反戦反安保

アルジャジーラが米企業に売却の危機

 以前、日テレの「ザ・ワイド」でのことだったと思いますが、コメンテーターとして出演していたデーブ・スペクター氏が、イラクや中東の人々に米軍が嫌われているのは「アルジャジーラばっかり見ているからだ!」と声を荒げているのを見ました。私はテレビの前で思わず「お前こそCNNばっかり見てるからや!」と突っ込んでしまいました(笑)。

 実際、アルジャジーラができるまで、CNNなどに代表される報道や情報は、すべてアメリカを中心とする「先進国」からの視点で見たものばかりでした。私達はそれを「客観的な報道」と思い込んでいたわけですが、やはりそこには一定の価値観が作用していることは否めません。

 人間はいったん特定の価値観(イデオロギー)が支配する世界にどっぷりつかってしまうと、そこでのものの見方や考え方がイデオロギーに基づくものであることすらわからなくなるのです。そこから自由になるためには、もう一つ別の価値観が存在して、外から自分達の価値観を客観視する以外にありません。

 今までは別の価値観と言えば、大きいものでは共産主義(ソ連スターリン主義)やイスラム原理主義くらいしかなかったわけですが、アルジャジーラは初めて一般の人々にも通用する言葉で中東の人々から見た視点を提供してくれました。その意味で、アルジャジーラが果たしてくれた役割は、果てしなく大きいものがあると言えます。

 そのアルジャジーラが、こともあろうにアメリカ企業に買収されてしまう危険が出てきました。出資者のカタール政府が「民営化のために」売却先を捜しているとのことで、売却先として、「メディア界のヒトラー」ことメディア王ルパート・マードックが支配する米フォックス・ニュース・テレビがあがっているとのことです。

<アルジャジーラ>カタール政府が売却へ 米企業に売却も
【カイロ小倉孝保】ドーハからの報道によると、カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」のスポークスマンは31日、カタール政府が同テレビの売却先を探していることを明らかにした。
 AFP通信によると、スポークスマンのジハッド・バルート氏は「民営化のためであり、数カ月以内に決定がなされる」と語り、国内外の民間企業が売却先になるとの見通しを示した。
 米メディアによると、米政府がカタール政府に対し、アルジャジーラを米企業に売却するよう圧力をかけたとされるが、バルート氏はこれを否定し、「民営化は常に検討されていた。民営化がアルジャジーラの報道の方針に影響を与えることはない」と語った。一部では売却先として、米フォックス・ニュース・テレビがあがっている。
 アルジャジーラは96年にカタール政府の出資で設立。アラブ社会で初めて、各国政府を自由に批判する放送局として注目された。しかし、イラク戦争の報道などを巡っては、アルジャジーラがイスラム過激派を擁護する偏向報道を行っているとして米政府やイラク暫定政府が同テレビを批判。暫定政府は同テレビのバグダッド事務所閉鎖を命じている。
(毎日新聞 – 2月2日18時57分更新、太字化は草加による)

 ブッシュ政権によるアルジャジーラへの圧力(報道弾圧)の存在については、ニューヨーク・タイムズが1月30日付で報道しています。主要人物はチェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、ライス国務長官という「いつもの三人」です。さらにサウジの通信社WASによると、CIAのテネット長官も昨年の5月下旬にカタールを秘密訪問してアルジャジーラの報道内容に圧力をかけていたことがわかっています。

四トロ同窓会三次会 – まっぺんさんの投稿より
 うあ! 最悪ですね。フォックスと言えば、だいぶ前にメディア王ルパート・マードックが買収し、イラクなどの戦争報道を徹底的に米軍側から描き出して、戦争支持を煽った超保守メディアですよ。この放送スタイルが高視聴率をあげたため他の放送局もこれに追随し、米国メディア全体が好戦的になったという、最も反動的人物。こんなのがアルジャジーラを買収したら、もうその精神は死んだも同然。産経新聞がNHKを民営化して乗っ取ったくらいの衝撃だな。
・・・・(投稿日: 2月 3日(木)09時10分30秒)

 これらの圧力の後で、米軍のイラク占領に協力しているカタール政府が「売却の道を探ることを任務とするメンバー」をアルジャジーラの幹部に追加したといいます。さらに共同通信配信の報道では「頭の痛い問題があった」と言っているのですから、アメリカの圧力と売却が無関係だと言い張るほうがおかしいのです

週刊金曜日 – 金曜アンテナより
<米CIAがアルジャジーラに圧力>
 サウジアラビアの通信社WASが報じたところによると、米CIA(中央情報局)のG・テネット長官が5月下旬、中東のカタールを秘密訪問し、同国の衛星テレビ局であるアルジャジーラの報道内容に圧力をかけた。
 同国のハマド元首らと会見したテネット長官は、「アルジャジーラは米軍とそのイラク駐留に反対している。放送内容もけばけばしく血生臭い状況として(イラクを)描いており、煽動だ」などと強く抗議したという。
 米国は湾岸戦争ではCNNを使いメディアを米国寄りに操作したが、今回のイラク戦争ではカタール政府の資本が入ったアルジャジーラが活躍。戦火を潜って住民殺傷など米軍の残虐さを示す映像を世界に放映し、ブッシュ政権の怒りをかっている。
 4月にも訪米した同国の外相に対し、パウエル国務長官が「アルジャジーラは反米的」などと批判したばかりだ。
 さらにテネット長官は席上、「米中央軍の駐留を友好的に受け入れながら、アルジャジーラのような“煽動的メディア”を許すのはダブルスタンダード」などと抗議したが、「中東の民主化」などというスローガンを掲げておいて、放送の自由を潰そうとする米国こそ「ダブルスタンダード」だ。カタール政府が圧力に屈すれば米国のメディア支配が復活してしまうだけに、今後の展開に注目が集まっている。(編集部 成澤宗男)

 たとえば、日本国内でのみ通用するような「読売と朝日の違い」なんてもんは、しょせんは「先進国」からの視点の枠内での味付けの差にすぎません。

 しかしもともと日本の文化風土では、欧米(特にアメリカ)のごとき「絶対的な正義」という考えは本来はなじまないものです。「盗人にも三分の理」ということわざが示すように、私達は視点や立場を変えれば「正義」が「悪」となり、「悪」も「正義」になることを知っていたはずなのです。にもかかわらず、米国のCNNを使ったメディア支配の中で、私達が具体的にそのことに気がついたのはアルジャジーラ登場以後と言っても過言ではありません。

 欧米の価値基準において「テロリスト」とされる人々が、実は現地では「自由の闘士」でありうるという、考えてみればわかることなんですが、それを初めて目に見える形にしてくれ、そして両方の価値を平等に比べられるようにしてくれた功績ははかりしれません。

 アルジャジーラが「偏向報道」なら、米軍の記者会見はすべて放映しながら、イラク軍の会見を途中で打ち切ったり、米軍によるイラク人の犠牲の報道には「イラクには報道規制があり真実は確認されない」みたいなコメントを必ず付け足したアメリカのテレビ局なんて、超がつく偏向報道になってしまいます。それがわからないのは、いまだにこの「絶対的な正義」というイデオロギーに凝り固まった石頭だからです。

 米軍がファルージャ虐殺に先立ち、最初に行なったのは病院を襲撃して占領することでした。これはアメリカに逆らう者を治療できなくすると共に、病院からイラクの一般民間人の犠牲者の情報が発信されるのを「テロリストへの協力」とみなす偏狭な発想からでした。
こんな「自分だけが正しい」というイデオロギーに凝り固まった国の大企業に売却されて、それでもアルジャジーラは中東の人々の意識を私達に伝えてくれることができるのでしょうか。

 いくら「アルジャジーラの報道の方針に影響を与えることはない」と言われようとも、心配しないほうがおかしいというものでしょう。今後の成り行きに注目していきたいと思います。

参考リンク

アルジャジーラの英語版サイト 
上記サイトを自動翻訳したもの(infoseekマルチ翻訳)

アルジャジーラ売却計画 米の圧力で加速 米紙が報道(しんぶん赤旗)
アルジャジーラを民営化へ(livedoorニュース – 時事通信)
カタール政府がアルジャジーラ売却検討(日刊スポーツ)
ファルージャからの報告(シバレイのブログ 新イラク取材日記)

情報はフェアか?(イラク・ホープ・ダイアリー)
「報道が不公平すぎる。片方の報道だけを聞いて、イラクの現状を把握できるはずなんてない」「報道の壁が築かれている時、もっとも凄惨で、陰湿なことが行われているのだということを知ってほしい」
「あるニュース番組で、木村太郎さんという方が、人口3万人のファルージャの人が8000人も投票したということはすばらしい結果だ、というようなことを発言していたと聞きました。ファルージャの人口は3万人ではなく、30万人です

高遠菜穂子さんの講演(闘うリベラルのチャンネル)
予測不能なイラクの明日(ブログ時評)
イラク人医師の死を悼んで(ヨルダン・イラク報告)

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