by 原 隆
コロナ禍の東京で五輪開催が強硬されようとしている。おりしも今年は、3.11東京電力福島第1原発事故の大惨事から10年にあたる。あの時、燃料が空だきになり、メルトダウンした原発で次々爆発が起きた。放出された放射性物質が風に乗って広がり福島は汚染された。私たちは原発震災によって多くの人々の生存が脅かされ生活が根底から覆される現実を目の当たりにしたのだった。
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今も原発利権復活をもくろむ「原発村」の住人ども
福島事故は、地震大国日本に54基もの原発を作ってきた自民党政府の原子力政策と、その利権にあずかってきた電力企業、東芝、日立、三菱重工の原発メーカー3社の破綻をもさらけ出した。ルポライターの鎌田慧氏は言う。
今10年を節目にして、政府や財界は『脱炭素化』の流れに、原発再稼働を紛れ込ませようと腐心している。10年たっても、事故や津波で自宅を追われた福島の人たちの3万5千人以上が避難したまま、燃料デブリは取り出せない。廃炉作業は進まない。核廃棄物の捨て場はない。使用済み核燃料再処理工場の完成の見通しは暗い。それでも老朽原発を動かそうとするのは集団的自殺行為だ
(3.9東京コラム)
鎌田氏はこのように断じ、「ダメなものはダメ」と明言する。
「政府の原発事故対策とコロナ対策はとても似ている」
福島第1原発事故の「国会事故調査委員会」(黒川清委員長)は2012年7月に報告書を公表した。
事故は地震と津波による自然災害(天災)ではなく、「人災」だと結論づけ、政府や東電の責任に明確に踏み込んだ。黒川氏は、新型コロナウイルスの政府の対応についても、「冬場に感染が拡大すると言われていたのに、なぜ病床をもっと確保し、検査態勢を拡充しなかったのか」と批判し、国会で独立した機関を設けて検証し議論すべきだと提言(3.2朝日)する。また米ワシントン・ポスト紙も新型コロナへの日本政府の対応は「国会事故調報告書」の内容にとても似ていると指摘している。
そもそも感染症対策に於てロックダウンや行動制限という手法は本来「時間稼ぎ」なのだ。その間に感染症(PCR)検査や病床の確保といった医療体制を整える必要がある。それをやらず後手後手の対応だから医療体制の逼迫を招いたのだ。その責任は菅政権が負っている。
東京五輪は中止すべきだ
東京五輪を成功させた者として自己の政治的威信を高めるために点数稼ぎで自粛頼みのコロナ対策に動いているとしか見えない為政者もいれば、「国民の命と暮らしを守る」という建前を取り繕いながら支持率を高めるために対策を演出している政治家もいる。自己顕示と功名心が透けて見える。
こんなだから東京五輪の今夏「強行」に中止や再延期を含めた反対の声が6~7割もあるのだ。五輪開催のために医療従事者1万人の投入が必要となることを考えれば、医療体制の現状を無視していることは明白だ。女性蔑視など時代に逆行する東京五輪は中止せよ!
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