〔疑問〕議員会館前の抗議行動は果たして「テロ」か?

石破「反対デモはテロ」by ときわ列車
 すでにこのサイトをご利用の方はご存じかもしれませんが、自民党石破茂氏は自身のブログで聞き捨てならないことを書きこんでいます。

 今も議員会館の外では「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。
主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。
http://ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-18a0.html

 下手をするとこれは「正論」に見えるかもしれません。しかし、ここには石破氏の、いや、日本の政財界に居座る多くの「権力者」に共通して見える本音が透けて見えます。
 ではまず「テロ」の辞書的な意味から確認しましょう。インターネット上で閲覧できる「goo辞書」では「テロリズム」はこのように出ています。
政治的目的を達成するために、暗殺・暴行・粛清・破壊活動など直接的な暴力やその脅威に訴える主義。テロ。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/152939/m0u/
 また、かなり古い版ですが、手元にある1986年初版の「旺文社 国語辞典 改訂新版」では次の2つの意味が出ています(836ページ)
①暴力、または人を恐怖させるような手段によって行う政治。また、その政治上の立場。暴力主義。恐怖政治。
②暴力行為。暴力手段。テロ。

 ここで石破氏の発言をこの定義に照らし合わせて考えてみます。石破氏は「秘密保護法絶対阻止!」のアピールをその音量が大きいことをもって「単なる絶叫戦術」と評しています。そしてそれは「多くの人々の静穏を妨げるような行為」であるから「テロ行為とその本質においてあまり変わらない」としています。
 なるほど、確かに夜間において大音量で叫んでは「静穏」が妨げられることでしょう。例えば住宅街や集合住宅なんかでそれをやられたら迷惑千万です。
石破氏「反対デモをテロ指定も」 しかし、アピールが行われていたのは「議員会館の外」であり、その対象は無差別ではなく「秘密保護法を通そうとする政治家たち」に向けられたものであります。それを一般論的に「己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為」と断じるのは論理のすり替えではないでしょうか?
 まして、それこそ「住宅街で政治的主張を絶叫する」ということまでもが果たしてここまで引用している「辞書的意味での【テロリズム】」に当てはまるかと言えばそうではないと思います。
 確かに旺文社の方にある「人を恐怖させるような手段」ではないと言い切れないかもしれません。ですが、「政治的主張を絶叫する」ことが人々に引き起こす作用は「恐怖」とも限らず、「嘲笑」だの「無視」だの様々であると思われます。
 そして何より「goo辞書」の方に書いてありますように、「直接的な暴力」や「その脅威」を示そうとするものが議員会館周辺であったかどうかが問題です。少なくとも、議員会館前で行動していたサイト管理人さんなどの報告を見る限りそうしたものはなかったですし、まして下の動画を見る限りはたして一連の抗議が本当に「恐怖政治」的なのでしょうか?むしろリズミカルで楽しそうな部分さえあります。


 ここまで見てきて考えられることは以下のようになります。
・石破氏など秘密保護法推進者からすると、この法案に反対の声が出ていることで【自分たち】の静穏が破られ、恐怖を覚えている
・しかし、「自分たちが抗議の声に恐怖している」などどはとてもではないが言えないので、一般論化して誤魔化している。
・彼らにとっては自分たちのやりたいことを邪魔する者すべてが「テロリスト」に見える。そこで「テロは悪」という認識が一般に広まっているだろうとタカをくくって抗議行動を「テロ」呼ばわりして人々を運動から遠ざけようとしている
 かつて北朝鮮による拉致事件が小泉政権時に大きくクローズアップされた時、「拉致はテロ」という言説がまかり通り、未だにそのように言う人も多いです。確かに「無理に」北朝鮮に連れていくということは広義の「暴力行為」の範疇にはいるように見えますが、より厳密に考えれば、テロリズムは「政治的目的」が伴っています。それならば日本人拉致事件はあくまで「国家的【犯罪】行為」であり、政治的意図を伴ったものであるかは少なくとも現段階ではまだわからないところがあるため、「拉致はテロ」というのはいささか強引な印象操作であると言えるでしょう。
石破「デモはテロ」強行採決こそテロだ であるならば、「議員会館前での絶叫戦術はテロだ」という論理は、抗議行動の内実から見ても「拉致はテロ」よりずっと恣意的で悪質なデマに過ぎません。そしてこれは権力を持つ者がそうでないものに対して屈服を迫ろうとする論理であり、「テロリズム」の意味から考えれば石破氏の論理の方がそれこそテロリズムではないかと思えるほどです。
 何より秘密保護法それ自体こそ「多くの人々の静穏を妨げる」稀代の悪法であり、さながら「脱法テロ」といったところではないでしょうか?

 ところで石破氏は「主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべき」と言っていますが、文脈からいってこの言葉は「ロビー活動」を想起させます。要するに「ロビー活動が出来ない奴は民主主義の手続きを踏んでいない」という非常に狭量な見方をしているとも取れます。
 他ならぬ石破氏自身が自民党沖縄県連に出向いて辺野古への基地移転を容認させるという「官官ロビー活動」と言えることをしていますが、そこにおいてカネや地位をちらつかせてはいなかったか甚だ疑問です。それこそ「脅し」をしたのではないかという疑念はぬぐえません。それでいて「民主主義に従って」などとのたまうその心性が理解できません。
 政治家の本性を見抜き、彼らの暴言に右往左往せず、「ならぬものはならぬ」とできる限り主張を伝え続ける…これこそ民主主義ではないでしょうか?
 都合の悪いことを「テロ」呼ばわりすることこそ民主主義に最も反していると、僕は強く思いますね。

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