by 中野由紀子
あの理不尽な50名大弾圧のその後の情報です。
今は50人全員がそれぞれの生活に戻っていますが、その後、あまりにひどい扱いを受けていたことがわかり始めました。
女性を全裸にする、障がいのある方の杖を取り上げる、11時間にも及ぶ長時間の取り調べなど、「推定無罪」の者に対する扱いではなく、あきらかな拷問です。権力はなにをやっても許されちゃうんですね。誰も処罰されない。
これらは法を無視した不当な行為です。たぶん全国でこういった行為が当たり前に行われているのではないでしょうか。抗議や注視を続けていかなければなりません。皆さまのご支援、ご協力をお願いいたします。
三里塚の農民である鈴木加代子さんのブログ「農家便り」より抜粋
不当逮捕されていた関係者から続々と信じられない話が伝わってきています。怒りを込めて、抗議、弾劾していきたいと思います、ご協力をお願いします。
初逮捕の者、30年40年ぶりの逮捕の者などが特に酷い扱いで、恐怖、嫌悪感を与え2度と逆らわないようにとでも思っているのか?
ほぼ丸裸にされ、検査と称して股を大きく開き見せなさいと言われた者
そのまま、飛んでと言われた者、お尻の穴を見せなさいと言われた者
同じ場所「丸の内署」女性トイレの階が違い、足に障害のある方の杖を取り上げて階段でいかし、健常者はエレベーター使用
冷やすと障害に係わるので、寝る時、靴下使用を求めたが認められず悪化した者
躁うつ病の薬が合わず、悪化した者
逮捕時の暴力で肩を痛めた者
11時間もの長い取調べで腰を痛めたり体調不良を起こした者多数
許されない行為、弾圧で法の名の拷問です。
断固抗議を、全国から怒りの抗議、集中をお願いします。
「市東さんの農地取り上げに反対する会」のブログより抜粋
どういう状況で、この不当逮捕がおこなわれたのでしょうか。
●裁判官の逃亡から始まった
この日、東京高等裁判所では、現闘本部裁判の判決が出されました。
現地闘争本部・・・40年以上前、村ぐるみで空港に反対したときに建てられた、みんなの拠り所です。村の寄り合いや、託児所として使われてきました。記者会見なども、ここで行われていたのだそうです。
この建物を撤去しようと、空港会社は裁判を起こしました。
市東さんの畑のすぐ隣りにある建物で、市道が封鎖される前、市東さんは毎日、この現闘本部の前を通って、畑に通っていました。
このようなことから、市東さんの畑の取り上げと、現闘本部の撤去は、2つにして1つの問題なので、私たちも、裁判の傍聴に取り組んでいました。
しかし千葉地裁では、原告・被告双方が「現場を見るように」要望していたにもかかわらず、現場を見ないで判決を出しました。
そして東京高裁は、千葉地裁よりもさらにひどい「仮執行付き」の判決を出したのです。
仮執行というのは、最高裁の判決を待たずに、建物を撤去してよい、というものです。こんな判決が出たということは、もう、明朝にも取り壊される可能性が出てきます。
そこで、弁護団は、仮執行の停止を求め、裁判官に面会しようとしました。
しかし、裁判官は、会おうとしなかったのです。
裁判の傍聴をした人たちは、弁護団がいるフロアの廊下や待合室で、結果を聴こうと待っていました。
裁判官は、何時間も逃げていて、5時を回ってしまいました。
そしたら、職員が「退去するように」と、待っている人たちに責任があるかのように言ってきたわけです。(それも、ほとんどの人には聞こえない)
そんななかで、50人が逮捕されました。
90歳のおじいちゃんも、弁護士事務所の職員も!
階段を降りかけていた人は、警察官に行く手を阻まれ、上にのぼらされて、逮捕されました!!
これは「退去しなかった」のではなく、「退去させなかった」のです。
●関東大震災時の思想弾圧と同じだ(遠藤弁護士~勾留理由開示公判で)
5月20日、逮捕された人たちは、いったん、丸の内警察署に連れて行かれ、それから、全員がバラバラの警察署に移動させられました。
晩ご飯も出ないで、明け方の3時過ぎまで取り調べ。90歳の人に、こんなこと、ひどすぎっ!!
また、「身体検査」と称して、女性を全裸にしました。 「不退去」と、どう関係あるんだ!
それに全員が、弁護士以外は面会できないようにされました。
友人と会えない
土日は差し入れもダメ(逮捕されたのは金曜夕方)
夜中まで取り調べ
女性を裸にする
これが、「推定無罪」の人に対する扱いでしょうか?
有罪だったとしても、こんなことはあってはならないでしょうが、逮捕即罪人という扱いは、裁判という制度そのものを踏みにじっています。
そして、その原因は裁判所そのもの―東京高等裁判所にあるわけです。
●裁判所が作った冤罪だ!(石田弁護士~勾留理由開示公判で)
勾留の理由を問う、勾留理由開示裁判の中で、逮捕時の状況が、弁護士から明らかにされました。
「不退去」というが、当時、エレベーターは停まっていたのです。
弁護団は、16階の事務室で、裁判官に面会を求めていました。
逮捕された50人は、16階の廊下や待合室で、その成り行きを知りたいと、待っていたのです。
裁判所が、本当に退去をして欲しいなら、エレベーターを停めたりしません。
また、裁判所側は、退去するように言ったといいますが、肉声で、言った(らしい)のです。
騒いでいたから、退去するように言った、退去の警告は、全員に行き届いていた、と言い張っています。
50人が騒いでいたというならば、肉声で言って、聞こえるものではありません。
そして、40メートル以上ある廊下や、ドアを隔てた待合室にいる人にまで、肉声が届くならば、かなり静かであったはずです。
裁判官は、北側ホールで騒いだと言います。
北側ホールはどこを指すのか、という弁護団の追及に、「北側ホールは北側ホールだ」という、緻密な証拠の精査をする裁判官とは思えない禅問答を繰り返します。
待合室や、トイレ、階段の踊り場など、通常、独立していると考えられる場所で、逮捕された人がいるからです。
こうしてちょっと考えるだけでも、「裁判所が積極的に作った冤罪」ということがわかります。
●裁判所が黙秘権を否定
勾留理由の中に、「供述態度」というのがありました。
黙秘をしているからか、という弁護団の問いには答えませんでしたが、供述態度に黙秘は含まれるか、と問うたところ、含まれると答えました。
黙秘権は、法律で保証された権利です。
黙秘権を行使したからといって、不利な扱いを受けることは、あってはなりません。
なのに!
黙秘をしているという供述態度を理由に、勾留を続けていると、裁判官は平然と言ったのです。
●裁判と現場を軸に
こんな裁判官たちですから、公正な裁判を望めるものではありません。
が、だからこそ、社会的に大きな問題にして、不当な訴訟指揮や判決を許さない力をつけていきたいと思います。
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