある。
●一見して活動家とわかる服装、変わった服装は目立つので注意。
●一人で行動する場合、明るい所、人通りの多い所を歩くようにする。ずっと前の話だが、尾行に気付かず暗い所で襲撃され、持ち物を奪われた例もある。
●複数で行動する場合、街中では各人が十メートル間隔で歩く。雑談をしながら歩かない。雑談をしながら歩くと、周囲に対する注意力が散慢になり、尾行も発見できないし、また尾行する側にとってはつけやすい。敵の襲撃に対しても間隔をおいていれぱ対処しやすい。
喫茶店、飲食店の使用は、充分に注意を払わなければならない。アジトと異なり、一般市民はもちろん、権力や白色分子のスパイが周辺にいる可能性が大である。
たとえぱ警察官は、「帰省中や遊びに出かけた先で見聞したことも情報として報告するよう」命じられており、交通事故に際しても「何か捜査資料が落ぢていないか」「事故処理等で警備対象者の個人資料か人手できないかという“勘”をはたらかせて仕事をするよう」教育されているのである。これは白色分子の場合も同様と考えてよい。
とくに、その場所が一定法則的につがまれている場合、張り込みを続け、会話の内容を聞きとり、テープにとっておくということは充分可能性がある。周囲に仲間がいるとつい安心して話も出てくるわけだが、そこから政治内容のみならず人間関係、誰がどう言った等といったことまでつかまれ、弾圧やナーバスの糸口とされることも予測される。
●市民杜会との接点(飲食店、電車、路上等)では基本的に革命談義は行わない。
●喫茶店でのオルグは、周囲を警戒し大きな声で話さない。また周囲があやしいと感じたら、躊躇せずに喫茶店を移るべきである。
●特定の用語は符喋化する。権力、カクマル、鉄パイプ等のストレートな誰が聞いてもわかる、または連想できる表現は避ける。
昨年三里塚闘争からの帰路、ドライブインで電話中「戦旗社」ということばを使ったために、居合わせたCと小ぜりあいになった例もある。喫茶店でのオルグ等においても、対象が大声で闘争用語を連発する場合など、理由を説明し、符喋で討論するようにしなければならない。情宣、ステハリ等の行動はもちろん、よく使用する地名も符喋化した方がよい。
また、特定の喫茶店のみの使用は避けた方がよい。(張りこみ防止)。トイレに入る時、NB・TBなどは必ず身につけて行き、電話での呼び出しはコードネームを決め(組織名とは別に)一定期間ごとに変えるなどするのがよい。
ここで言う闘争.集会は決して公然・合法に限るものではない。実力闘争を行なおうとすれば、当然非公然領域が孕まれるのであり、それに習熟していなければ事前にキャッチされ封じ込められてしまう。この間、結集・解散闘争はかなり厳格に行なわれるようになってきているが、常に一つのバターンで行なわれている場合が多い。公然での結集・解散と半(非)公然での結集・解散は当然形態も異ってくるのであり、その習熟につとめなければならない。
●結集――2~5人くらいの班を編成し、三三五々方式で同一ルート、または別々のルートを通り同一時間に結集する。早目に出て、予定時間に着くようにする。遅刻がいけないのはもちろんだが、早く着きすぎるのもいけない。昨年九・一五闘争の結集地点で機動隊の検問を許してしまったが、これを回避するためにも結集時間と行動開始時間の間隔を短縮するよう心がけなければならない。
●変装――変装は公然闘争などで敵から完全に顔を隠すことだけを目的とする場合と、半(非)公然展開や結集・解散時における市民社会に溶けこむことを目的とした場合とがあり、使いわけなければならない。
公然闘争では帽子、マスク、サングラスなどを用い、写真などとられても完全にガードできるようにする。
公然闘争への結集は、基本的には市民社会に溶けこむことが必要条件となる。たとえば事務所などから結集地点に闘争用の変装でそのまま移動すれば市民社会から浮かびあがってしまう。闘争スケジュールは対外的に明らかになっているので敵にとって容易に発見できることになる。従って結集地点までの変装は冬であればマフラーやフード等を用い奇異でないよう心がけなければならない。解散時もまた同じである。
七七年のことであるが、三里塚集会からの帰りにCの部隊と遭遇し、五月なのに毛糸の帽子をかぶっていたために発見された例もあった。
つまり、闘争用の変装は部隊の結集地点から解散地点まで(地区の部隊展開も含む)行ない、結集過程・解散過程は市民杜会に溶けこむという観点で変装すべきである。
また半(非)公然の集まりへの結集・解散も同じ観点で対処する必要がある。半(非)公然の場所(会場等)から半(非)公然の場所(アジト・自宅等)への移動に際して、その移動過程のみが浮きあがってしまったのでは何にもならない。
●移動――これまでの移動は、都内、三里塚等では電車や乗り合いバスを使うことが多かったが、今後も利用するであろう。4)で述べたことがここにもあてはまる。回りに仲間が多い安心感から感想を話し合うとかオルグに活用したい気持ちがおきるが、注意すべきである。目立たない、一般乗客の姿格好で権力や白色分子が乗りこんでいることが多いので、やはり基本的には無駄な話はしない。
●解散――公然闘争からの解散は、権力の追尾をふりきるために、一斉に展開される。まず班編成で全力疾走し、二種類以上の交通体系(電車、地下鉄、タクシー・バス等)を利用して、すみやかに解散地点から離脱する。解散地点付近の飲食店は使用しない。解散しても喫茶店やアジト等でのオルグは行なわず、後日に改めて設定する。解散後の喫茶店を利用してのオルグは権力、他党派との閑係から考えても危険であり、アジトで集約するのは再びそこから敵に追尾されるおそれがある。解散そのものを一個の闘争として厳格にやりきることが求められる。
●遭遇の回避――闘争では権力のみならず、他党派と遭遇することが少なくない。レポを配置して事前に情報をキャッチし、基本的にはターミナルでは別の出口を使う等、回避する方策をとる。
こういう場合個人行動は厳に慎む。(三十名ぐらいが情宣中のところに一人で討論しようとして、テロられた例もあるが、こういうのは革命的行動とは言えない。敵への幻想はすてて対処することが必要である。)
情宣の貫徹は絶対になされねぱならないが、そこでは敵権力や白色分子ともじかに接するわけである。対象者へのオルグに際しては、いきなり自分の身の上話をしたり、職場を言ったりしてはならない。スパイが接触または流入をはかることが予測されるからである。
だから、相手を注意してみすえ、相手が何者であるのかをみきわめることが必要である。組織内のことをアプリオリに言ったりしてはならないことは当然である。政治内容での討論が軸とされねばならない。
また情宣が部隊展開をもってする闘争である以上、その結集・解散は闘争時のそれとして貫徹されなければならない。特に情宣は回数も多く、場所もある程度決まっているので敵にとってもマークしやすいことに留意すべきである。
●情宣は常に権力・白色分子・対立党派との緊張関係を想定して行なわなければならない。部隊行動として貫徹することが必要であり、終了時間になったら討論をうち切り、後日改めて設定することを追求する。討論中のメンバーを残して部隊が移動するのは危険であり、またその討論の終了を待つことも危険である。
●情宣中の衝突(右翼との衝突は一定日常化している)もありうるので、旗ザオ等携行することも必要である、また、荷物は各自が持つようにし、まとめて置くようなことはしない。
●オルグ対象の自宅、職場(住所・電話)等の真偽を調べる。住所はこちらから一度たずねてみるのがよい。
●公然事務所以外の連絡先(アジト・自宅・勤務先等)は教えない。つれてこない。こちらからの連絡を軸とする。
●闘争内容よりも組織関係や動員を聞こうとする人には注意すべきである。好奇心からの人もいるが、こういう傾向は活動にとって有害であるので、そのように説明する。
●S(注:スパイ)とわかった場合は、ハッキリと一切の関係を断つ。対象者へのあいまいなオルグや幻想をもつことは断じてなされてはならない。
●対立党派のメンバーやシンパ等へのオルグは、組織防街の観点を第一にして対処する、まきこみオルグ等は絶対的に排されねばならず、情況全般を考慮して断つべき時は断つという判断も必要である。
権力や他党派、右翼分子の動向についてキャッチしたことは、すべて上級機関に報告する。これは権力や日共、革共同両派においてはすてに確立されており、末端情報から重大な情報得られる場合も少くない。
一斉弾圧や襲撃は事前に張りこみ、情報収集活動が展開されるので、これをキャッチすることはわれわれの防衛準備に役立つ。またS工作なども、早い段階でこれを防ぐことができる。
この間の×××地区への権力の露骨な集中弾圧は周知の通りであるが、警視庁などでは泥棒、スリヘの捜査協力や、落とし物の書類作成にかこつけて活動家への接近をはかっており、充分な警戒が必要である。
●職場や居住地域にいる諸党派の情況(人物・位置・役割)の報告をする。
●情宣等での遭遇や、何らかの形で接触があった場合に、これを報告する。
●職場・自宅等へ押しかけられ、論争やナーバスをふっかけられたり、持ち物をひったくられたりした場合――相手、内容など(自分の失敗でも、報告しないことによって被害が広かる場合があるので)必ず報告する。
●権力のドウ喝、職場、家庭、大家等への接触はもちろん、こうした露骨な攻撃でなく一般的と思われる接触についても報告しなければならない。敵はあらゆる機会をとらえて、われわれに接近し「つぶし」やS工作をねらっているのであり、油断できない。
以上のべてきたことは全く初歩的な日常活動遂行上の留意点である。最低これだけはただちに実践していくことが必要なのである。これを守りぬくことが革命運動の前進にとり革命的方向をもたらすのであり、又われわれが日帝権力、白色分子との攻防にうちかつためにも避けて通れない必須事項である。
これらの具体的実践をつうじ敵権力と闘いぬく主体的な力を身につけていくことは革命家への飛躍を実現していくことの証しであり、こうした革命的警戒心や行動のともなわない空文句や大言壮語は実践的にはドンキホーテ的なものでしかないのである。そして何よりも肝に銘じてほしいことは、敵や他党派との攻防にうち克つこと、つまり、以上のごとき実戦を貫徹していくことが勝利を保障するということである。
実践的防御の保障は次の攻撃のための足がかりとなるものである、又、知っておくべきことは、たとえ数人で一人をテロろうとする場合でも、敵は精神的重圧に苦しんでおり、恐怖におののいているということてある。闘争の正義、大義の確信にわれわれはみちているのであるから必ず勝利することはできるということなのだ。ゆえにわれわれは堂々と革命運動の正義の大道をしっかりとあゆむことを基軸中の基軸にすえ、おのれが人民解放の戦士であることをかたときも忘れず、徹底したプロレタリア的な楽観主義と細心の注意をもって、まなじりを決して新しい領域の獲得にむかおう。
同志諸君!われわれは武装闘争の経験も、内ゲバの経験も、既に実際には幾度もつんできた組織なのだ。そしてそれに勝ちぬいてきたからこそ今日の地平があるのだ。われわれは次の試練を恐れない。まっすぐ前をむいておのれの全実存をかけて闘いぬくだけである。勝利をめざして共につき進もう。
(1984年3月)
⇒「日常活動の手引き(2)」も参照のこと