国と民と民族そして難民、あらためて考えさせる良質のドキュメンタリー
映像系専門学校に通う、ごく普通の若者である野本は、偶然参加したイベントでカザンキラン一家と知り合う。彼らはトルコ政府の「単一民族政策」による迫害から逃れ、生きるために日本にやってきたクルド人難民だった。
彼らがどういった人たちなのか全く知らなかった野本だが、人間としてのカザンキラン一家に魅力を感じて彼らの行動を撮影し始めた。
やがて彼らは国連難民高等弁務官事務所から難民認定を受け、日本で平穏な生活を送りはじめる。だがその4ヵ月後、衝撃的な「事件」が彼らを襲う。日本政府が国連の難民認定を無視し、「不法滞在者」として父親と長男をトルコ官憲に引き渡してしまったのだ!バラバラに引き裂かれ泣き崩れる妻と娘たち。それは北朝鮮難民(脱北者)を機械的に逮捕して送り返す中国政府となんら変わらない態度だった。野本は、今まで考えたこともなかった「ナンミン」という現実、自分が日本という国に住む「日本人」であるという事実を考えさせられる。
それから1年の月日が経ち、野本はそれまでの映像を作品にまとめようと考えていた。しかし、どんなに編集しても、カザンキラン一家を撮影する中で生まれた疑問は何一つ解消されていなかった。彼らはなぜ日本に来なければならなかったのか?なぜあの「事件」は起こったのか?そして日本人の僕は「何者」として彼らと向き合わなければならないのか?撮影は続行。その疑問の答えを探しに、野本はトルコへと旅立った・・・。
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