トランプ抗議デモに参加した感想と気になった点

「沖縄」より反応が良かったのは複雑な気分

 ジグザグ会の仲間と共に、5日のトランプ来日抗議デモに参加した感想を書いておきます。

 私は出かける直前に、板看板3枚を急遽自作し、計4枚を持参して参加しました(⇒こちら)。メンバーではないけれど、名誉会員(?)のニャンケさんも旗竿を3本持参してくださいました。合計7人分です。私達は完全自由意思の集団なので、ひょっとして誰も持ってくれないのではという心配もしましたが、ジグザグ会の参加者がたいへん多かったこともあり、むしろ足りなくなりました。思いは個々様々なれど、元気に楽しくデモを貫徹できたのではと思っています。

トランプ抗議プラカード

 今回は新作看板3枚とも英語をいれて作成。1時間ほどで急ごしらえしたものですが、通りがかりの外国人(旅行者?)から、ほうぼうで笑顔で呼応するリアクションがあり、それ以外にも沿道の反応が近年にないくらいすごくよかった。看板を作ってよかったと胸をなでおろしました。
 ただ、それはいいとしても、沖縄のデモより反トランプのほうが沿道の反応が圧倒的にいいので、つい比べてしまってちょっと複雑な気持ちにもなりました。

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右翼の襲撃予告は完全に不発

 このデモには一部の右翼が襲撃を予告しており、ジグザグ会も、もし不当な暴力があった場合は、主催者に迷惑かけない範囲で「勝手に防衛隊」として、自分たちだけでなくデモ全体、特に女性や高齢者などを守ろうという気持ちで緊張しつつ参加しました。

 ですが出発直後にいた右翼側は、何をいっているのかさえまったくわからない4車線道路の反対側で、遠目に見て20人くらいのわずかな人数しかいませんでした。妨害・襲撃のアリバイ作りのために、沿道にまぎれてちらほら近寄ってきた輩も警察が軽く追い返すと、右翼側もまったく抵抗せずにそのまま帰るという「え?茶番?」と思わせるような状況で、ほぼ平穏と言っていい感じで拍子抜けしたくらいでした。

看板隊を先頭に怒りをこめつつも楽しく意思表示できた

 デモ出発時には、いざ襲撃の際にはデモの横断幕を守ろうと、私を含む看板を持った4人で先頭に行きました。最初は遠慮して先頭を占領せず、両脇によける方針でした。でもカメラ撮影の人々が集まって、看板と横断幕をセットで撮影しだしたりして、結局は右にあるムキンポさんの写真にあるような有様に(笑)。ジグザグ会というよりはデモ全体で用意した看板みたいになってしまって、いいのかなあと恐縮しつつ、ホイッスルなんかも吹き鳴らして盛り上がりつつ、しっかりと看板をかまえながら歩きました。

 まあ、あとから写真見るとデモ全体がすごく見栄えする感じだし、私達の団体名は売名にならないよう、わざと書かなかったし、何より一般の参加者からは受けがよくて、皆さんすんなり先頭に入れてくれて、少なくとも先頭部分はわりと元気で楽しい雰囲気になって盛り上がってたし、沿道の反応を良くするのに多少貢献してたと思うし、周囲の人たちは喜んでくれてた……よね?よね?そうだと言って!でなかったら調子こいてでしゃばりすぎたと激しくへこむから(;_;)

 うーん、まあ誰からも文句言われてないので、勝手にそういうことにしとこう!とにかく怒りと決意をこめつつも、楽しくデモできた一日でした。とてもいい感じの良いデモだった。主催で努力された皆様には感謝と尊敬を送ります。

気になった点

もう少し広がりがほしかったかな

 デモ参加者は一梯団250名で、私としては「日本の反トランプデモ」と考えれば少ないと不満を感じましたが、呼びかけ参加団体はみな少人数の地域の市民団体などばかりでしたから、その合計人数の倍以上の人たちがネットやビラを見て参加したことを考えれば、この数は短期間にかなり盛り上がった結果だと思います。総括集会での発言でもそのような趣旨のことが繰り返し言われており、主催者としては沿道の反応の良さも含め、予想以上の結果に手応えと高揚感を感じておられるようでした。そのことは今後につながる意味でもいいことだと思います。

 でもやはり世界中で澎湃(ほうはい)と巻き起こるトランプ反対の声にくらべたらまだまだです。日本でもこれが大衆的に組まれなくてどうするんだ!と激しく思う。今回、大政党はまったく動かず、他には党派主導のデモがほとんどで、東京における大衆的なトランプ抗議デモは、私達が参加したこのデモ以外に見つからなかった。右翼の襲撃予告も、予想外の参加人数も、そのことの反映ではあるんだろうけど、なんとか主催者だけでまとまらず、もう少し広がりがほしかったかなあと。

 とにかく何もしてない私が言うのは大変に気が引けるのですが、勝手なことを言わせていただけるなら、どうしても体質的に相容れない部分は梯団をわけるとかして、もっともっと有象無象の多彩な潮流の人たちが集う形になればよかったのになというのは素朴な感想です。イラク戦争時にブッシュが上洛した時の京都デモは、社共などの組織動員抜きで700人だった(⇒当日の動画)。これくらい集まるとかなり壮観だったし、現在的に首都圏でこれくらいは集めることを追求しなければと勝手ながら思います。東京では難しいのかなあ。

一部の方の北朝鮮への「甘さ」に違和感

 他に気になった点としては、一部の発言で、私の感覚ではかなり北朝鮮に甘いように感じてしまう部分が多くあり、それには違和感を感じました。「そういう人もいる」のなら全然問題ないし、発言者にはいなかったけど、会場では逆に「トランプも北朝鮮もぶっつぶせだろうがよ!」とか言ってる人もいましたし、それもまた別に問題ないだろうと思う。むしろ単一の政治団体の主催ではない市民デモなのだから、多様性があることはむしろ健全ではある

 なお、この点について主催の一部の方に聞いたところ、今回は全く時間がない中で、かなり主張の離れた部分が「一日だけの共闘」で実行委を形成した結果であり、短期間でまとめるためには議論の時間がなく、ばらばらになるより、みんなの主張をすべてぶちこんだ結果とのことで、一定仕方がない面もあるようです。

 誤解のないように申しますと、私が違和感を感じた発言者も決して北朝鮮を「味方」だと言っていたわけではない。何よりも「核兵器の存在自体はどこの国であれ容認できない」「すべての戦争(軍事行動)には絶対反対」という点も強調しておられ、そこではすべての参加団体が一致しているわけで(だから一緒にやれる)、その前提にたつ限りは北朝鮮を擁護することは絶対にできないわけです。そこまでいったらいくら「多様性」といっても、ものには限度というものがありますから。

 ですが「北朝鮮は日米の核恫喝や軍事圧力への防衛意識から核開発に走った」という発言もありまして、これはまあ歴史的経緯から言えばその通りなんだろうし、「安倍・トランプよ!お前ら自分を棚にあげてよく言えるな!」という気持ちはわからなくもないのですが、どうもこれは70年代から80年代はじめくらいまでの大衆運動の感覚だなあと、ちょっと引きました。

トランプ抗議用プラカード

 シュプレヒコールでも北朝鮮への軍事挑発(朝鮮戦争危機)への非難に偏りがちな印象でした。もちろん安倍・トランプの挑発は、自分たちの政権浮揚のために、日本を含む数百万の人命が失われかねない危険な火遊びであり、国民を守るのが当然の使命であるはずの彼らにとって、絶対に許されない暴挙ではありますが、世界中で反トランプデモが巻き起こっている主要な原因は、トランプ政権の白人至上主義者(KKKら)との結びつき、度重なる女性蔑視、シャーロッツビルの虐殺擁護、移民・難民排斥などが重要な出発点ですが、それへの言及が少なかった。

 むしろ大衆的に、トランプとは何者か、どういう政権なのかということを訴える上では、奴がレイシストであるという点が重要な出発点であり、今回の沿道での反応の良さも、アメリカにとことん地獄の底まで付き合って、朝鮮戦争危機へ一歩も引かずに突き進む安倍への不安もあるのでしょうが、やはり一番にはそういうトランプ政権の性格が一定大衆的に広まっていることの現れなのであって、少なくとも「北朝鮮への同情」的なものは微塵もないはずです。

 たとえるなら私はイラク戦争に反対し、やむにやまれぬ気持ちで20年ぶりくらいでデモなどに参加しだしたのが、現在の私につながるはじまりですが、その時でもフセイン政権の立場をブッシュと比べてどうこう思う気持ちは爪の先ほども、一ミリだってありませんでした。それと同じことです。それに反論する人は、どんな左翼にもいないと思いますが、中東ならそういう冷静な判断ができるのに、アジアや朝鮮半島になると、侵略の歴史への負い目からでしょうが、判断が甘くなる。

 だいたい基本的に私は北朝鮮の政権も現在的には、もはやトランプや安倍と並ぶ、打倒すべき人民の敵だと思っています。3代にわたる世襲独裁(事実上の王朝支配)と人権無視の恐怖政治、もし「社会主義」を政権の正当性と謳うのなら、当然に撲滅すべき究極の格差社会を民衆支配の道具としているなど、あらゆる点で金王朝は厳しく糾弾されるべきで、それ抜きに「朝鮮民衆との連帯」などむなしいかけ声にすぎないと思います。むしろ反戦派や左派だからこそ、原則的北朝鮮批判は、きっちりと容赦なくやるべき課題だと思います。

3件のコメント

ある方から、主催者(の一部)の総括会議で、上の文章を「こういう意見がある」と配布したよと言っていただきました。
このブログはさほどアクセスも多くないし、基本的に私の中で「ネットの片隅でこっそり書いている」つもりなので(笑)、え~!とあせって、とっさに「やめてよぅ」とか言ってしまい、大変に申し訳なかったです。
とりあえず、こんな拙い意見を伝えていただき、ありがとうございましたm(_ _ )m

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