by ときわ列車
今回は、昨日紹介した鮫川村の放射性廃棄物焼却施設問題について、どうしても引っかかる点が僕にあり、一つ考察を書いてみました。本来ならばこれから書く内容のものは、先に鮫川村の問題を共有している皆さんと「面と向かって」話すべきことなのかもしれませんが、むしろそのためにもまずこのサイトで文章に起こして書いた方が良いと思い、ここに記します。
さて本題…
6日に参加した会議において、焼却炉問題に対する「現実的アプローチ」として次のような点が挙げられていました。
①放射性物質を燃焼した「実績」のある東電に問い合わせ、焼却炉の図面を入手して技術面の不備を探る
②見つかった不備を元に「紳士協定(住民の要求する基準を満たさない限り運転しない、というもの)」の策定に取り掛かる。
③環境省に申し入れをする
④初めから村長を「悪者扱い」するのではなく、最低限「顔を立て」てはおく
この日はいわきからの参加者として「福島第1原子力発電所の元作業員」がいらっしゃって、その方のアドバイスで技術面の不備を突いた「紳士協定」路線が取られることとなりました。
なるほど、「元作業員」のアドバイスがあり、住民がそれを選択した以上は、そして僕が焼却炉問題を会議に参加してやっと全体像を把握したばかりである以上は、この方針に良い悪いといったいちゃもんをつけることはできませんし、僕自身も「現実的」にはまずそれをやらねばならないと思っています。
しかし、会議の最中の時点で僕の脳裏には3年前に訪れた成田空港に反対する農家のみなさんがいる三里塚現地のことがよぎりました。
農家の皆さんが「絶対反対」を貫き、自らの農地を死守するたたかいを「徹底非妥協・非和解」で、しかも「現在進行形」で行っているのを、多少なりとも現地を見て肌で感じた僕からすれば、この現実路線が仮に「失敗」した時どうなるんだろうという不安が出てきたのです…(本来ならば三里塚のことをここである程度説明すべきなのかもしれませんが、さしあたってこの日記では割愛します。すみません…)
もちろん、まだ運動が「始まったばかり」である以上、僕の懸念はちょっと拙速かもしれません。しかし、現に「だまし討ち工事」が始まり、今月末の試験焼却に向けて事が進んでいる以上、「現実路線失敗以降」を見据えないとこの運動はおじゃんになってしまう危険性はあります。
このサイト内の「ブログ旗旗」ですでに出ている「成田空港第三誘導路の供用開始前倒し変更」の件は、直近の時系列的(ここ3カ月くらい)に見て鮫川村という「前例」がすでにあったからこそできたものではないかとすら思っています。三里塚にしろ鮫川村にしろ、国などの事業主体が持っている発想というのは、「あいかわらずの同意なしの着工、軒先工事、逆らう者には脅しと暴力、札束による甘言、立ち退き以外の交渉にはいっさい応じない、相手に対して人としての礼儀や尊厳などいっさい認めないやり方」(管理人ブログより引用)に他なりません。鮫川村の住民にはすでに「同意なしの着工」と「軒先工事」がなされているのであり、これから住民運動が起これば脅しと暴力、そして札束攻撃が待っていることでしょう。
無論、会議に参加した皆さんはそんなことは百も承知ではあると思います。だからこそ、「手始めに行うべきこと」としての「現実路線」を「元作業員」の後押しもあってやるのだとは思いますし、繰り返しますが僕個人としてもむしろ必要なことだと思っています。ただ、会議の中で「白紙撤回」を目標に掲げた以上、そのやり方にいずれ限界が来ることを早いうちから認識共有しないと潰れてしまう危険性は大いにあると思います。現実路線が一定成功しても、再び管理人さんの言葉を借りれば、「ごめんなさい詐欺」が待ってすらいるかもしれないのです。
だから、僕が住民運動に足を踏み入れたものとして提案したいのは、三里塚農民と鮫川村住民の交流を実現し、お互いの運動について会議をする場を設けることです。今の段階では反対同盟の北原派なのか旧熱田派なのかは問いません(個人的な運動人脈からすれば北原派ですが)。相互の運動を共に学び合うことで開ける展望を見出す機会を作らねばなりません。とにもかくにも「たとえ望まないものが作られてしまっても、あきらめずに反対を貫く」三里塚の存在がこの鮫川村の問題とリンクするのは間違いないのです。
とはいえ、「外部」の運動団体を入り込ませることに抵抗が生じる危険性も考えなければならないでしょう。ただ、三里塚にしろ鮫川村にしろ、重大な人権侵害と民主主義の否定がなされているのは間違いありません。まずは「住民運動」そのものの成り行きを壊すことなく、しかるべきタイミングで提案してみたいと思います。
…とここまで言っておいてアレですが、少なくとも今月は仕事等でそんなに時間もとれず、上手く「三里塚との交流」が僕の手で提案できるか正直不安です。とはいえ、自分の運動人脈方面で可能な限り話すことから始めてみたいと思いますし、Twitterなどでも話し合っていけたらと思います。
とにもかくにも、人々の大切な農地や水源を奪いながら、その実態を隠し、あまつさえオリンピック開催や島嶼部の「領土問題」に腐心する権力の理不尽さを、僕は許したくないんです!
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