2014衆院選の結果分析(もどき)その3

(←その2からの続きです)

■アンケートや世論調査に見る安倍の不人気ぶり

2014衆院選 実際の議席占有率 ということで、単純な得票率や、まして小選挙区制での獲得議席数からでは見えない実際の社会的勢力比(もっとゆるく世間の雰囲気とか空気と言ってもいいですが)を考えてみましょう。

 たとえば、テレビ東京の「池上彰の総選挙ライブ」にて、選挙当日の有権者千人に緊急アンケートをとった結果が発表されました。質問の内容は「あなたは安倍首相にいつまで続投してほしいですか?」というものです。そこで池上彰さんが「驚くべき結果」と表現されていましたが、二位以下に大差をつけて、ダントツの一位だったのが「今すぐ辞めてほしい」という回答だったのです。結果発表と同時にCMになってちゃんと見れませんでしたが、二位も「あと一年くらい」で「三年以上」は最下位だったはずです。

 内閣の支持率もそこそこ高く、選挙でも勝った首相に対して、有権者に聞いてみたら実は嫌いで早く辞めてほしいという。そんなに安倍のことが嫌いなら、なぜ勝たせたのかという意味では確かに「驚くべき」ことなんでしょう。

 さらに言うなら、選挙前の世論調査の結果でも、安倍内閣の経済政策(アベノミクス)に対する支持は各社ともだいたい4割くらいで過半数を切っています。選挙前、安倍はあれだけ「アベノミクス選挙だ」と強調し、本来の争点である右翼路線の是非については、集団的自衛権や秘密保護法などを「信を問う必要はない」(菅官房長官)と徹底的に争点から隠す戦術をとりました。その安倍本人が唯一の争点であるかのように言っていた経済政策を国民は支持していない。じゃあなぜ安倍を勝たせたのか。

 以上のことをふまえて分析するならば、次のようなことが言えます。

■とにかく受け皿がない

 第一はまず選挙制度の問題があります。先のアンケートでも「安倍やめろ」がダントツ一位といっても過半数ではありませんし、ここまでの統計を見てきた私たちには、このアンケート結果もそんなに驚くべきでことはありません。自民に投票したのは全有権者の17%で得票率も3割しかないのです。ここまでは「小選挙区制で民意が歪められている」という従来の基本的問題です。さらに言うなら公明支持者の中でも安倍に早く辞めてほしい人は多いでしょう。

 第二に安倍の政策がその右翼路線や原発政策はもちろん、看板の経済政策でさえ国民から嫌われているとは言っても、実は民主党政権の末期(菅・野田政権)における、とりわけその経済政策に対する支持はもっと低かったということがあります。それこそ4割どころか1割2割の世界だったはずです。もちろん個々の国民にはいろいろな思いがあるでしょうが、全体として見た場合、「安倍は嫌いだが野田よりまだマシ」ということになる。裏をかえせば安倍への支持とはその程度ということです。

 これはイラク戦争や郵政選挙の時の小泉内閣とは全然違う。あの時は本当に小泉内閣を倒すためには民主党を応援してでもと思いつめてました。小泉首相は明るいキャラクターで本当に人気があったが、安倍のキャラクターは暗くて自分勝手で強引なイメージだし、当時は「小泉さんのおかげで勝った」のに対し、今回は「安倍さんなのに勝てた」ということでしょう。

 第三に安倍は嫌い(好きじゃない)としても、その受け皿がない。これは第二の問題ともリンクしますが、これが一番大きいのではないかと思います。だいたい消費増税や原発の再稼働を決めたのは民主党の野田政権の時代じゃないかという。これでは安倍の明確な対抗軸になりえない。また、民主党と維新は小選挙区で選挙協力を敷いたが、実は両党の支持者(の志向)はさほど競合していないから、候補を一本化してもあんまり効果がない。民主党に入れるくらいなら自民に投票するという維新の支持者は多いだろうし、維新や次世代の極右候補よりはまだ自民の候補のほうがマシと考える民主党支持者も多いでしょう。

 結果的に安倍は嫌い、野党はていたらく、何が何でも「自民以外」に入れてやるというにしては、まだ民主党政権末期よりは安倍のほうがマシ(のような気がする)、それでもう特に入れたい候補もなく棄権する。一方で確信犯的な安倍政権批判層は共産党に投票するという流れではないかと。そう考えると非常にわかりやすい。

 さて、最後に次世代の党の壊滅と共産党の躍進をどう見るかということにスポットをあて、そこから今後の私たち左派の道をさぐってみたいと思います。

(次回に続きます→)

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2件のコメント

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